第一姓
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

中国をはじめとする漢字文化圏およびマジャル人ハンガリー人)の人名も原語表記では姓-名で表記されるが[24]、それ以外のヨーロッパ諸言語(英語ドイツ語フランス語スペイン語等)では名-姓で表記される。

2000年に文部省国語審議会は、日本人の人名表記についてはローマ字表記においても「姓―名」の順が望ましいと答申した[25]。日本人の姓名については、ローマ字表記においても「姓―名」の順(例:Yamada Haruo)とすることが望ましい。なお、従来の慣習に基づく誤解を防ぐために、姓をすべて大文字とする(YAMADA Haruo)、姓と名の間にコンマを打つ(Yamada, Haruo)などの方法で、「姓―名」の構造を示すことも考えられる。 ? 2000年、文部省国語審議会[25]

日本サッカー協会ではこの答申に従って2012年4月から選手名を姓-名とし、姓を大文字にして表記している[26]

科学技術情報流通技術基準(SIST)では「(論文の)参照文献欄の欧文著者名の記載順は「名・姓」順ではないのですか」という問いに対し次のように回答。参照文献についてのISO規格(SIST 02作成時はISO 690:1987)は、姓を先に書くことを規定しています。改正版(ISO 690:2010)でも同様です。原論文での欧文著者名の表記が「名・姓」順であっても、参照文献欄の表記では図書目録と同様に「姓・名」の順にします。なお、参照文献欄が「名・姓」順のままの雑誌もあります。2011年のScience誌の参照文献欄は「名のイニシャル・姓」の順、Nature誌は「姓・名のイニシャル」の順でした[27]

科学技術情報流通技術基準(SIST)はまた、「日本語論文の参照文献欄で外国人名をカタカナ表記する場合、「姓・名」順ですか。複数著者名の場合の区切り記号は何ですか」との問いに対し、次のように回答した。SIST 02(参照文献の書き方)の「4.1.1 個人著者名(1)」の記載例「ケネディ,ジョン F.」のように、欧文著者名と同様に「姓・名」順です。カタカナ氏名を含む複数著者名の場合は、SISTでは規定していませんが、欧文著者名の場合を当てはめて以下の例に示すようにセミコロンで区切ります。(例) 森康夫;ケネディ,ジョン F.;オバマ,バラク[28]

日本政府は2019年10月に「公用文等における日本人の姓名のローマ字表記について」を発表し、2020年1月から政府の各府省庁の公用文におけるローマ字表記においては「姓・名」の順に統一することとした[29]。グローバル社会の進展に伴い、人類の持つ言語や文化の多様性を人類全体が意識し、生かしていくことがますます重要となっており、このような観点から、日本人の姓名のローマ字表記については、「姓-名」という日本の伝統に即した表記としていくことが大切である。各府省庁が作成する公用文等において日本人の姓名をローマ字表記する際に、姓と名を明確に区別させる必要がある場合には、姓を全て大文字とし(YAMADA Haruo)、「姓-名」の構造を示すこととする。 ? 令和元年(2019年)10月25日関係府省庁申合せ

これを受けて日本放送協会(NHK)も、2020年3月30日から、放送やWEBサイトでの表記を「姓・名」の順に統一することとしている[30]
英語や西洋言語における日本人姓名の順序

英語では、存命中または最近死去した日本人の姓名に関して、一般的には姓が最後(名-姓の順序)でマクロンを付さずに与えられる[31]。歴史上の人物では名字が最初に(可能ならマクロンありで)付けられる[注釈 1][32]

日本人は通常、英語や西洋言語を使う際に、伝統的な日本の姓名順序とは逆の「名-姓」という順序で姓名を紹介する[33][34]。明治時代の日本で始まったもので、多くの英語出版物では現代日本人の姓名順序は姓が後ろになっている。文部科学省の国語審議会は、この慣習が明治時代に定着したと次のように書いている。日本人の姓名をローマ字で表記するときに、本来の形式を逆転して「名-姓」の順とする慣習は、明治の欧化主義の時代に定着したものであり、欧米の人名の形式に合わせたものである。現在でもこの慣習は広く行われており、国内の英字新聞や英語の教科書も、日本人名を「名-姓」順に表記しているものが多い。(中略)一般的には「名-姓」順とし、歴史上の人物や文学者などに限って「姓-名」順で表記している場合もある[35]

明治時代に起こった脱亜入欧の側面として、日本人は欧米言語において西洋の「名-姓」という順序を採用し、当時の日本が後進国ではなく先進国であることを世界により広く知らしめることになった。球技などの国際的イベントに参加する際も、日本人は西洋の「名-姓」順序を使用していた[36]。日本人には実際の名の短縮形となるニックネームがしばしばあり、彼らは外国人と一緒の時にこれらの名前を使うことも多い。 例えば、「カズユキ」は自分自身を「カズ」と呼んだりもする[34]。これらの名前はミドルネームとは見なされない[34]日本語表記では姓が先で、英語表記では名前が先という例。声優の折笠富美子(Fumiko Orikasa)。

大半の海外出版物では存命する日本人の姓名は逆さになっており、大半の日本人は海外販売するもの(書籍など)に書き込む自分の姓名を逆さにしている。海外と取引を行う日本企業の幹部役員は通常2種類の名刺を持っており、1つが国内で使う日本語だけのもので、もう1つが外国人向けで西洋式に「名-姓」となっているものである。海外の著名な報道出版物では、西洋式順序が用いられている[37][36]

歴史上の人物は、英語でも名字が最初に呼ばれることが多い[35]。これは特に、日本に関する学術著作の中でそうなっている[36]。多くの学術著作は一般的に日本人の姓名について日本式の順序を使用しており、もしも著者が日本人学者ならば学術著作は日本式の順序を使用する可能性がより高い。『ジャパニーズ・ネームズ』の著者ジョン・パワーは「日本語を話したり読んだりできる人は、日本人の姓名を西洋式の順序に変えることに強い抵抗がある」と記した[34]。これら作家によって書かれた書籍には、日本人の姓名がオリジナルの順序であるという注釈がしばしば入っている[34]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:70 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef