福島第一原子力発電所
[Wikipedia|▼Menu]
7号機改良型沸騰水型軽水炉 (ABWR)計画中止
8号機

5号機の運転開始が4号機よりも先である経緯については福島第一原子力発電所5号機の建設参照。
原子炉形式の呼称

GEは安全規制、性能向上策の進展に伴って2?3年おきに新型のBWRを発表し、それらは当時、1965年型、1967年型、1969年型などと呼称された。その後、建設プラントの名前を取って、ドレスデン2型、ブラウンズフェリー型などと称されたこともある。1972年に新型BWRプラントを発表する際にその名をBWR-6型とし、従来発表したプラントについてもBWR1?5という番号付けをした。なお、格納容器にはMark番号が付いている[14]

主要プラント 太平洋岸にほぼ南北に並んでいる。6号機の側が

事故状況(1-4号機およびトレンチ)

建設までの経過
常磐石炭産業の衰退

1950年代末期の福島県浜通り高度経済成長の波に乗り遅れ、中通り会津地方を含めた福島県全域の産業近代化率も全国平均の270%と比較して126%と低位であった。このため、福島県庁は産業誘致のため電源開発に努力していたが、エネルギー革命によって、茨城県助川から浜通り夜ノ森以南にかけて広がる石炭産業と、浜通り夜ノ森以北の林業[注釈 3] が衰えて来たため、新たなエネルギー源を模索していた[17]

ただし、『とうでん』1993年11月号によれば、東京電力社内に原子力発電課(後述)が設けられた1955年頃、東京電力の電源構成は従来の水主火従からの転換が漸く始まった頃であったが、その際に登場した火力とは石炭火力を意味し、燃料として石油を使用する事はまだ殆ど検討されていなかったため、社内では折からのブームに乗った原子力の方が石油火力より実現に向けた動きでは先に手をつけたものだったという[18]

今井孝三のルポによれば、助川?夜ノ森では、最盛期の1961年には42の炭鉱で248万tの生産高を記録している。しかし、1969年には3炭鉱で215万トンにとどまり、事実上常磐炭鉱磐城鉱業所の管轄する2坑口からの生産がその内訳の大半を占める状態となり、中小炭鉱はほぼ消滅した状態であった。常磐炭の需要確保のため、すでに常磐共同火力発電所が設立され、1971年当時で72万kWの出力で操業をしていたが、将来的には石炭関連産業だけでやっていくことには限界があると考えられていた[19]
炉型の調査研究と1号機の選定詳細は「東京電力初の原子炉に沸騰水型が採用された経緯」を参照
立地調査の開始

東京電力原子力発電課は、設計研究を進める一方で立地について関心を強め、課員らは伊豆半島姉ヶ崎鹿島東海村、水戸射爆場跡地などを俎上に上げていた。これらの内、伊豆半島は地震多発地帯であり、岩盤に亀裂が多いことから避けられ[注釈 4]、姉ヶ崎は東京湾岸で人口密集地に近いことから対象より外された[20]。水戸射爆場跡地は日本原子力発電も隣接地に目をつけており、東海発電所の立地点となった[注釈 5]

立地選定活動について定量的に記載したものとしては、調査を担当した小林健三郎[注釈 6] が『土木施工』1971年7月号に投稿した記事がある。これによれば、発電所の総建設費を設置場所に係わりなく定まる固定費(例:主要機器)と、設置場所により変動する立地費に区分し、更に立地費を10項目に区分した[注釈 7]。更に発電所の総建設費に送電線費を加えた額を初期投資として考慮し、立地費と送電線費が最も安価となる地点を調査した。政治、社会的条件は無視したという。この結果、同社管外を含め全国より291地点を素材地点として選定、当時の原子力立地基準に適合している73地点を選定した。実際に決定した敷地は「地点番号8:長者ヶ原」としてこの73地点に含まれている。開発規模4000MWで立地費を算定すると全国平均が4530円/kWに対して当地点は2887円/kW(いずれも算定年1967-1968年度)で平均値より低くなった。なお、双葉町に増設を決定する前の開発規模4基2812MW[注釈 8] で立地費を算定すると3809円/kWとなり、開発規模を大きくとることでスケールメリットの利益を得られる旨が指摘されている[21]
福島県庁の調査・誘致活動

この間、福島県庁は東京電力とは別に、独自に原子力発電事業の可能性について調査を実施していた。松坂清作によると、福島県庁が調査研究を始めたのは1958年である[22]。これに先んじて1952年には、当時福島県議であった天野光晴(浜通りの長塚(双葉町)出身)が、福島県庁建て替えの寄付の為に、当時東京電力常務であった木川田一隆(中通りの梁川出身)を訪問した。これにより、天野と木川田が親密になり、東京電力の原子力発電所が長塚に誘致される要因になった[23]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:451 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef