第一次世界大戦
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

イタリア王国ドイツ帝国およびオーストリア=ハンガリー帝国と三国同盟を締結していたが、未回収のイタリアを巡ってオーストリアと対立していたため、英仏とロンドン密約を結んで連合国側で参戦した[9]

諸国が参戦するにつれて両陣営の同盟関係は拡大されていき、例えばイギリスと日英同盟を結んでいた大日本帝国は連合国として、ドイツと同盟を結んでいたオスマン帝国は中央同盟国側について参戦した[10]。参戦国や戦争に巻き込まれた地域は、2018年時点の国家に当てはめると約50カ国に達する[11]
名称

第一次世界大戦は、第二次世界大戦が勃発するまで、世界戦争 (World War) または大戦争 (Great War) と呼ぶのが一般であった[12]。あるいは、欧州大戦 (War in Europe)、戦争を終わらせるための戦争 (the war to end war[13]) という表現もあった[13][14]。主に第一次世界戦争(First World WarまたはWorld War I)と呼ばれるようになったのは第二次世界大戦以降である[15][16]

このうち「世界戦争」 (ドイツ語: Weltkrieg) という用語が初めて使われたのはドイツ帝国であり、この名称が使われた背景にはドイツの帝国主義政策「世界政策」 (Weltpolitik) の存在などがあったという[17]。1917年のアメリカ合衆国参戦後、合衆国国内でも「世界戦争」という名称が従来の「ヨーロッパ戦争」に取って代わった[17]

「第一次世界戦争」 (First World War) という用語が初めて使われたのは、1914年9月、ドイツの生物学者、哲学者であるエルンスト・ヘッケルが「恐れられた『ヨーロッパ戦争』は疑いもなく(中略)完全な意味での『初の世界戦争 (the first world war) 』となるだろう」と述べた時だった[注釈 3][18]。1939年に第二次世界大戦が勃発した後「第一次世界戦争」という用語が主流になったが、イギリスとカナダの歴史家はFirst World Warを、アメリカの歴史家はWorld War Iを多用した[19]

一方、「大戦争」 (英語: Great War, フランス語: la Grande Guerre) という用語は、主に大戦中のイギリス・フランス両国で用いられた[17]。カナダでも1914年10月号のマクリーンズ誌(英語版)が「大戦争」 (Great War) とした[20]。1930年代以降、英仏両国でも「世界戦争」が第一次世界大戦の名称として使われるようになるが、2014年においても第一次世界大戦を指して「大戦争」と呼ぶ用法は両国内で広く用いられているという[17]

歴史家のガレス・グロヴァー(英語版)は著書の『100の物が語るウォータールー』 (Waterloo in 100 Objects) で、「この前置きは大戦争という名称が常に1914年から1918年までの第一次世界戦争を意味する環境で育った人にとっては当惑するものかもしれない。しかし、1918年以前を生きた人々にとって、大戦争という称号はイギリスが1793年から1815年までの22年間、フランスと戦った革命戦争ナポレオン戦争を意味した」と述べた[21]。例えば、歴史家のジョン・ホランド・ローズは1911年に『ウィリアム・ピットと大戦争』 (William Pitt and the Great War) という著作を出版したが、題名の「大戦争」はフランス革命戦争とナポレオン戦争を指している。

木村靖二によれば、日本で定着した名称「世界大戦」は、「世界戦争」と「大戦争」のいずれでもなく両者を組み合わせたものであり、他国には見られない珍しい名称であるという[17]
略史

戦争の引き金となったのは1914年6月28日、ユーゴスラヴィア民族主義者(英語版)の青年ガヴリロ・プリンツィプが、サラエヴォへの視察に訪れていたオーストリア=ハンガリー帝国の帝位継承者フランツ・フェルディナント大公を暗殺した事件(サラエボ事件)だった。

これにより、オーストリア=ハンガリーはセルビア王国最後通牒を発するという七月危機が起こった[22][23]。各国政府および君主は開戦を避けるため力を尽くしたが、戦争計画の連鎖的発動を止めることができず、瞬く間に世界大戦へと発展したとされる[24]。そして、それまでの数十年間に構築されていた欧州各国間の同盟網が一気に発動された結果、数週間で主要な欧州列強が全て参戦することとなった。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:644 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef