空間
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アルベルト・アインシュタインは、ローレンツの考えとは異なった観点から着想し、「全ての慣性基準系は対等であって、特権的な基準系はない」とする仮説と、「あらゆる慣性基準系において真空中のの速度は一定である」とする仮説によって、ニュートン力学の理論体系を組みなおし、空間と時間に関して新しい考え方を提示した(相対性理論を参照)[3]。ここにおいて、空間は時間と連関して扱われることになり、4次元の時空という概念が現れた。

アインシュタインの一般相対性理論以来、重力は空間の歪みと考えられ、空間は曲率がゼロのユークリッド空間ではなく一般にはリーマン空間で表されることになった。そして重力の源は質量であるので、空間は内部の物体とは無関係に存在する単なる容器ではなく、内部の質量自体が空間の構造に影響を与えていることになる。
宇宙論・量子論・場の理論

エドウィン・ハッブルらによって、島宇宙銀河)が遠ざかっていることが発見されてからは、やがて宇宙は一定であるとする定常宇宙論以外に、宇宙が膨張しているとするビッグバン仮説が登場し、両者は拮抗するようにもなり、やがてビッグバン理論の支持者の割合が大きくなった(宇宙論を参照)。

また、20世紀初頭からはじまった数々の物理実験によって、真空は何も含まない「無」なのではなく、エネルギーや構造を持つことが解明された(例えば「ディラックの海」、「カシミール効果」を参照のこと)。このような真空の性質を記述するために場の量子論が1930年代に登場し、やがて素粒子の標準模型へと進化した。標準模型においては、真空と不可分な電磁場や電子場、ヒッグス場などが存在し(電磁場量子場ヒッグス場も参照)、粒子は真空を構成する場の励起状態であると解釈されている。宇宙のあらゆる場所に共通の電子の場が存在するために、どこで電子を生成しても、その質量や電荷などの諸性質は全く同一になる(例えば、他のものに比べて質量の小さい電子は生成できない)。また、磁石は真空を構成する電磁場を影響するために、遠距離でも目に見えない引力や斥力が発生すると解釈される。電荷を勢いよく振動させると、電磁場中に光子が励起され無限遠に向かって伝搬する。こうした真空の概念の転換によって、原子や素粒子の性質が極めて正確に予言できるようになった。1960年代には、電磁相互作用と弱い相互作用を統一した電弱理論が確立され、1980年代に実験的に検証された。現在、さらに電弱理論と強い相互作の理論を統一する統一場理論を作り上げようと努力しているが、理論の予測と陽子崩壊等の実験結果に矛盾があるために、困難に直面している。

なお、19世紀末に信じられていたエーテル仮説では、真空中にエーテルと呼ばれる媒質が満たされており、地球がエーテル中を運動するとエーテル風が観測されると考えられていた。エーテルは真空と分離可能で直接観測が可能な液体のような媒質であると考えられていたが、該当する現象が観測されなかったために、エーテルの存在は現在では実験的に否定されている。一方、場の量子論における「場」とは、電磁場のように真空と分離することのできない広がりをもったものを指す。携帯電話に電波が届くのは、空間中のあらゆる場所に目に見えない電磁場が満たされており、携帯電話がその電磁場を励起するからである。電波が伝搬しない真空を作り出すことが不可能であるように、電磁場は真空とは不可分であると考えられる。したがって、エーテル風に類似する効果は場の量子論ではおこらない。

現代の自然科学者は、物理学における空間を「物理的空間」、数学などにおける空間を「抽象空間」と呼ぶこともある。「時空」および「非局所性」も参照
超弦理論における空間

超弦理論においては、空間は9次元である、としている[7]。ただし9次元のうち6次元は、現在観測できないほどに小さく折りたたまれていて観測できないとする[7]。超弦理論では、「9次元空間 + 時間」の「10次元時空」が想定されている[7]。小さな6次元は、カラビヤウ多様体のような形態であるという。
物理関連項目


宇宙空間空間群対称性位相空間 (物理学)量子情報

数学における空間.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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詳細は「空間 (数学)」を参照

数学においては、ある集合を「入れ物」に、特定の条件を構造(とくに幾何学的構造)としていれて「幾何学的対象」と考えるとき、入れ物となる集合を空間 (くうかん、space)と呼ぶことがある。その場合、集合の元は空間のと呼ばれる。入れ物となる空間に複数の構造が考えられるときには、構造ごとに異なる空間があると考えることが自然であることも少なくない。この場合、空間とは「入れ物となる集合とその集合の上に定義される構造とののことである」として考えていることになる。

集合と条件から公理的に構成される空間をとくに抽象空間(ちゅうしょうくうかん、abstract space)と呼んで、具体的な空間と区別することがある。たとえば、ベクトル空間は線型演算の定義できる集合という条件で定まる抽象空間のことだが、実数全体の成す集合 R のような具体的な空間がベクトル空間の構造を持つかどうかということとは独立に、ベクトル空間の公理のみによってその性質などについて統一的に論じることができる。

空間に定義される幾何学的な構造とは、たとえば 「近さ」「向き」「位置関係」「広がり」 のようなものがそうなのであるが、座標函数のような、通常は代数学的な構造であるとか解析学的な構造であると見なされるようなものも、一部に含んでいる。ホモトピーホモロジーコホモロジーは、空間やその幾何学を計算のしやすい代数系によって捉えるという代数的位相幾何学の思想に基づく産物である一方、不変量として空間を規定する幾何学的な構造の一種であると捉えられる。

ユークリッド空間は空間の雛形として幾何学的な構造を様々に含んでいる。たとえば、「近さ」について、ユークリッド距離と呼ばれる距離函数によって距離空間の構造を備えている。空間(の中の図形)がじているとかいているとか、あるいは「広がり」具合に関して限界があるとか、繋がっているとか離れているとか、収束・発散、とかいった概念は、ユークリッド空間であれば距離の言葉で解釈して、論じることができる。一般には距離を定めることのできない抽象空間で近さを論じるために、位相空間一様空間といった抽象空間の類が定義される。また、ユークリッド空間上の函数やその解析学は、ユークリッド空間の局所的な振る舞いを明らかにし、微分構造を備えた多様体としての姿を浮き彫りにする。それは、座標による表示を通して、空間上の微分が存在する接空間ベクトル空間としての構造と、その張り合わせとして捉えることもできる。とくに三次元空間では、空間の向きや距離をベクトルの内積や外積などによって把握するベクトル解析が詳しく展開される。

位相空間は、開集合や閉集合の全体がどうなっているべきであるかを明らかにすることで定義されるが、それによって他の多くの幾何学的な構造が統一的に調べられる、非常に広い空間概念である。一方、函数や収束・発散あるいは完備といった、空間の解析学を展開するために必要な性質は一様空間の性質として理解されることも少なくはない。

多様体の場合に限らず、集合上の函数の集まりは、空間の持つ情報を様々に写し取るために、それを空間と双対的な存在の「空間」と見なすようなこともしばしば行われる。こういった函数空間の考察は、多くの場合代数的な道具を空間の研究に導入する便宜を提供することになる。

空間に対して、空間上の自己準同型のつくる作用素環などの函数環および、その上の加群を新たな空間として考えたり、非可換環上の幾何学を展開する場としての非可換空間を通常の空間の変形版と見なす非可換幾何を考察したりといった直接的な影響に留まらず、点の集まりとして定義される空間という点集合論を超えて、詳細な情報を得るには点の不足している空間に対して、函数空間の代数的な情報によって元の空間の情報を引き出したりするようなこと、あるいは抽象代数的な構造物を積極的に幾何学的な空間として捕らえるような代数幾何学的な思想が、現われてくる。

代数幾何学やその応用としての数論幾何学では、局所コンパクト群であるユークリッド空間のようなよく知られた(ふつうの)空間のみならず、たとえば位相空間として離散空間となるさまざまな有限群離散群のような、およそ図形とは思えないようなものが各所で重要な意味を持つなど、興味深いたくさんの抽象空間が扱われる。


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