突厥文字
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オルホン文字の史料は、東突厥(第二可汗国)の王子キュル・テギン古テュルク語: - Kul Tegin)とその兄王ビルゲ・カガン古テュルク語: - Bilga Qaγan)を記念して732-735年の間にオルホン川沿いに建てられた2つの碑文(キュル・テギン碑文とビルゲ・カガン碑文)を合わせてホショ・ツァイダム碑文と呼ぶものの他、広い範囲から見つかっている碑文からなる。

建立年代としては720年トニュクク碑文(暾欲谷(英語版)将軍の記念)、732年キュル・テギン碑文(キュル・テギンの記念)、735年ビルゲ・カガン碑文(ビルゲ・カガンの記念)が知られている。同じ字体はモンゴル、シベリア、東トルキスタンにも見つかっている。ホショ・ツァイダム碑文には突厥の伝説的起源と最盛期、中国への服属そしてビルゲ・カガンによる解放が描かれている。[4]

モンゴル東部のドンゴイン・シレー遺跡でも8世紀の突厥碑文が発見されている[5][6]
ウイグル帝国

のちにウイグル帝国でも用いられた。
その他

またこの系統に属すと考えられる文字としてエニセイ文字(9世紀)、タラス文字(: Talas alphabet)、ロヴァーシュ文字(古ハンガリー文字:10世紀)が、モンゴルシベリアからバルカン半島に至る広い範囲で見つかっている[要出典]。
分類

突厥文字の変種はモンゴル・シベリアから、遠くバルカン半島まで残されており、年代は7世紀から13世紀にまで至る。また19世紀までハンガリーで用いられたロヴァーシュ文字もこの系統に由来すると考えられる。これらの文字は次のように4つのグループに大別され、さらにいくつかに分類される。[要出典]

アジア

オルホン(突厥文字、5-10世紀)

エニセイ

タラス:エニセイ文字に由来し、8-10世紀に用いられた。


ユーラシア

Achiktash(パミール高原、7-10世紀)

Isfar(タジキスタン、7-10世紀)

南エニセイ(突厥、8-10世紀)

ドン川流域:アランハザールによる8-10世紀のものと、ブルガールによる8-13世紀のものがある。

ティサ川流域(ハンガリー、8-10世紀)


トゥラン(西トルキスタン)

南ヨーロッパ

なお考古学者の鳥居龍蔵により、北海道にある手宮洞窟の線刻画(いわゆる北海道異体文字)が突厥文字であるという説が出された[7]ものの、一般には支持されていない[8]
文字表

「古テュルク文字(古典時代)」以下38字+単語区切り点1文字で構成されている用法文字文字転写および発音
母音
A/a/, /e/
I/?/, /i/, /j/
O/u/, /o/, /w/
U/o/, /y/, /w/
子音母音調和
(1) ? 後母音、
(2) ? 前母音
B1/b/B2/b/
D1/d/D2/d/
G1/g/G2/g/
L1/l/L2/l/
N1/n/N2/n/
R1/r/R2/r/
S1/s/S2/s/
T1/t/T2/t/
Y1/?/Y2/?/
(1)のみ ? Q
(2)のみ ? KQ/q/K/k/
全母音-CH/?/
-M/m/
-P/p/
-SH/?/
-Z/z/
-NG/?/
クラスター+ 母音ICH, CHI, CH/i?/, /?i/, /?/
IQ, QI, Q/?q/, /q?/, /q/
OQ, UQ,
QO, QU, Q/oq/, /uq/,
/qo/, /qu/, /q/OK, UK,
KO, KU, K/ok/, /yk/,
/ko/, /ky/, /k/
+ 子音-NCH/n?/
-NY/n?/
-LT/lt/, /ld/
-NT/nt/, /nd/
単語区切り記号なし
(-) ? 語尾のみ

読みの例: ? 「天神」(注:右横書き)T2NGR2I ? 文字転写/te?ri/ ? 発音tenri ? 現代テュルクアルファベット表記
Unicode

Unicodeにおいては、2009年のバージョン5.2において収録された。(オレンジはエニセイ文字。緑はその他。)

U+0123456789ABCDEF
U+10C0x𐰀𐰁𐰂𐰃𐰄𐰅𐰆𐰇𐰈𐰉𐰊𐰋𐰌𐰍𐰎𐰏
U+10C1x𐰐𐰑𐰒𐰓𐰔𐰕𐰖𐰗𐰘𐰙𐰚𐰛𐰜𐰝𐰞𐰟
U+10C2x𐰠𐰡𐰢𐰣𐰤𐰥𐰦𐰧𐰨𐰩𐰪𐰫𐰬𐰭𐰮𐰯
U+10C3x𐰰𐰱𐰲𐰳𐰴𐰵𐰶𐰷𐰸𐰹𐰺𐰻𐰼𐰽𐰾𐰿
U+10C4x𐱀𐱁𐱂𐱃𐱄𐱅𐱆𐱇𐱈

脚注^ 『突厥与回?史』
^ Konow, Sten; ステン・コノウ|Konow, Sten (1927-10). “Vilhelm Thomson”. Journal of the Royal Asiatic Society of Great Britain and Ireland (4): 929?934. https://www.weblio.jp/content/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%A0%E3%82%BB%E3%83%B3. 
^ “遊牧帝国の匈奴に「タムガ」という固有文字があった”. ???? (2017年5月4日). 2024年5月1日閲覧。
^ “ ⇒オルホン碑文コピー、トルコ世界文化公園に―でも間違いだらけ”. 日本語で読む中東メディア. 2024年5月1日閲覧。
^ モンゴル東部で突厥碑文発見 8世紀、阪大が共同調査
^ Ancient Monument in Asia Reveals Hidden Stone Sarcophagus Surrounded by Mysterious Secret Writings Newsweek(12/19/17)
^ “世界の文字”. chikyukotobamura.org. 2024年5月1日閲覧。
^ “ ⇒フゴッペ論争3/北斗「疑ふべき…フゴツペの遺跡」”. swan2001.jp. 2024年5月1日閲覧。


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