竜_(トールキン)
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怒りの戦いにて、アングバンドから翼竜の軍勢が出現した際に、「雷や炎の嵐を伴っていた」と表現されている[注 4]が、これは竜たち自身が雷を発したのか、モルゴスが発生させたのか、たとえば火山雷の様な現象が発生したのかは不明である。しかし、類似した表現・名称として下記のスパーク竜が見られる。

なお、『Middle-earth Role Playing』などの二次創作物では、冷血竜などの地這い竜の(肉体的な)物理的破壊力は翼のある竜族よりも強力だったと言われ、また、冷血竜の一部には火炎は吐かないが魔力を行使したり、口から煙や霧、高温の水蒸気[注 5]を吐き出すものもいたとされる。 

弱点

このように猛威を振るう存在でありながら、弱点(主に鱗で鎧われていない腹部であるとされる)を突かれるとたちどころに滅ぼされる展開が多い。反面、完全に成長しきった竜の鱗に覆われた部分は、非常に堅固で通常の攻撃を寄せ付けない。しかし、成長しきってない若竜の場合、鱗が完全ではないため傷つきやすい。また成長しきった竜の鱗であっても、ドワーフの振るう大鉞に対しては完全な武装とはいえない。[5]その他に、成長に大変な時間を要するため、兵力としての柔軟性に欠ける部分があり、竜族特有の傲慢性からか敵を見くびって隙を突かれたり、弱点に特化した攻撃を受けて倒される事もある。歴史的に竜を倒した際に英雄が使用していた武器はエルフやドワーフの特別製や魔力を持つなど特別な武器であることが多い。

また大量の水も苦手である。泉や川程度のものならば竜の体温の方が勝るため問題ないが[注 6]、大量の水を蓄える湖ともなると話は別で、スマウグはハッキリと暗い水の深くて冷たすぎるのが苦手であると書かれている。その上、火と水ということになれば竜は到底湖にはかなわないため、対岸に泳ぎ抜ける前に水に消されてしまう、と記されている[6]

さらには、竜は総じて高い攻撃力を持つものの、炎を短時間に大量に吐きすぎたりすることで、一時的にその持てる力が弱体化することがある。グラウルングとオークの大軍がナルゴスロンドを滅亡させた後に、その地で指揮を執っていたトゥーリン・トゥランバールの捜索と、フィンロド・フェラグンドの王宮内の偵察のために、ドリアスのマブルング率いる部隊や、トゥーリンの母妹とそれを護衛する騎士のエルフ達がその地を訪れた。接近する偵察部隊を迎撃するために、突如としてグラウルングが出撃した際、凄まじい炎を吐きつつナログ川を渡ったために、周囲に近づいていたエルフたちが盲となる程の大量の蒸気が発生した。この時岩陰に隠れ潜んでいたマブルングの傍らを、その巨体にもかかわらず、あっという間に通過して去っていく程のスピードを誇ったグラウルングだったが、襲撃終了後戻ってくる時には、ゆっくりとひそやかに進むようになっていた。というのも、この時のグラウルングの体内の全ての炎は衰えてしまっていたからである。その上その強靭な体力も失われてしまったため、竜の体は闇の中での休息と眠りを必要とする程にまで弱体化してしまっていた[7][注 7][8]

天敵は大鷲族(こちらもマイアの可能性が示唆されている)、竜の敵として巨鳥が置かれるのはガルーダ鳥など古今東西からよく見られる設定である。両種族とも、エルフやビヨルンリングなどの魔法族同様に上古の時代(第一紀)の個体の方が後世の者たちより遥かに強力で巨大な傾向にある。
特徴

性質は邪悪で、使い道もないのに財宝を貪欲に求める。だが自分たちでは何一つ生み出せないため、他者から財宝を奪う。そして奪ったそれを山と積み上げて褥とし、その上に眠る。また奪った財宝に固執し、生きている限りそれを守り続ける。財宝の価値は心得ているものの、その細工の良し悪しの判別はできない。その性質から古来ドワーフと因縁が深く、数多くのドワーフの国が竜に滅ぼされ略奪を受けたため、ドワーフ達の激しい憎悪が向けられる場合も多い。ドワーフ族は、ほかのどの自由の民よりも竜の炎と熱に対する耐性が高かったとされている。[5]しかし竜の破滅は、結果的にドワーフ以外の種族の手によって下されることが多い。有事でない限りは積極的に群れを作るなどの社会行為は確認されていないが、第一紀ではバルログ達と軍勢の指示を司ったり、竜そのものが大戦での指揮を任されることも度々あった。

だが一方で、モルゴスの影響下に絶えずあった第一紀の竜を除くと、特にスマウグなど後世の竜に特徴的だが、自らの欲望が満たされていて、他者(サウロンなど)からの干渉を受けない限りは、中つ国の歴史の流れには無関心・無干渉な姿勢を見せる面もある[注 8]

また非常に知能が高いゆえか、謎めいた話に惹かれてしまう習性がある。これにはどんな竜でも抗うことが出来ず、その謎を解き明かそうとする面白さについつい時を費やしてしまう。[9]ホビットの冒険』では、作中ビルボ・バギンズスマウグと対峙した際、この習性を利用することで上手く立ちまわっている。

第一紀末の超大戦「怒りの戦い」にて殆どがバルログやオーク、その他の数多の闇の怪物と共に滅ぼされたが、極少数(地を這う竜か有翼の竜か明記されていないがわずか二頭とされている[10])が生き延びて数を増やした。第二紀では目立った活躍は見られないが[注 9][11]、第三紀に入ってから北方の灰色山脈やその麓のヒースのかれ野で数を増やし、ドワーフや人間などを中心に脅威を与えることとなる。

俗に「大竜」と呼ばれるような火竜はスマウグが最後の個体であったらしく、スマウグの死後、そのような強力な火竜の類は途絶えてしまったと思しいが、竜族そのものは絶滅しなかったと思わしい[4]
起源

種族としての竜族の起こりは現在でも不明である。多くの闇の種族や怪物がそうであったように、モルゴスがその誕生に関与した事は確かだが、それ以前の状態(例えばバルログが堕天する以前はマイアールであったように)は未知である。
登場する個体
グラウルング - Glaurung

史上最初に出現した巨大な竜で、竜の祖とされ地を這い火を吐く竜。黄金竜、全ての竜の父、祖竜、アングバンドの長虫などの呼び名がある。残忍だが非常に奸計に長けていて、彼の真の恐ろしさは炎や牙よりも、その狡智と魔力にあると言われた。その知力と魔術は竜族の中でも比類なき強力・辣腕さであった。

アングバンドより四度出撃し、そのたびにその強大な力でエルフや人間の軍勢を敗退せしめ破壊の限りを尽くす。最初の出現時は、未だ成育しきってはいない状態で出撃し、数多くの矢を射掛けられ撤退するが、エルフ諸侯を仰天させるには十分だった。その後二百年を経て成育した後、時のダゴール・ブラゴルラハにおいてバルログらと共に先陣を切って出撃し(バルログ達ですらグラウルングの後続であった)、エルフ軍の包囲網を壊滅させ追い散らした。


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