租界には特定の国が租界権を有する専管租界と、特定の国の専管租界ではなく中国と最恵国待遇を結んでいる国であれば進出できる共同租界があった[2]。 中国国内に列強諸国が設定した空間的利権には、租界のほか、租借地、鉄道附属地、公館区域などがある[1]。
租界と類似する地域
租界
中国側に主権があるが、その行政権の行使が全く無いか極めて限定的な地域で、外国政府または外国人が長期間貸借している地域[1]。有名なものに上海の上海共同租界や上海フランス租界がある。なお、中国側が警察権や管理権を有する地域は自開商埠(自開租界)と呼んだ[1]。
租借地
1898年にドイツ軍が膠州湾を占拠して設置されるようになった地域で、中国側には潜在的な主権しかなく、租界よりも主権譲渡の色合いが濃い地域[1]。ドイツの膠州湾租借地やフランスの広州湾租借地など。詳細は「租借地」を参照
鉄道附属地
1896年に中露間で「東清鉄道建設経営に関する条約」に基づき初めて設置された[1]。詳細は「鉄道附属地」を参照
公館区域
1901年の「義和団事件処理の条約」に基づき初めて設置された[1]。
中国租界一覧
欧州
イギリス - 上海(のちにアメリカ租界と合併して上海共同租界)、天津、漢口、広州(沙面島)、鎮江、九江、廈門
フランス - 上海、天津、漢口、広州(沙面島)
ドイツ - 天津、漢口
オーストリア=ハンガリー - 天津
イタリア - 天津
ロシア - 天津、漢口
ベルギー - 天津
アジア
日本 - 上海(公式には上海共同租界の一部)、天津、漢口、杭州、蘇州、重慶、沙市
アメリカ
アメリカ - 上海(のちにイギリス租界と合併して上海共同租界)、天津
共同管理地域
共同管理地域 - 上海共同租界、鼓浪嶼(コロンス)共同租界
脚注^ a b c d e f g h i j k l m 大里浩秋. “ ⇒租界研究の現状と展望”. 神奈川大学日本常民文化研究所付置非文字資料研究センター. 2022年7月15日閲覧。
^ a b c 藤田拓之. “「国際都市」上海における日本人居留民の位置. ─租界行政との関係を中心に─
関連項目
経済特区
外国人居留地
上海租界
天津租界
漢口租界
第二次上海事変
大日本帝国#一部統治区域
租借地
国際管理地域
横浜正金銀行
香港上海銀行
スタンダードチャータード銀行