第三軌条方式
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横軽線に多数存在するトンネル蒸気機関車用の規格で作られており、架空電車線化するためにはトンネル断面を高さ方向に拡張する工事が必要であった。その工事費用は莫大なものとなることが予想されたため、低予算で実現可能な第三軌条方式が採用されたのである。

なお、横川駅および軽井沢駅構内は、機関車付け換え作業や貨車入換作業時の安全性を考慮して架空電車線方式を採ったため(こちらも直流600ボルト)、機関車はいずれも集電靴とパンタグラフ(初期はポール)の双方を装備したハイブリッド集電方式としていた。また、機関車がいずれもロッド駆動であったこともあり、電車とは異なり、機関車の集電靴はいずれも車端部に装備されていた。
上面接触と下面接触

レールの上側と下側のどちらを集電靴が擦るのかは、国によってもさまざまである。

日本では、前項で紹介した信越本線の横軽以外は、すべて上面接触である。一方、ドイツでは、ベルリンSバーンなどのように下側に接触しているものもある。
第四軌条方式

四軌条方式(Four rail system)はロンドン地下鉄のみで見られるもので、通常位置の第三軌条から集電した電力を、走行用レールではなく、その間に設置した第四軌条(フォースレール)に返す方式。

三相交流給電ゴムタイヤ式のモノレールでも第四軌条まで、同方式自動案内軌条式旅客輸送システムでは第五軌条まで必要になる事がある。
他の集電方式との併用

日本で最初に第三軌条方式を採用した信越本線では前述のように架空電車線方式と併用したハイブリッド集電の機関車としていたが、1963年(昭和38年)に架空電車線方式の新線に切り替えられ消滅したため、他の集電方式と併用して運用されている路線や両電化方式を行き来できる電気機関車や電車は現在ない。2025年日本国際博覧会に合わせ、近畿日本鉄道が同社の奈良線(架空電車線方式)とけいはんな線(第三軌条方式)、Osaka Metro中央線(第三軌条方式)を直通できる専用の特急車両を開発する構想を発表している[3]。また、両電化方式が混在するアメリカのニューヨーク近郊のメトロノース鉄道における専用車両について、日本の鉄道車両メーカーである東急車輛製造川崎重工業が、イギリスのロンドン近郊における専用車両については日立製作所が納入した実績がある。

日本国外では上述のメトロノース鉄道以外にも区間がいくつかあり、イギリス国鉄クラス313電車など、両方の集電方式に対応した電車や電気機関車が活躍している。

普段はディーゼル発電機によって発電した電気で走る電気式ディーゼル機関車として運用されているが、排出ガス規制のある地下のターミナル駅に乗り入れる際にはエンジンを止めて第三軌条方式(もしくは架空電車線方式)によって集電した電気によって走る電気機関車とすることで乗り入れを可能とした車両がある。

複数の電化方式に対応した高価な専用車両を用いなくとも、直通運転や効率的な運用ができるよう、同じ区間が架空電車線方式と第三軌条方式の両方の方式で電化された箇所もあり、主に大きなターミナル駅構内やその周辺に多い。

両電化方式に対応した日本国鉄ED42形

パンタグラフを畳み第三軌条方式の路線を走る高速列車ユーロスター373系電車

両電化方式に対応。台車に集電靴、屋根上にパンタグラフを備えるメトロノース鉄道M8形電車

第三軌条集電による電気機関車としても運用可能なアメリカのP32AC-DM形機関車

電気機関車としてニューヨークの地下駅に乗り入れたロングアイランド鉄道のディーゼル機関車

両方の方式で電化されたイギリスのファリンドン駅構内

第三軌条方式の採用例
アジア

日本

札幌市交通局南北線):直流750V ゴムタイヤ式

東京地下鉄銀座線丸ノ内線):直流600V(750Vに昇圧予定[4]

横浜市交通局ブルーライン(1号線・3号線)):直流750V

名古屋市交通局東山線名城線名港線):直流600V

大阪市高速電気軌道御堂筋線谷町線四つ橋線中央線千日前線):直流750V

近畿日本鉄道けいはんな線):直流750V


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