突撃歩兵
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塹壕での近接戦闘や白兵戦では、32発のスネイル型マガジンを装備したルガーP08が多用された。

1915年に採用された1915年型柄付き手榴弾は1916年のヴェルダンの戦い以降から突撃大隊の基本装備となった。特攻隊では通常の歩兵よりも多く携行するために両肩に下げた麻袋に手榴弾を装備していた。柄付き手榴弾の他に「1917年型卵型手榴弾(英語版) (Eierhandgranate)」も装備されていた。
支援火器荷車で運搬される08/15軽機関銃。使用時には射手が手で持ち運んだ。7.62cm歩兵砲

特攻隊では個人装備の小火器などで武装した部隊とは異なる支援部隊が存在していた。支援部隊には敵陣へ向けて疾走できる脚力を持つ若者が集められ、その兵器としては手榴弾に加えて“軽量機関銃”が必要とされた。ドイツにおいては、1915年から塹壕戦の需要に応え得る“軽量機関銃”の開発が進められていた。 当初は自動拳銃をフルオートで射撃できるよう改造したマシン・ピストルや、62kgもあったMG08重機関銃を18kgまで軽量化して3名で携帯可能としたMG08/15などが検討されたが、いずれも能力・重量において不適格と判断され、1917年になっても“軽量機関銃”プランは実現していなかった。

攻勢を前にして、“軽量機関銃”を実用化する必要に迫られたドイツ軍は、MG08を空冷化して15kgまで軽量化を進めたMG08/18を製造するとともに、簡易な構造で拳銃弾をフルオート射撃できる短機関銃を考案した。

全く新しいジャンルの兵器であり、当時は現物が存在していなかった短機関銃だったが、MG08/18で後方から敵陣に牽制射撃を加えながら突撃歩兵が敵陣まで疾走して肉薄すれば、短い射程の拳銃弾でも充分な制圧火力が発揮でき、手榴弾の投擲と合わせれば確実に敵の機関銃を制圧できる事が想定された。なにより単純な構造であれば、攻勢に間に合うだけの短期間で製造できる事が期待された

機関銃部隊には主に軽機関銃08/15が配備され、鹵獲兵器であるルイス軽機関銃なども使用された。迫撃砲部隊では火炎放射器(Flammenwerfer)が主力に用いられていた。また、敵の機関銃陣地突破のため7.62cm歩兵砲(ドイツ語版)が現地改造されて用いられた。
野戦装備柄付き手榴弾入りの布袋を首から両脇に下げ、小銃・ショベル・ガスマスクケースを背負った兵士。一方でマガジンポーチがベルトバックル付近に写っておらず、携行しているかどうかは不明

1915年時点で特攻隊は歩兵と同様に標準型の野戦服を用いていたが、ヘルメットにおいては、いち早くピッケルハウベ型から1916年型ヘルメットに変更されていた。1915年から化学兵器の登場によりゴム製のフェイスマスクと予備の着脱可能なフィルター付きガスマスクが装備された。

特攻隊を他の一般兵と区別する特徴的なものは1916年初頭に登場した鋼板カバー付きのヘルメットであった。これは1915年からドイツ軍が試験開発していた一連の試製防護服の一つであり、重さ1.20キロのニッケルシリコン鋼製のヘルメットで当時の連合軍のヘルメットより優れた防護性を発揮していた。

特攻隊では一般の兵と異なり迅速に行動するため、装備品類を支える革製のサスペンダーベルトを廃して軽装で重武装化していた。小銃用のマガジンポーチは革製の標準装備に加え、70発分の布で包まれた弾帯(Bandolier)が使用された。また、手榴弾も同様に肩にかける麻袋に携帯されていた。
名称について

突撃歩兵の名はドイツ語のStostruppe シュトース・トゥルッペ(複数形 Stostruppen シュトース・トゥルッペン) の訳語で、直訳すると衝撃部隊の意味である。Stosが日本では「突撃」と翻訳されて定着しているため、突撃歩兵と和訳されている。しかし、ドイツ軍の教本では「攻撃とは運動、射撃、衝撃(Stos)及びこれが指向する方向によって効果を発揮する」と定義されており、ドイツ軍では射撃と運動に合わせて衝撃を重要視していた。このようにStosの本来の意味は衝撃であり、英語でもshock troopsと翻訳されている。しかし、日本では衝撃部隊などと訳されることはまれである。その他、特攻隊や突進隊などの和訳があてられることがある。
特攻隊編成の例

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小隊本部 (Fuhrungstrupp)

小隊長 - 特攻隊長兼務

伝令

無線通信手 - 本部との無線連絡を担当


特攻分隊 (Stoselement) - 各1個2個分隊からなる。

短機関銃(MP18)と手榴弾(柄付手榴弾)を装備した3名からなる突撃分隊

奇襲により敵至近距離での白兵戦(浸透戦術)を敢行する3名からなる突撃分隊 - 小隊長は通常この分隊を率いて自ら戦闘に参加する。

爆発物取り扱いの2名からなる班 - 場合によっては両突撃分隊に1人のみ


副小隊長が率いる支援部隊 (Deckungsgruppe)

狙撃兵1名 狙撃眼鏡付き狙撃手2名

接近中の敵を押さえ左右からの侵入を防ぐ2名からなる機関銃(MG08/18)班

爆薬及び弾薬補充兼運搬兵1 - 2名

軍医1名。

戦車破壊部隊 - 対戦車防衛などの特殊な状況下の場合のみ編成された。


戦術

突撃歩兵は第一次世界大戦で塹壕を突破するために浸透戦術を行うための部隊として編成された。戦術の詳細については浸透戦術を参照
関連文献

エルンスト・ユンガー鋼鉄の嵐の中で』 - 初版の副題が「一特攻隊長の手記」であるとおり、突撃歩兵の現場を詳細に描いている。

関連項目

塹壕戦

浸透戦術

武装親衛隊 - 突撃大隊の身分の上下を問わぬ兵士の同志的共同体(塹壕共同体)の思想は後に武装親衛隊のモデルになった。

ゾンダーコマンド・エルベ

エルンスト・ユンガー - 特攻隊長として従軍し、プール・ル・メリット勲章の最年少受章者となる。

アゴスティーノ・ランツィッロ


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