竜_(トールキン)
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俗に「大竜」と呼ばれるような火竜はスマウグが最後の個体であったらしく、スマウグの死後、そのような強力な火竜の類は途絶えてしまったと思しいが、竜族そのものは絶滅しなかったと思わしい[4]
起源

種族としての竜族の起こりは現在でも不明である。多くの闇の種族や怪物がそうであったように、モルゴスがその誕生に関与した事は確かだが、それ以前の状態(例えばバルログが堕天する以前はマイアールであったように)は未知である。
登場する個体
グラウルング - Glaurung

史上最初に出現した巨大な竜で、竜の祖とされ地を這い火を吐く竜。黄金竜、全ての竜の父、祖竜、アングバンドの長虫などの呼び名がある。残忍だが非常に奸計に長けていて、彼の真の恐ろしさは炎や牙よりも、その狡智と魔力にあると言われた。その知力と魔術は竜族の中でも比類なき強力・辣腕さであった。

アングバンドより四度出撃し、そのたびにその強大な力でエルフや人間の軍勢を敗退せしめ破壊の限りを尽くす。最初の出現時は、未だ成育しきってはいない状態で出撃し、数多くの矢を射掛けられ撤退するが、エルフ諸侯を仰天させるには十分だった。その後二百年を経て成育した後、時のダゴール・ブラゴルラハにおいてバルログらと共に先陣を切って出撃し(バルログ達ですらグラウルングの後続であった)、エルフ軍の包囲網を壊滅させ追い散らした。ニアナイス・アルノイディアドにおいても出撃し猛威を振るったが、その際はドワーフ王アザガルの軍勢に取り囲まれ、アザガルによって腹部を短剣で刺されたことで傷を負い、アングバンドへと後退する。この時は、グラウルングの他にも竜たちが戦場へと繰り出していた。

後年にはオークの軍勢を率いてナルゴスロンドを襲撃し、その財宝をことごとく奪い去ってそこに巣食った。その最中にトゥーリンを邪視と呪言で翻弄したためその恨みを買う。また、後に遭遇したトゥーリンの妹ニエノールに対して忘却の呪いをかけたことで、兄妹はその後悲惨な運命を辿ることになる。斯様に悪虐の限りを尽くしたグラウルングだったが、その最期はトゥーリンによって齎される。新たな襲撃のために崖を渡ろうとした際、崖下に潜んでいたトゥーリンに腹部を魔剣グアサングで深々と刺されることにより致命傷を負う。しかし、死の間際に毒血と邪視をまき散らし、忘却の呪いを解いたことによってトゥーリンとニエノールを死に追いやる。
アンカラゴン - Ancalagon the black

著名な黒竜。その名はシンダール語にて「突進する顎」の意を持つ[注 10]。また、古英語上での抵抗・妨害・敵対・反対等の意を持つ語 Andracca と 憎悪嫉妬等の意の Anda, そして Draca (「竜」)を組み合わせた名でもある[12]。表記として「黒のアンカラゴン」や「黒竜アンカラゴン」とするものが多い。第一紀の最後、中つ国史上最大級の戦争である「怒りの戦い」の最終局面にて、突如出現したモルゴス軍の切り札である翼持つ火竜達の中でも、最大で最強のものだった。

ヴァリノールの軍勢に莫大な数のアングバンド軍が圧倒される中、突如アングバンドより同族とともに出撃しヴァリノール軍を一時的に押し返した。やがて戦いに加わった大鷲及び、天空の船ヴィンギロトに乗ったエアレンディルと激しく戦い、丸一日の攻防の末にエアレンディルに滅ぼされた。

どれだけの大きさであったかは明記されていないが、アンカラゴンの墜落した衝撃でサンゴロドリムの塔は毀たれたといわれる。

『指輪物語』においてガンダルフが、力の指輪を滅ぼす方法として竜の火を挙げながら、一つの指輪においては「かの黒竜アンカラゴンの火をもってしても不可能であろう」と述べている[注 11]
大冷血竜 - The Great Cold-Drake

能力や顛末など詳細が不明な大竜。当時のドゥリン一族の王国を襲撃、圧倒的な力で制圧した。この災禍により、トーリン・オーケンシールドの曽祖父ダイン一世とその第二子のフロールらが犠牲になり、後のスマウグとトーリン二世の戦いなど、この一族の竜族との因縁が強いことが見て取れる。
スカサ - Scatha

第三紀、灰色山脈において猛威をふるった大竜。スカサ(英語版)とはローハン語における呼称であり、長虫スカサ(Scatha the Worm)または大長虫とも呼ばれる。ドワーフから略奪を繰り返したが、北方人(ロヒアリムの祖)の族長フラムにより滅ぼされた。しかし、その死蔵していた財宝を巡りフラムとドワーフの間にいさかいが起こり、フラムはドワーフに殺害されたとされる[注 12]

その財宝の一つに、ローハンで代々受け継がれるようになった角笛がある。指輪戦争での功をたたえてメリアドク・ブランディバックに贈られたこの角笛は、後のホビット庄での戦いにおいて使用された。
スマウグ - Smaug詳細は「スマウグ」を参照

第三紀では最大とされる翼のある火竜で、中つ国における最後の大竜とされる。黄金竜と呼ばれるが、これは長年溜め込んだ黄金や宝石が体にこびりついた結果であるという。

はなれ山(エレボール)にあるドワーフの山の下の王国と人間の谷間の国を襲撃して滅ぼし、約二百年にも渡ってそこに巣食ったが、最後は復讐のドワーフたちと共にやってきたホビットビルボ・バギンズによって弱点を見抜かれ、ツグミの伝達により情報を得た谷間の国の末裔バルドの手により心臓付近の鎧のほころびを弓で射抜かれ滅ぼされる。
Gostir

下記のゴンドリンの獣とは対照的に、名前以外は殆ど何も知られていない竜。名前にGos [注 13]が含まれており、その名の意味するところは「dread glance」、即ち恐怖の視線(一瞥) である[13]賢者トゥアゴンの塔の崩壊を描いた絵画初期稿におけるゴンドリンの襲撃時にゴスモグを背に乗せる竜
ゴンドリンの獣 - The Beast (Fire-Drake) of Gondolin

トールキンの草稿の中でも、極めて初期のものである『ゴンドリンの没落』に登場する竜。この個体は厳密な名前が判明していない。ゴンドリンの滅亡時に活躍した雄の大竜で、バルログを背に乗せ[注 14]、他の怪物たちと共に現れた。戦禍の中、エダインの英雄トゥオルに喉を傷つけられた際に苦悶し暴走、周囲を破壊・焼き尽くしながら暴れまわり、尻尾の一撃で大勢のオークノルドール人を潰した後に撤退した。


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