ニール・ブロムカンプ監督の長編映画デビュー作品であり、本作は同監督の自作SF短編映画『アライブ・イン・ヨハネスブルグ
』(英題:Alive in Joburg)を長編化したものである。ストーリーはアパルトヘイト時代に起きたケープタウン第6地区からの強制移住政策を題材にしている。またDVD収録のコメンタリーでは、紛争の多い周辺国から避難してきた難民と南アフリカネイティブとの確執も葛藤した上で参考にしたともブロムカンプ自らが語っている。なお、舞台となった土地の社会情勢を下敷きにしてはいるが、上記コメンタリー内の脚本家コメントでは、監督の「これは政治的な映画ではない」との発言が紹介されている。作品の本来の目的は政治や社会への風刺、皮肉ではなく、人種対立の背景を持つ社会に新たな弱者としてのエイリアンを持ち込むという、設定の新奇さを売りにしたエンターテインメントであると語られている。実際、危険だがユーモラスなエイリアンの描き方、エイリアンの戦闘ロボットによる派手なアクションシーンなど、作品内では娯楽性が追求されている。
製作費は3千万ドルであり、ハリウッドのVFXを使った作品としては少ない。出演者はほとんどが無名俳優であり、主演のシャールト・コプリーは監督の高校時代の友人であるという。ちなみに主人公ヴィカスのセリフは、演じるシャールトによるアドリブである[2]。
元々は2006年にピーター・ジャクソンがゲーム『HALO』映画化のためにニール・ブロムカンプを起用したが、映画化の予算について製作会社とゲーム開発元マイクロソフトとの交渉が決裂した。そのため、ピーター・ジャクソンはニール・ブロムカンプの短編を長編化するプロジェクトを動かすことにしたという。
VFXはイメージエンジン、The Embassy Visual Effects、Zoic Studios、Goldtooth Creative、WETAデジタルが制作した。 2009年8月14日に全米公開され、初週末に3735万4308ドルを稼いで1位となった[3]。日本では、ワーナー・ブラザース映画とギャガの共同配給により2010年4月10日に公開された。 映画レビューサイトのRotten Tomatoesでは、276のレビューを集め、90%の支持率を得た[4]。 第82回アカデミー賞では作品賞、脚色賞、編集賞、視覚効果賞にノミネートされた。 その他第67回ゴールデングローブ賞等、2009年度の多数の映画賞でノミネート、賞を受賞した。日本では2011年に星雲賞メディア部門を受賞。 日本公開に合わせ、徳光和夫出演のTVCMを公開前から投入した。 2013年、ニール・ブロムカンプは本作の続編に関するトリートメントを執筆済みと語りつつも、それより先に映画化したいアイデアがあるとして、企画が実現するかは不明瞭だと語った[5]。2017年、The Vergeのインタビューに応えたニールは改めて続編企画について言及し、WETAデジタルと再びに映画を作れることを最高と評して、制作に前向きな姿勢を見せた[5]。 そして現地時間2021年2月25日、ニールはシャールト・コプリーおよびテリー・タッチェルと共同で『District 10(原題)』と題した続編の脚本執筆に取り組んでいることを自身のTwitterにて発表した[6]。
評価
興行面
批評面
プロモーション展開
続編
脚注^ a b “District 9 (2009)
^ “District 9 director Neill Blomkamp
^ “Weekend Box Office Result for August 14-16, 2009
^ “District 9 (2009)
^ a b “『第9地区』続編の可能性!監督が語る”. シネマトゥデイ (2017年6月6日). 2021年2月26日閲覧。
^ “『第9地区』続編製作へ!ブロムカンプ監督らが脚本執筆”. シネマトゥデイ (2021年2月26日). 2021年2月26日閲覧。
関連項目
アパルトヘイト
エリジウム(映画)
ポリティカル・フィクション
外部リンク
第9地区 - allcinema
⇒第9地区 - KINENOTE