私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
[Wikipedia|▼Menu]
このような正当化するような場合を認めるかどうか否かに関して争いがあるが,最高裁石油カルテル刑事事件(昭和59年判決)も限定的ながら認める余地があることを示唆しているとされている。
規制類型
私的独占詳細は「私的独占」を参照

「私的独占」とは、事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもってするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することを言う(2条5項)。

「排除」とは、他の事業者の事業活動の継続を困難にし、あるいは新規参入を困難にする行為をいう。不公正な取引方法に該当する手段が多いが、それに限定されるものではない。

「支配」とは、他の事業者の意思決定を拘束し、自己の意思に従わせることをいう。もっとも、ここでいう「拘束」とは、必ずしも相手方の意思に反することを要さないし、また、株式保有や役員派遣により事実上意思決定を支配できるようになった状態も「支配」に含まれる。

大部分の「私的独占」に当たる行為は「不公正な取引方法」にも該当するため、独自の意義付けは低いという見方が最近提唱されている。排除型については、一般指定15項がほとんど包含するし、支配型については、2条9項4号がほぼ包含する。もっとも、支配型については「不公正な取引方法」における課徴金制度が適用範囲が限定されたため、「私的独占」で事件処理をする意味が増している。

エンフォースメント(執行・実現方法)としては、以下がある。

排除措置命令(法7条)公取委は事業者に対し、当該行為の差止め、事業の一部の譲渡、その他違反行為を排除するために必要な措置を命令できる。

課徴金納付命令(法7条の2第2項、6項)支配型は対価に影響を与えるものに限る

刑事罰(法89条1項1号)

不当な取引制限詳細は「不当な取引制限」を参照

「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義を以てするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう(2条6項)。

6条において不当な取引制限を内容とする国際的協定等が禁止されている。

典型的には談合がこれに当たる。

不当な取引制限の成立要件は、意思の連絡と、相互拘束・共同実行である。実務上は、意思の連絡がどの時点で成立したかの認定が争点になることが多い。

エンフォースメントとしては、以下がある。

排除措置命令

課徴金納付命令(いわゆるハードコア・カルテルに該当するものに限る)

刑事罰

不公正な取引方法詳細は「不公正な取引方法」を参照

「不公正な取引方法」とは、2条9項に定める以下の行為をさす。

1 正当な理由がないのに、競争者と共同して、次のいずれかに該当する行為をすること。イ ある事業者に対し、供給を拒絶し、又は供給に係る商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限すること。ロ 他の事業者に、ある事業者に対する供給を拒絶させ、又は供給に係る商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限させること。

2 不当に、地域又は相手方により差別的な対価をもって、商品又は役務を継続して供給することであって、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの

3 正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであって、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの

4 自己の供給する商品を購入する相手方に、正当な理由がないのに、次のいずれかに掲げる拘束の条件を付けて、当該商品を供給すること。イ 相手方に対しその販売する当該商品の販売価格を定めてこれを維持させることその他相手方の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束すること。ロ 相手方の販売する当該商品を購入する事業者の当該商品の販売価格を定めて相手方をして当該事業者にこれを維持させることその他相手方をして当該事業者の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束させること。

5 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。

6 前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに該当する行為であつて、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するものイ 不当に他の事業者を差別的に取り扱うこと。ロ 不当な対価をもって取引すること。ハ 不当に競争者の顧客を自己と取引するように誘引し、又は強制すること。ニ 相手方の事業活動を不当に拘束する条件をもって取引すること。ホ 自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。ヘ 自己又は自己が株主若しくは役員である会社と国内において競争関係にある他の事業者とその取引の相手方との取引を不当に妨害し、又は当該事業者が会社である場合において、その会社の株主若しくは役員をその会社の不利益となる行為をするように、不当に誘引し、唆し、若しくは強制すること

6条において不公正な取引方法を内容とする国際的協定等が禁止されている。

エンフォースメントとしては、以下がある。

排除措置命令

民事上の差止め請求

課徴金(6号を除き、1号から4号は10年以内に排除措置命令等を受けている場合、5号は継続している場合に限られる) 

一般指定詳細は「不公正な取引方法#一般指定」を参照

一般指定とは、「不公正な取引方法」(昭和57年公正取引委員会告示第15号)のことを指す。

6号イに対応して取引拒絶、差別対価等が1項 - 5項

6号ロに対応して不当廉売等が6項・7項(3項も対応する)

6号ハに対応して抱合せ販売等が8項 - 10項(特別法として景表法が存在)

6号二に対応して拘束条件付取引は11項 - 12項

6号ホに対応して取引の相手方の役員選任への不当干渉に対する規定は13項(特殊指定は主に6号ホに対応する)

6号へに対応して競争者に対する取引妨害が14項・15項

が規定されている。
特殊指定詳細は「特殊指定」を参照

特殊指定には、新聞業・物流・大規模小売店に関するものが存在する。
事業者団体規制

次に掲げる行為の禁止(8条)。
一定の取引分野における競争を実質的に制限すること

不当な取引制限・不公正な取引方法に該当する国際的協定又は国際的契約をすること

一定の事業分野における現在又は将来の事業者の数を制限すること

構成事業者の機能又は活動を不当に制限すること

事業者に不公正な取引方法に該当するような行為をさせること

エンフォースメントとしては、以下がある。

排除措置命令

課徴金納付命令(1号の不当な取引制限に該当するとき、あるいは2号の不当な取引制限を内容とする国際的協定等を締結した場合に限る)

刑事罰(私的独占・不当な取引制限に限る)

企業結合規制
合併

次の各号の一に該当するときは合併をしてはならない(15条)。
合併によって一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるとき

合併が不公正な取引方法によるものである場合

共同新設分割・吸収分割

次の各号のいずれかに該当する場合は、共同新設分又は吸収合併をしてはならない(15条の2)。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:43 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef