放電現象が発生したときに生じる音である。雷が地面に落下したときの衝撃音ではなく、放電の際に放たれる熱量(主雷撃が始まって1マイクロ秒後には、放電路にあたる大気の温度は局所的に2 - 3万℃という高温に達する[5])によって雷周辺の空気が急速に膨張し、音速を超えた時の衝撃波である[11]。
稲妻の放つ光は光速で伝わるため、ほぼ瞬間に到達する。これに対して、雷鳴は音速で伝わるため、音が伝わってくる時間の分だけ、稲妻より遅れて到達する。そのため、雷の発生した場所が遠いほど、稲妻から雷鳴までの時間が長くなり、その時間を計ればおおよその距離も分かる。
発現地点までの距離(自分を中心とした半径)を P(キロメートル)、稲妻が光ってから(もしくはラジオにパルス雑音[12][出典無効]が入ってから)雷鳴が聞こえる瞬間までの時間を S(秒) とすると、次のように表される。定数0.34は気温を15℃としたときのキロメートル毎秒で表す音速。 P = 0.34 S {\displaystyle P=\,0.34S}
雷鳴が聞こえる距離は通常で約10 - 15kmだが、雷雲外への放電がある場合などは、雷雲から30km以上離れていても雷鳴が聞こえることがある。 急激な上昇気流により低層から高層まで形成された雷雲は主に積乱雲などで構成され、熱雷と呼ぶ。夏季によく発生するため、俗に夏雷とも呼ばれる。局地的かつ散発的に発生し、持続時間は短い傾向がある。 積乱雲でも寒冷前線上などに発生する場合、また、温暖前線などで同様の原理が発生した場合の雷は界雷と呼ぶ。帯状にまとまって発生し、セルの世代交代があって前線の移動に付随して落雷域が移動することが多い。 前線に向かって湿った空気が流れ込むことによって形成された雷雲による雷など、熱雷と界雷の両方の特性を併せ持つものを熱界雷と呼ぶ。夏季において激しい雷雨を伴うことが多く、たびたび地上において被害を引き起こす雷。局地的にまとまって発生し、時に100kmを超える巨大な積乱雲群を構成して落雷域が広範囲に及ぶ。 上昇気流が発達した低気圧や台風などにより形成された雷雲による雷の場合を渦雷(からい、うずらい)と呼ぶ。性質としては熱雷や界雷に近い。勢力が強いものや移動速度が速いものは雷雲の移動速度が速いことから、防災上注意を要する。 雲内での放電を雲内放電 (inter cloud lightning : IC)、雲と雲の間の放電を雲間放電 (cloud to cloud lightning : CC) と呼ぶ。雷雲から地面への放電を対地雷 (cloud to ground lightning : CG) と呼ぶ。対地雷には上向きと下向き、正極性 (+CG) と負極性 (-CG) の分類があるから対地雷は結局4種類ある。 夜間、遠方で発生した雷による稲妻が雲に反射する現象および、雲内放電により雷雲自体が光って見える現象を幕電 幕電は上空が晴れていても確認できることがあり、強い閃光のわりに雷鳴が聞こえないなどといったことから、しばしば宏観異常現象ではないかとされることがある。 近年(1980年代 - )では大規模落雷に伴って発生するスプライト等の雷雲上空高度20 - 100kmの成層圏・中間圏・下部熱圏において起こる放電による発光現象も発見されている。詳細は「超高層雷放電」を参照 近代気象観測では、観測所における天気観測に雷も組み込まれ、目視観測が続けられてきた。一方、気象レーダー(雷検知器)による観測が拡大し、少しづつ代替されつつある。日本では、1990年代後半から2000年代にかけて測候所で、2010年代後半にほとんどの地方気象台で、目視による雷観測が廃止され、気象レーダーによる雷検出に代替された[13][14]。 落雷被害における火災保険に関連して、被害を科学的に裏付ける資料として、観測記録を基にして雷に関する「気象証明」を気象台が発行している。民間にも同様のサービスがある[15]。 国際気象通報式[注 3]では、雷電等が観測時(観測直前10分間)にあったか否か、観測時になくとも前1時間内にあったか否か、雷の3段階強度、降水を伴うか否か、雨や雪の3段階強度などの組み合わせで区分される天気から選択して報告する。自動観測の場合は少し異なった区分になる。なお、雷電は電光と雷鳴を観測したことを指す。基本の記号は雷光(雷鳴なし)が()、雷電が()[16][17][18]。 航空気象
種類スーパーセル
熱雷
界雷
熱界雷
渦雷
放電
幕電雷鳴を伴わない雲と雲間の稲光(2008年8月28日22:48東京上空)
超高層雷放電
雷の観測
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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