しかし、試験科目数が少ない分、1科目ごとの失敗が許されない上、高得点が要求される。また、難関私大では高校の範囲を超える難問が出るなど、センターの比重が高い国公立大学とは趣を異にする傾向がある。さらに、首都圏の有名私大は全国から受験生が集うため、入試倍率が極端に高くなり、難易度が上がる傾向もある。2019年の定員厳格化によって、私立文系学部が難化し[24]、合格安全圏と言われていたにもかかわらず、不合格に終わる事例が増えているとの報告がある[25][26]。すなわち、大学受験の一般論は通用せず、大学独自の試験形式に対する対策が必要である。
また、国公立大学の一般入試では、受験可能大学・学部の数が最大3校3学部(前期・中期・後期)までと限定されているのに対し、私立大学の一般入試では限定されておらず、入試日程さえ異なれば幾つでも併願できるという特長があり、大学側も様々な入試形態によって受験機会を増やしている[27]。
共通テスト利用入試
共通テスト利用入試とは、共通テストの成績を基準(あるいは利用して)合否が決まる入試方式のことである[28]。私立大学別の入試対策をしないで済むため、国公立大学が第一志望で私立大学を併願受験する人が、この方式を利用する場合が多い[28]。ただし、共通テスト利用入試は、募集人員がかなり少なく、倍率が高くなる大学が多いので、合格の難易度も高くなるとされる[28]。
推薦入試・総合型選抜
推薦入試(指定校推薦・公募推薦(一芸入試など))や総合型選抜といった学力試験を課さない入試制度も存在する。詳しくは各項目参照のこと。「日本の私立大学一覧」を参照
各国の私立大学
アメリカ合衆国ハーバード大学
アメリカでは、まずプライベートスクールが高等教育機関として発達し、その後州立大学が誕生するが、建国前後では私立大学が大きな役割を果たした[29]。州による私立大学への支援は20世紀の初頭まで継続されていた[29]。
アメリカの私立大学はハーバード・カレッジやウイリアム・メリー・カレッジなどが宗教団体を基礎として創立されて以来、1980年代に至るまで増加の一途を辿った[30]。学生数は1960年に360万人、1970年には800万人に倍増、私立大学への進学率は40%を超過し[30]、1980年代には1200万人の学生が在籍し、大学数は3200校まで増加した[30]。1980年前半、経済不況や財政赤字から「大学冬の時代」を迎えるが、それほど大きな閉学は見られず、2001年-2002年時点で、大学全体を占める私立大学の割合は74.1%、短期大学合計に占める私立短期大学の割合は39.9%に上っている[30]。
一方で、リベラルアーツ・カレッジは1960年に学生総数の50%を占めていたが、2000年には17%まで減少した[30]。また、小規模で無名、基本財産の保有が少ない新設短期大学やリベラルアーツ・カレッジ、宗教系大学では、財政難や学生募集の失敗により閉学する例が見られる[30]。
私立大学の授業料は高く、高額所得者の子弟でなければ大学教育を受けることは難しい[29]。州立大学では州内の者(レジデント)と州外の者(ノン・レジデント)で授業料に大きな差があるが、私立大学ではこのような区別はない[29]。
アメリカの私立大学は、政府助成の獲得や寄付金収入の増加、資産運用などによって、授業料収入に依存しない財務体質の強化を行っている[30]。特に1970年代後半以降から企業経営の概念が導入され、あたかも中小企業のような存在となった[30]。アメリカの経済成長とともに財政的基盤が強化され、卒業生が増えたことで卒業生からの寄付が安定的な収入になり、かつ資産家からの積極的な寄付も相まって、私立大学の財政基盤が確立した[29]。
イギリスオックスフォード大学
イギリスの教育制度は歴史的な経緯から非常に複雑で、私立・国公立という区別で制度を説明するのは困難である。詳細は「イギリスの教育」を参照 オーストラリアの私立大学はボンド大学とノートルダム大学のみである[31]。(通信教育中心のグリニッチ大学を含めれば3校である[32]。) 韓国の私立大学は、ソウル・首都圏の有力私学、地方の有力私学、地方の新興私学に階層化している[33]。国公立大学は韓国科学技術大学やソウル大学を除いて、私立大学ほどの競争力を有していない[33]。ソウル大学校(国立)と高麗大学校(私立)・延世大学校(私立)を合わせて「SKY」と呼称される[34]。 公式に韓国の最初の私立大学とされているのは、李氏朝鮮時代に唯一の私立大学として建学された成均館(1398年 - )を母体とする成均館大学校である[35]。韓国では、大学生の約78%が私立大学に在籍し、専門大学生の96%が私立大学に在籍している[36]。歴史的経緯として、土着の企業家や団体が私学を数多く設立してきたほか、キリスト教や仏教などの宗教団体が学校設立に大きな役割を果たしてきた[36]。一例として、現代が蔚山大学、浦項製鉄が浦項工科大、大韓航空が仁荷大学をそれぞれ経営している[36]。 中華人民共和国における私立高等教育機関とは、国家機関以外の社会組織または公民個人が、国家教育行政部門の制定した高等教育学校の設立基準に基づき、非国家財政教育経費によって開設される高等学歴教育、あるいは非学歴教育機関と定義される[37]。中国の私立大学は民弁大学と呼称される[38]。大学の運営は学費と創立者の投資によって支えられており、学費収入は総収入の80%を占める[38]。学費は国立大学に比べて高額である[38]。 中華人民共和国成立後、初の私立大学は1980年設立の湖南九疑職業学院である[37]。2013年時点で、私立大学は717校で全国普通高等教育機関の28%を占め、在学生は557.5万人、受験生の約22%が私立大学に入学すると言われる[37]。
オーストラリア
大韓民国
中華人民共和国
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 短大生含む[7]。
^ 2019年度末までに破綻21、2025年度末までに破綻12、いずれ破綻79、経営危機予備軍175の計287、正常373
^ 入学者数を入学定員で割った値
^ 大学や学部によっては2教科や1教科のみの受験が可能な場合もある。
出典^ a b “ ⇒学校法人ってなに?|日本私立大学協会|日本私立大学協会”. www.shidaikyo.or.jp. 2022年1月27日閲覧。
^ “放送大学は、国立・公立・私立のどれにあたるのですか。|放送大学Q&A
^ “OISTとは