2005年のアカデミー賞では、作品賞部門において、ノミネートの時点で興行収入トップ10入りした作品が一つもなかった。2004年の興行収益によると、最多ノミネートであった『アビエーター』は22位、『ミリオンダラー・ベイビー』は24位止まりであった。[1]
当初、マーティン・スコセッシの『アビエイター』が作品賞の最有力候補とみなされていたが、クリント・イーストウッドの『ミリオンダラー・ベイビー』が追い上げ、結局作品賞のみならず監督賞、主演女優賞、助演男優賞の主要部門4つを受賞する結果となった。『アビエイター』も5部門でオスカーを受賞したが、撮影賞や編集賞の受賞にとどまり、主要部門はいずれも逃した。
演技部門では、すでにインデペンデント・スピリット賞などを受賞していた『サイドウェイ』のポール・ジアマッティが主演男優賞部門のノミネートから落ちてしまったことが話題になった。
ドキュメンタリー部門において、高い評価を受けた政治的なテーマを扱った作品がノミネートされなかったとの批判もあったが、多くの作品は単に選定基準を満たさなかったとためにノミネートされなかった。例えばカナダのドキュメンタリー "The Corporation" や、アルジャジーラとアメリカ中央軍の関係を描いた "Control Room" などは劇場公開後9ヶ月以内にテレビ放映されたため、ノミネートされなかった。
また、映画界に貢献した人物に与えられるゴードン・E・ソーヤー賞が、パナビジョン・カメラを開発した日本人技術者宮城島卓夫に授与された[1]。
なお、受賞者全員にはイタリア・デルタ社のドルチェビータ・ミディアム・バーメイルモデルの万年筆とボールペンのセットが贈られた。 年々視聴率が落ちているアカデミー賞授賞式のため、司会には過激な発言で知られている若手スタンダップ・コメディアンのクリス・ロックを起用。ロックは授賞式以前からアカデミー賞を批判するような発言をしていたため、一部からは起用を危惧する声もあった。しかし、ジュード・ロウやトビー・マグワイア、ジョージ・W・ブッシュ等をネタにしたものの、放送禁止用語は使わず、比較的無難なものであったと言える。 前年に亡くなった映画人を偲ぶIn Memorialでは、アネット・ベニングがプレゼンターを務め、ヨーヨー・マがソロで演奏を行った。俳優のロナルド・レーガン、ピーター・ユスティノフ、フェイ・レイ、キャリー・スノッドグレス、ジャネット・リー、クリストファー・リーヴ、ハワード・キール、ジェリー・オーバック、マーセデス・マッケンブリッジ、ポール・ウィンフィールド、ヴァージニア・メイヨ、ロドニー・デンジャーフィールド、トニー・ランドール、マーロン・ブランド、映画監督のラス・メイヤー、フィリップ・ド・ブロカ、作曲家のエルマー・バーンスタイン、ジェリー・ゴールドスミスらの功績が称えられた。 太字は受賞である。また、以下での人名表記は
式典
司会
プレゼンター
ドリュー・バリモア
アネット・ベニング
ハリー・ベリー
ブラッド・バート
ケイト・ブランシェット
オーランド・ブルーム
ピアース・ブロスナン
ショーン・コムズ
ペネロペ・クルス
レオナルド・ディカプリオ
キルスティン・ダンスト
ジョシュ・グローバン
ジェイク・ギレンホール
サルマ・ハエック
ダスティン・ホフマン
ジェレミー・アイアンズ
サミュエル・L・ジャクソン
スカーレット・ヨハンソン[1]
ビヨンセ・ノウルズ
ローラ・リニー
ヨーヨー・マ
マイク・マイヤーズ
アル・パチーノ
グウィネス・パルトロー
ショーン・ペン
ナタリー・ポートマン
プリンス
ティム・ロビンス
ジュリア・ロバーツ
エミー・ロッサム
アダム・サンドラー
マーティン・スコセッシ
バーバラ・ストライサンド
シャーリーズ・セロン
ジョン・トラボルタ
ロビン・ウィリアムズ
ケイト・ウィンスレット
レネー・ゼルウィガー
チャン・ツィイー(アルファベット順)
In Memorial
候補と受賞の一覧
作品の日本語公式情報およびAMPAS公式サイトの日本版とWOWOWによる授賞式放送での表記に準ずる。
見当たらない場合はデータベースサイトなどを参考。
それでもない場合は英語表記のままとする。
作品賞
アビエイター - マイケル・マン、グレアム・キング
ミリオンダラー・ベイビー - クリント・イーストウッド、アルバート・S・ルディ、トム・ローゼンバーグ