福音派
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福音とは「良い知らせ」の意訳であり、そしてそれは、救世主イエス・キリストの再誕を願うヨハネ黙示録信仰になりやすく、キリスト教の中でも特に独特である。
定義

福音派(: Evangelical, Evangelicalism)の語源は、古代ギリシア語: ε?αγγ?λιον(euangelion、エウアンゲリオン)、すなわち福音である。形容詞の場合「福音的」「福音主義的」となり、名詞の場合「福音派」「福音主義(者)」と訳される[4]

教会史と神学からは、16世紀宗教改革にルーツを持つ。カトリック主義(教会主義的・典礼主義的)に対する、福音主義的、福音主義者という呼称である[5]

福音派の代表的神学者J・I・パッカーは、「福音派とは使徒的キリスト教を継承し、証しする者」と定義する[6][7]

日本福音同盟初代理事長の泉田昭は、「福音主義とか福音派というとき、信仰的自由主義に対して福音主義、エキュメニカルなグループに対して福音派という意味で使っている。つまり、聖書は誤りない神のことばであると信じ、基本的教理を保持し、伝道と教会形成に励んでいる者たちのことである」としている[8]

宇田進は、福音派とは「福音主義同盟1846年)の9項からなる信仰の立場と、1974年ローザンヌ世界伝道会議が出したローザンヌ誓約の中に表明されている聖書的信仰と宣教観とライフ・スタイルを信奉する、聖霊派から改革派までのキリスト者の群れを指す名称」としている[9]

米国長老派教会正統長老教会の設立者)の牧師神学者ジョン・グレッサム・メイチェンの定義によれば、「自由主義神学(リベラリズム)自体がキリスト教ではない」ので、部分的霊感説を採る新正統主義神学などについても「穏やかな自由主義」とは表現せず、「かろうじてキリスト教である部分霊感と、非キリスト教の自由主義(神学)が区別される」と論ずる。ただし、部分霊感も聖書の権威を部分的にしか認めないことから、メイチェンは部分霊感も正統的なキリスト教から離れた立場と見なしている[10]。そのため、十全霊感を信じない立場の教会を広い意味でリベラル派と総称することがある[11][12]

歴史

中世キリスト教世界は、一党独裁的腐敗があり、その世界的信仰を集めたゆえのカトリック腐敗が残念ながら一時的にはあった。それを批判的に懸念したルターの宗教改革により、組織による信仰支配を否定し、聖書による根本的本心的心の帰依を願った。その結果、宗教組織ではなく、書籍中心的な考えが生まれたのが、この運動の原点である。その結果、聖書のどの記述を信じるか(メインにするか)の解釈や、主の再誕を信じる心や、あるいは、組織抜きの聖書解釈から、自由自在な新興宗教的新しい解釈と一集合拠点的な教会単位のし新しい組織化の可能性が生まれた。キリスト教プロテスタントにおける世界的な教派を超えた運動であり、福音の本質は、イエス・キリストの贖罪を信じることと、その恵み(再誕)のみによる救いという教義(世紀末的終末思想の末に世界全人類が救われる)であるという信念を持っている[13] [14] [15]。そのため、世界最終戦争たるハルマゲドンを起こす器として、イスラエル政府を支持する特徴が高い。福音主義者は、救いを得るためには回心や「新生」の経験が重要であること、神が人類に啓示したものとしての聖書の権威(聖書信仰)、そして福音伝道(キリスト教のメッセージを広めること)の重要性を信じている。

この運動は、18世紀から19世紀にかけて、イギリスアメリカで起きた大覚醒によって大きな盛り上がりを見せた。その後長い間、主に英語圏で存在感を示してきた。その萌芽は17世紀に遡り、改革長老派教会カルヴァン主義)、イングランド国教会内のピューリタニズムルター派内の敬虔主義フス派再洗礼派敬虔主義派などが合同したモラヴィア兄弟団(特にニコラウス・ツィンツェンドルフ監督とヘルフートの共同体)、イングランド国教会の司祭であったジョン・ウェスレーによる、オランダ改革派教会内の非主流派であったアルミニウス主義に立脚したメソジスト運動など、さまざまな教派的・神学的流れがその基礎となっている。特に、ジョン・ウェスレーをはじめとする初期のメソジストたちは、第一次大覚醒の際にこの新しいムーブメントの火付け役となった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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