南欧=東アジアモデルとも言われる。イタリアが代表的。ほかにスペイン、ポルトガル、ギリシャ、日本(*注)、大韓民国、台湾である。福祉施策は貧弱で福祉ビジネスも未発達なため、高齢者、失業、子育てなどについて家族が責任を持つべきとする家族主義が特徴。家族に過度な負担をかけるため少子化の弊害が深刻化するとの意見がある。「イタリアの福祉」も参照 福祉レジーム論は、福祉国家の発展における労働組合や社会民主主義政党(あるいは社民政党と競合するカトリック政党)の主導性を重視している。しかし、ポール・ピアソンは、マーガレット・サッチャー政権下のイギリスで労組の弱体化が進展し、アメリカではもともと労組が脆弱であるにもかかわらず、その両国ですら1980年代では新自由主義が主張するほどには社会保障の削減に成功しなかったことを指摘している。これは、社会保障制度が1度確立すると利益集団のネットワークが構築されて社会保障の削減に対する抵抗が生じ、また、受給者の反発を恐れる政治家も福祉政策の縮減を忌避するためである[23]。よって、福祉国家の形成では経済レジームや政治的党派性などのマクロ要因が重要(福祉レジーム論)であったが、福祉国家の縮減では非難回避の戦略の成否が重要になる、とピアソンは論じている。具体的には、 などが挙げられる[30]。 グローバル化は、各国で「最底辺への競争」を惹起するという点で、福祉政策の縮減を促すと一般的に論じられている。しかし、ジェフリー・ギャレット また、脱工業化については、組織労働の解体を促すことによって、福祉政策の縮減のハードルが下がると一般的に論じられている。しかし、トービン・アイヴァーセン
福祉国家再編の政治社会支出の対GDP比の推移[29]
制度的持続
非難の大きい争点を外すように課題設定する。
損失を伴う政策に対して積極的な意味づけを与える。
損失を伴う政策に対して代償政策を実施する。
政策決定者の可視性を低下させる(政策決定を官僚、諮問機関、地方自治体に委ねる、など)。
政策効果の可視性を低下させる(施行の先送りや段階的施行、など)
利害の異なる集団間の対立を煽ることで非難の矛先が向かないようにする。
超党派で合意を形成して政策を実行する。
新しい福祉圧力
日本の福祉国家像「日本の福祉」も参照
日本の福祉レジームについて、厚生労働白書では「エスピン=アンデルセンは、日本の現状の福祉システムは、保守主義を中心としながらも自由主義的なシステムを混合して構成されている」と述べられている(福祉の供給主体
)[21]。日本の経済政策をめぐる議論の中で、福祉国家像が明示的に議論に上ることは少ない。
社会学者の盛山和夫が、「経済成長は不可能なのか」を問い、社会保障を投資と見ることを提唱している[32]。 経済力と福祉支出については、殆ど相関関係はない[33]。 OECD諸国の福祉支出(2001年) [34] OECD[35]とUNDP[36]による国福祉支出 多数の国々では、課税方式の変革と富の再分配によって貧困を減少させられるとの経験的エビデンスがあり、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}それらの福祉国家ではみな国内総生産(GDP)の50%以上を福祉に投じている[要検証 – ノート][37][38]。多数の福祉国家では、福祉プログラムを適用する前後で大幅に貧困率(相対的貧困率)が改善されている。 国家絶対的貧困線 (1960?1991) (1970?1997)[38]
福祉支出
(% of GDP)
教育を除く福祉支出
(% of GDP)
教育を含む一人あたりGDP
(PPP US$)
デンマーク29.237.9$29,000
スウェーデン28.938.2$24,180
フランス28.534.9$23,990
ドイツ27.433.2$25,350
ベルギー27.232.7$25,520
スイス26.431.6$28,100
オーストリア26.032.4$26,730
フィンランド24.832.3$24,430
オランダ24.327.3$27,190
イタリア24.428.6$24,670
ギリシャ24.328.4$17,440
ノルウェー23.933.2$29,620
ポーランド23.0N/A$9,450
イギリス21.825.9$24,160
ポルトガル21.125.5$18,150
ルクセンブルク20.8N/A$53,780
チェコ20.1N/A$14,720
ハンガリー20.1N/A$12,340
アイスランド19.823.2$29,990
スペイン19.625.3$20,150
ニュージーランド18.525.8$19,160
オーストラリア18.022.5$25,370
スロバキア17.9N/A$11,960
カナダ17.823.1$27,130
日本16.918.6$25,130
アメリカ14.819.4$36,000
アイルランド13.818.5$32,410
メキシコ11.8N/A$8,430
韓国6.111.0$15,090
貧困に対する影響
(米国の平均世帯収入額の40%で線引き)[37]相対的貧困線
福祉適用前福祉適用後福祉適用前福祉適用後
スウェーデン23.75.814.84.8
ノルウェー9.21.712.44.0
オランダ22.17.318.511.5
フィンランド11.93.712.43.1
デンマーク26.45.917.44.8
ドイツ15.24.39.75.1
スイス12.53.810.99.1
カナダ22.56.517.111.9
フランス36.19.821.86.1
ベルギー26.86.019.54.1