籌算
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加算を行うには棒を機械的に動かすだけでよく、1桁の数の加法を暗記する必要はない。これがアラビア数字体系との最大の差異である。たとえば、アラビア数字「1」および「2」を機械的な操作によって「3」へと変換することはできない。

籌算による 3748 + 289 = 4037 の計算手順を以下に示す。

(1)被加数3748を上段に、加数289を下段に書く。計算は左から右の順で行う。最初に計算するのは下段289の最高位「2」である。




(2)「2」を表している2本の棒を取り、上の段の「7」に加えて「9」とする。




(3)下段の「8」を繰り上がらせるため、その真上の「4」から棒を2本移してくる。「8」は繰り上がって「10」となる。




(4)下段左端の「1」を上段に加えると、「39」が繰り上がって「40」となる。




(5)下段の「9」を繰り上がらせるため、真上の「8」から棒を1本移してくる。繰り上がって「10」となる。




(6)下段に残った1本の棒を真上の升に移す。上段に現れた4037が求める和の値である。




この過程により、被加数の棒の配置は適切に変更され、加数からは棒が消えてしまう。
減算
繰り下げなし

繰り下げの必要がない場合、減数(下段)の各桁の棒と同じ数だけ、被減数(上段)の各桁から棒を差し引くだけでいい。上段に残った数が求める差である。下図は減算 54 − 23 = 31 の計算ステップを示している。

(1)



(2)



(3)





繰り下げあり

4231 − 789 = 3442 のように繰り下がりがある場合、より複雑な手順が必要となる。この減算の計算ステップを下に示す。

(1)被減数4231を上段に、減数789を下段に書く。左から右に計算していく。




(2)上段1000の位の「4」から1を借り、「3」を残す。借りた1を100の位の「10」とみなし、下段100の位の数「7」を「10」から差し引く。こうして残った3を上段100の位の「2」に加え、「5」とする。下段からも同じく「7」を差し引き、100の位を空白とする。




(3)上段100の位の「5」から1を借りて「4」を残す。借りた1を10の位の「10」とみなし、下段10の位の数「8」を差し引く。残った2は上段10の位に加えられる。下段10の位も空白とする。




(4)上段10の位の「5」から1を借りて「4」を残し、借りた1を1の位の「10」とみなして下段の「9」を差し引く。残った1を上段1の位に加える。これで下段のすべての棒が差し引かれたので、上段に残った3442が計算結果となる。





乗算

孫子算経』には籌算による乗算の方法が詳述されている。下図に 38 × 76 = 2888 の計算ステップを示す。

(1)被乗数38を上段に、乗数76を下段に書く。乗数の1の位を被乗数の最高位に合わせ、二つの数の間に記録用の余白を空けておく。






(2)被乗数の最高位から計算を始める(この例では、まず 30 × 76 を、次いで 8 × 76 を計算する)。まず九九の表に基づいて3 × 7 を計算し、答えの21を中段に書く。21の最小桁は乗数10の位の「7」と揃える。






(3)3 × 6を計算する。答の18を中段に置き、その最小桁を乗数1の位の「6」と揃える(6の上に8を置く)。このとき、21の1の位と、18の10の位が同じ升に入る。


 



(4)同じ升に入った棒はすべて合わせて1つの数を作る(中段の数は228となる)。被乗数38のうち「3」の計算は終わったので、棒を取り去る。




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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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