『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』で主演女優賞にノミネートされたグラッドストーンはアカデミー賞にノミネートされた初のネイティブ・アメリカンの女優となった[28]。同作で監督賞にノミネートされたマーティン・スコセッシはスピルバーグが保持していた9回の記録を抜いて、現在存命の人物では歴代最多の監督賞ノミネート数である10回を記録した[注釈 4][29]。また、スコセッシは歴代最高齢となる81歳での監督賞ノミネートを果たした[注釈 5][30]。同作で助演男優賞にノミネートされたロバート・デ・ニーロは、アカデミー賞への初ノミネートから直近のノミネートまでの期間が歴代で最長の49年を記録した[注釈 6][31]。同作で編集賞にノミネートされたセルマ・スクーンメイカーは同部門の歴代最多ノミネート数である9回を記録した[32]。
『哀れなるものたち』で制作、主演を務めたストーンは『ノマドランド』のフランシス・マクドーマンドに続いて、同じ作品で作品賞と主演女優賞にノミネートされた2人目の女優となった[33]。
『カラーパープル』で助演女優賞にノミネートされたダニエル・ブルックスは1985年の映画版に出演したオプラ・ウィンフリーに続き、同作でソフィア・ジョンソン役を演じてノミネートされた2人目の女優となった[34]。
今回、エミリー・ブラント、ブルックス、ブラウン、ドミンゴ、アメリカ・フェレーラ、グラッドストーン、ヒュラー、キリアン・マーフィー、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ、ジェフリー・ライトらは初の演技部門、ジョナサン・グレイザーとトリエは初の監督賞と脚本部門へのノミネートを果たした[35][36][37]。グレイザーは作品賞、脚色賞、国際長編映画賞の3部門にノミネートされた初のイギリス人となり、トリエは監督賞にノミネートされた8人目の女性となった[38][39]。
サミー・バーチ(英語版)、アルチュール・アラリ(英語版)、デヴィッド・ヘミングソン(英語版)、コード・ジェファーソン、アレックス・メチャニク、ソンらは初の脚本部門へのノミネートを果たした[40][41][42][43]。ソンは脚本賞にノミネートされた初のアジア人女性となった[23]。
作品賞には『バービー』でマーゴット・ロビーとトム・アカーリーが、『オッペンハイマー』でクリストファー・ノーランとエマ・トーマスが、脚色賞には『バービー』でグレタ・ガーウィグとノア・バームバックが、脚本賞には『落下の解剖学』でトリエとアラリが、『メイ・ディセンバー ゆれる真実』でバーチとメチャニクが、短編アニメ映画賞には『Ninety-Five Senses』でジャレッド・ヘスとジェルーシャ・ヘス(英語版)がそれぞれ夫婦でノミネートされた[40]。
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』で作曲賞にノミネートされたジョン・ウィリアムズは自身の保持している、アカデミー賞における歴代最高齢でのノミネートの記録を91歳に、現在存命の人物では歴代最多のノミネート数の記録を54回に更新した[注釈 7][44]。
録音賞と視覚効果賞にノミネートされた『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』と視覚効果賞にノミネートされた『ゴジラ-1.0』はそれぞれ「ミッション:インポッシブル」シリーズと「ゴジラ」シリーズで初めてアカデミー賞にノミネートされた作品となり、『ゴジラ-1.0』は受賞を果たした[45][46]。また、『ゴジラ-1.0』は日本映画として初の視覚効果賞のノミネート・受賞となった[47][48]。日本映画・アジア映画が受賞した実績はないほか、山崎貴は監督として『2001年宇宙の旅』のスタンリー・キューブリック以来となる視覚効果賞を受賞する歴史上二人目の快挙となった[49] 。また、『ゴジラ-1.0』以外の全4作品は製作にジョージ・ルーカスが立ち上げたインダストリアル・ライト&マジック(ILM)が関わっているため、ILMが関与していない同作品が受賞するかでも注目された[50][51]。