種_(分類学)
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

Maydenによる分類からいくつか引用する[5]

無性種概念

分岐学的種概念

認識種概念

系統発生種概念

生態学的種概念

進化的に重要な単位

遺伝的種概念

繁殖競争概念

遺伝子型クラスター定義

ヘニッヒ的種概念

種の下位分類

研究の積み上げが進んだ中から、現実的には種に分けてことが済まない場合が多々見つかる。たとえば同種内とは考えられるものの、はっきりと差のある群が発見され、種以下の分類を考える必要が生じ、亜種変種品種などの階級が作られた。例えば異なる地域に分布する集団からなる種では、種の内部で異なる形態的特徴を持つ地域集団が存在することがある。これを亜種と呼ぶ。日本列島に棲息する大型哺乳類の多くは、大陸産の同種とは異なる亜種として分類されている。ただし、亜種と認定される基準は必ずしも客観的でない場合がある。

品種は作物や家畜などの人間が飼育した生物の中で、他の生物集団より区別できる生物集団を指す。ハイブリッド品種など、ある品種の子孫が親と同じ品種とされないことも多い。

なお、人種形態学的な特徴の中でも毛髪、目、皮膚の色、骨格など外部から容易に観察できる形質によってヒトという種を下位分類する概念である。現生する全ての人種を含む現生人類はヒト科ヒト亜科ヒト属ホモ・サピエンスただ一種である。ただし古人類学化石人類にホモ・サピエンス以外の種をいくつか認めている。異人種間での生殖隔離が見られないこと、異人種間にみられる遺伝情報の多様性よりも人種内の遺伝情報の多様性の方が高いこと、また人種差別への懸念から、生物学的な文脈では人種の有効性は極めて限定的だとされている。
種の問題

種の定義や実在性に関わる議論を種の問題という。
種の実在性

進化学の立場から、時間的と空間的距離などにより種は変化したり別の複数種に分かれたりするものであることはもはや定説である。リンネの時代には全て、あるいは多くの種は別個に創造され、変種は生み出すが別種は生み出さないと考えられていた。しかしそのような種の不変性という立場を取ることはもはやできない。現在の所、種の概念そのものはおおよそ認められてはいる。しかしながら、それを全く認めない立場も含め、さまざまな議論がある。この論争は13世紀の普遍論争にまで遡ることができる。
種の本質主義

ある生物が「その生物たらしめているなんらかの“本質”を親から受け継いでいるからその種なのだ」という概念を種の本質主義と呼ぶ。ダーウィン以前の分類の定義(それは主に形態学的種概念であるが)は本質主義に含められる。本質主義では種は種内変異や人工的な品種を生み出すが、異なる種に変化することはないと仮定する。本質主義は厳密には正しくないが、形態学的種概念を含めて現在のいくつかの種概念も異なる程度に本質主義を仮定している[5]
種の問題の原因

種の問題の原因は次のようにまとめられている[6]
観察される生物のパターンは、人間の認識と判断能力の産物である。人間の認識能力は別の用途のために進化したので、自然の全てを精巧に関知できるわけではない。

生物の集団は明確に分かれているとは限らない。重複したり、内部に別の構造が存在することもある。

人間が認識できる生物のパターンはそれぞれの生物の進化的過去に起きた進化の産物であるが、進化のプロセスは現在も継続中である。

関連文献

日本語のオープンアクセス文献

網谷祐一 「E・マイヤーの生物学的種概念」
科学基礎論研究 Vol.29, No.2 (2002) pp.75-80 ⇒PDF


一般書籍

日本生物科学者協会編集「特集:種についての終わりなき論争」『生物科学』 ⇒Volume 59 Number 4(2008年5月号)2008年、農山漁村文化協会


脚注[脚注の使い方]^ Mayden R. L. A hierarchy of species concepts: the denouemant in the saga of the species problem. In: Claridge M. F. , Dawah H. A. and Wilson M. R. (eds),1997. Species: the Units of Biodiversity. Chapman & Hall, London, 381-424.
^ 河田雅圭『1章 個体の行動の進化』 行動・生態の進化(シリーズ進化学 第6卷). 長谷川 眞理子,河田 雅圭,辻 和希,田中 嘉成,佐々木 顕,長谷川 寿一 (eds). 2006年6月. 岩波書店. ISBN 4-00-006926-8
^ エルンスト・マイア 『進化論と生物哲学』pp309-310 東京化学同人
^ エルンスト・マイア 『進化論と生物哲学』pp310-312 東京化学同人
^ a b Mayden R.L. ⇒Consilience and a Hierarchy of Species Concepts:Advances Toward Closure on the Species Puzzle Journal of Nematology 31(2):95?116. 1999
^ Hey J. ⇒The mind of the species problem TRENDS in Ecology & Evolution Vol.16 No.7 326-329 July 2001

関連項目

生物の分類

ウイルスの分類

学名

タイプ (分類学) - 種の判断の基礎となる標本など

Encyclopedia of Life - 分類学上の種すべてについて記載することを目指すオンラインの百科事典プロジェクト

外部リンク

Species
(英語) - スタンフォード哲学百科事典「種」の項目。










生物学分類学階級

植物

ドメイン


上界



亜界

下界

小界


上門



亜門

下門

小門


上綱



亜綱

下綱

準綱

小綱


巨目

上目

大目

中目



亜目

下目

小目


上科



亜科

下科


上連



亜連

下連


上属



亜属



亜節



亜列


上種



亜種

変種

亜変種

品種

亜品種

動物

ドメイン


上界



亜界

下界

小界


上門



亜門

下門

小門


上綱



亜綱

下綱

準綱

小綱


上団



亜団

下団

上区



亜区

下区


巨目

上目

大目

中目



亜目

下目

小目


上科



亜科

下科


上族



亜族

下族




亜属


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:27 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef