第49回衆議院議員総選挙
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9月29日、菅の後任の自民党総裁に選出された岸田文雄は、10月4日に首相に就任。同日の記者会見で「今月14日衆議院を解散し、19日公示31日に総選挙を行う」と表明した[6]。衆議院議員の任期満了年と同じ年に総選挙が行われるのは2009年以来、12年ぶり。任期満了以降に総選挙が行われるのは、現行の日本国憲法下では初めてであり[注 2][7]、また令和への改元後最初の総選挙となった。

新型コロナウイルス感染症の流行が続く中での総選挙となったが、総務省は2020年4月、各都道府県の選挙管理委員会に対し「緊急事態宣言がなされた場合においても選挙は公職選挙法の規定に基づき執行する」と通知しており[8]、選挙が執行できないことは想定していなかった。投票所では入場規制など、対策を行った自治体もあった[9]

投票が終了した10月31日20時、NHKと民放5大ネットワーク(日本テレビテレビ朝日TBSテレビテレビ東京フジテレビ)をはじめとする各種メディアが出口調査の結果を一斉に報道。自民党・公明党の連立与党は勝利するものの、自民党単独での過半数維持は微妙とされた[10]。野党側については立憲民主党の議席増・日本維新の会の大躍進が伝えられた。しかし、結果的には各社の出口調査は一部を除いて大きく外れる事態となった[11]

自民党が追加公認2名(東京15区柿沢未途奈良3区田野瀬太道)を含めた261議席を獲得し、公示前の276議席から減らしたものの衆院の常任委員長ポストを独占したうえで各委員会の過半数を握れる「絶対安定多数」(261議席)を単独で確保した。公明党は32議席だった[12]。また、現職議員との兼ね合いによる保守分裂の関係で公認を得られなかったものの小選挙区で当選した細野豪志平沼正二郎西野太亮が選挙直後に自民党に入党している。

2020年に結党された立憲民主党と国民民主党にとって、初めての国政選挙となった[注 3]。立憲民主党は公示前の110議席から96議席に落ち込んだ。小選挙区こそ公示前の48議席から57議席に増えたものの、比例代表は公示前62議席から39議席まで大幅に減らした[13]。立憲民主と共産、国民民主、れいわ新選組、社民の野党5党は全289選挙区の75%にあたる217選挙区で候補者を一本化して臨んだが、この217選挙区で当選した野党5党の候補は野党系無所属を含めても62人(29%)で、公示前の51人から大きく上積みできなかった。比例区では立憲と国民の得票は計約1400万票にとどまり、前回2017年の旧立憲民主党希望の党の計約2000万票を大きく下回った。共産も得票を減らしており、共闘野党の不振につながった[14]。一方、自民党側にとっては自民が5,000票未満の僅差で逃げ切った選挙区は17に上り、34選挙区が1万票未満の差であったことから、「薄氷の勝利」(自民党幹部)との見方も出た[15]。このほか、国民民主党は3議席増の11議席、れいわ新選組が比例で3議席を獲得[16]。社民は現状維持の1議席に終わった。

日本維新の会は公示前の11議席を大きく上回る41議席を獲得した。地盤とする大阪では公明党と棲み分けた4選挙区を除く15選挙区で全勝し兵庫でも選挙区で1議席を獲得(兵庫県第6区)。比例代表でも旧希望の党との競合で伸び悩んだ前回から500万票近く上積みし、805万票を獲得。比例北海道ブロックを除く10ブロックで議席を確保した[17]。特に比例近畿ブロックでは最多の10議席を獲得、大阪府で全勝したことによって先述の小選挙区で勝利した兵庫6区以外の兵庫県で擁立した全ての選挙区の候補者が比例復活した。

今回の衆院選では与野党の「大物候補」や「高齢・ベテラン候補」が苦戦を強いられた。自民党の石原伸晃幹事長や、立憲民主党の平野博文代表代行兼選対委員長、辻元清美副代表が比例復活もならず落選。自民党の甘利明幹事長は比例復活したものの、自身の小選挙区での敗北を受け幹事長の辞任を表明した。また、現職の閣僚である若宮健嗣万博担当大臣も小選挙区で敗れ比例復活となった。一方立憲民主党では「無敗の男」との異名を取っていた中村喜四郎建設大臣海江田万里元民主党代表のほか[18]、初当選以来17期52年落選することなく連続勝利していた小沢一郎元民主党代表が小選挙区で敗北した(全員比例復活)。また、小沢一郎の次に現役議員として長く当選を重ね、小泉純一郎などYKKトリオと初当選が同期で48年10ヶ月議席を守り続けていた自民党の野田毅自治大臣原田義昭環境大臣山本幸三地方創生担当大臣も落選した[19]

閣僚経験者では自民党の金田勝年法務大臣塩谷立文部科学大臣桜田義孝五輪担当大臣平井卓也デジタル担当大臣、立憲民主党の中川正春元文部科学大臣が小選挙区で落選した(全員比例復活)。

新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言中に東京・銀座のクラブを訪問した問題で自民党を離党した松本純国家公安委員長、同じく歌舞伎町の飲食店で遊興していた問題で(旧)立憲民主党を除籍となり、れいわ新選組公認で出馬した高井崇志も落選した[20][21][22][23]。また、公示直前に北朝鮮による拉致被害者に関する不適切な発言をしたため、立憲民主党の公認を辞退し無所属で出馬した生方幸夫が落選した。メディアはこの問題発言が影響したと報じた[24]

高齢議員では、前述の80歳の野田毅、79歳の小沢一郎、77歳の原田義昭、73歳の山本幸三、72歳の甘利明・中村喜四郎、71歳の中川正春・塩谷立のほか、74歳の自民党三原朝彦、73歳の立憲民主党篠原孝などが小選挙区で敗れ(73歳定年制で比例重複立候補しなかった野田・原田・山本・三原を除いた全員が比例復活)、80歳の衛藤征士郎衆議院副議長は654票差、74歳の北村誠吾元地方創生担当大臣は391票差まで次点候補に詰め寄られた[25][26]。自民党は党が内規で定める比例区の「73歳定年制」により小選挙区単独で立候補した24人の内7人が落選している[27]。一方で、立憲民主党の代表の57歳の枝野幸男も自身の選挙区で自民党の牧原秀樹に対して苦戦し、枝野の当確が出たのが日付が変わった後で結果は6,083票差(惜敗率94.65%)で辛くも勝利した。


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