日本では夏の暑さがやわらぎ過ごしやすい季節。日中は暑いが、朝晩に肌寒さを覚える。また、吹く風に爽やかさを感じる。夏の蝉は次第に鳴りをひそめ、赤とんぼの群れや、虫の声が耳にとまるようになる。夏休みが終わって新学期が始まり、運動会や文化祭がある。稲が黄金に色付き、栗、梨、葡萄などとりどりの果実が店頭を飾る。台風がしばしば日本を襲い、秋雨が長く続くこともあるが、晴れた空は高く澄み渡り俗に「天高く馬肥ゆる秋」ともいわれる。夜が長くなり、月や星を賞でたり、読書や夜なべにいそしんだりする。朝寒夜寒が段々とつのって、昼夜の温度差が大きくなり、野の草には露が置き、木々は紅葉してくる。色付いた葉が散りはじめると、重ね着が増え、暖房が入り、秋も終わりに近づく。
自然秋の風物、斜陽を浴びるススキの穂波
秋は春と肩を並べるにぎやかな季節である。様々な花が咲き、果実が生じる。これは夏ほど暑くなく好適な気温の季節であること、それに冬を迎えるために多年生の生物は冬を越す準備を、そうでないものは往々にして生活史の終結を迎えなければならないためである。空気は晩秋へ向かうほどに透明度を増し、斜陽が独自の陰影を作る。 秋の花としては秋の七草が有名である。園芸植物では菊が代表格であり、野草では彼岸花、コスモス、芒などが秋を代表する草花として知られる。また、果実が生産されるのも目を引く。冬への準備としては落葉やそれに先立つ紅葉、冬芽、休眠芽や球根、根茎の形成などがある。 ほ乳類の場合、秋は冬への準備として、栄養を蓄積しなければならない時期である。植物における果実、あるいはキノコの生産はこれを支えるものとなっている。動物はこれによって皮下脂肪を蓄積する。「天高く馬肥ゆる秋」もこれにちなむものと考えられる。秋の果実の生産が少ないとこれらの動物の冬期における死亡率が高くなる。クマが人里に出る年は、その前の秋に果実が不作であった年である。また、大型ほ乳類では往々にして秋から冬が繁殖期である。これはこの時期に妊娠が始まる。 秋が深まるにつれ、夏の高い湿度から解放され、大陸の乾燥した空気が、日本を覆う[5]。大陸育ちの秋の移動性高気圧は、青や紫など波長が短い光を強く散乱する分子(酸素分子や窒素分子)を多く含み、空は青さを増す[5]。雲は低い高度から湧き上がる入道雲に代わり、高い高度にできる積雲やいわし雲(巻積雲)など秋特有の雲が多くなり、空が高く見えるようになる[5]。中国の諺である「天高く馬肥ゆる秋」の表現がしばしば使われる[5]。 天文における秋の夜空は、一等星を持つ星座は一つ(みなみのうお座のフォーマルハウトだけ)しかないため、他の季節と比較して物寂しい印象を受ける。しかしながら、秋の夜空は天体観測、天体観望に適しており、年中を通して黄砂、天の川、その他の影響が少ないため、暗い星も含め、澄み切って見える。また、ギリシア神話で知られる英雄ペルセウスの冒険にまつわる星座が多い。 日本では旧暦8月15日の月を中秋の名月と呼び、月見の行事が行われる[3][6]。 初秋は夏からの残暑が厳しいが次第に気温が下がり始める。気候がよく過ごしやすいことから、秋祭りや運動会などの行事も多く開かれ、たいへん賑やかな季節でもある。「食欲の」「スポーツの」「読書の」「芸術の」など、さまざまな言葉が冠される。 中国では旧暦8月15日の中秋節に親族一同が会して月餅を食べる風習がある[6]。
植物
動物
気象秋に発生するいわし雲(煙樹ヶ浜)
天文
行事
スポーツの秋
運動会(体育祭、体育大会) - 祝日「スポーツの日」(旧・体育の日)があり、その前後に多くの学校で運動会や体育祭、体育大会が開かれる。校内と地区ブロック内の年2回する学校は春と秋に実施することが多い。
文化(読書、芸術)の秋
学芸会
文化祭
音楽会
大学祭 - 多くの大学で秋に行われる。
衣替え
七夕(旧)
中元(旧)
お盆(旧)
月見
十五夜、中秋の名月 : 旧暦八月十五日。
十三夜、後の月見 : 旧暦九月十三日。
秋彼岸
重陽
紅葉狩り
菊人形
中国大陸の秋
Size:36 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef