神輿
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一般的に神殿をかたどった輿が多いが、神木(諏訪大社・長野県諏訪市)、人の性器(田縣神社・愛知県小牧市)をかたどったもの、人形を置いた神輿、四方に絵を描き屋根に弓張り提灯を並べた万燈神輿(まんとうみこし)[5]がある他、神酒樽を用いた樽神輿などもある。

神殿造りの一般的な神輿でも四角形の他に、六角形(例:あきる野市阿伎留神社[6] )の物や、八角形の神輿も関西を中心に存在する。東京では住吉神社の八角神輿が有名である。山梨県・富士吉田市の冨士山下宮小室浅間神社の富士山神輿



屋根の形状

屋根は通常、その御輿が属す神社の神殿を模したものとなる[7]。このため、寺社に多い唐破風、もしくは延屋根が採用される場合が多い[8]。次に八棟造が多く存在していると思われる。また、少数ながら切妻造もあり、神田明神の「三の宮鳳輦」のような入母屋造も見られる。なお、この輿には千木と鰹木が付き、大鳥(鳳凰)も擬宝珠もない[9]

通常は屋根の上は鳳凰または擬宝珠が置かれ、稀に神社にちなんだ鳥などがある場合はそれを冠している場合がある[10]
蕨手

屋根の対角線(境界線)の出っ張りを野筋と言うが、ここから直接蕨手(わらびて)が伸びているものが関東では一般的であり、関西では屋根の下から蕨手が伸びている神輿が多い。

江戸神輿では相州(湘南)神輿に比べて蕨手が、長いまたは大きい・太い傾向がある。
胴の形状

江戸神輿では細く、コーラ瓶のようにすぼまった形状(+唐破風屋根)が多いが、湘南のどっこい担ぎに使われる神輿は万灯神輿も含めて太めのストレート型が多く、「相州神輿」「湘南神輿」と言われ、台輪に「タンス」と呼ばれる環が付いてる場合が多い。
台座(胴下部)

台輪から直接、胴が構成されている形式を「平屋台造り」と言う。比較的古い神輿に多い。

神社のように回廊・勾欄・階で胴の周りを装飾した形式を「勾欄造り」と言い、最近の江戸神輿などに多い。
大きさ参考:大きさ比較=町会大人神輿、本社神輿、子供神輿、山車の比較

大きさの単位は、普通「台輪」と呼ばれる部位の幅で測られる[11]。標準的なものでも、幼児用の台輪寸法24cm(最大幅42cm)、担ぎ棒(一番長い親棒で180cm[12])を含む総重量18kgと言った小さなものから、台輪寸法105cm(最大幅177cm)、総重量550kg程度のものまである[11](このクラスだと、親棒の長さは630cm程度にもなる[12])。ただし意匠などにより重量は多少異なってくる[13]。なお台輪寸法が60cmの場合、担ぎ棒を一度に担げる人数は50人となる(参照した文献によれば3交代制として、担ぎ手は150人必要としている)[13]

日本で一番大きな神輿は東京都富岡八幡宮の御本社一の宮神輿と言われてはいるが、現在では担いで渡御することができない。また、台輪幅だけで言うと東京文京区の根津神社の本社神輿(宮神輿=神社神輿)の方が大きい。

重量は500キログラム、担ぎ棒込みで1トンを越えるものも珍しくない[14]

一般的には、本社神輿>町会大人神輿>女神輿または子供神輿の順に大きい。
担ぎ棒

担ぎ棒(柱)にも形や色、数は様々あり、同じ神輿でも用途に応じて長さや数を替えたりすることがある。棒の先に金物が付いている場合があり、これを棒先金物という。神輿(台輪)への固定には、楔を打ち込み固定、さらに釘で楔を固定する[15]。時には担ぎ棒に緩衝材にするための布団様の物を取り付ける事もあり、祭りによっては緩衝材の中身を真綿にしている事もある[注 1]
形状

丸型と四角型が大半である[注 2]
担ぎ棒の数通常は4点棒の小田原:松原神社の本社神輿。6点棒を外す作業風景。宮入り前に5分程で取り外し作業が完了した。
2点棒
台輪の穴を通り、前後方向に2本の親棒(長屋とも)だけが付いた2点棒が最もシンプルである。メリットは狭い道でも巡行でき、組立も簡単な他、神輿振りをする横田担ぎや小田原の居神流や大原はだか祭りなどの神輿の担ぎ方では必須の仕様である。
4点棒
担ぎ手を増やしたい場合など、親棒(縦棒)から左右(垂直)方向にトンボと呼ばれる横棒を2本伸ばし、その先に前後方向を向いた脇棒(外棒)を加えたもの。前後方向の担ぎ棒(縦棒)が合計で4本で、このタイプの神輿が最も多い。
6点棒
前後方向(縦棒)が6本の物。大型で重い本社神輿を中心に採用されている。例として鎌倉五所神社の本社神輿(宮神輿=神社神輿)など。東京四谷の須賀神社小田原松原神社など、普段は4点棒ながら限定的に6点棒で担がれる場合もある。
6点棒+4点棒
通常、6点棒とは縦棒のみを指し、横棒(トンボ)は輿の前と後の計2本であるが、これにトンボを追加した6点棒+4点棒の神輿も存在する。
2点棒+6点棒
上記と逆の構造で、2点棒にトンボが4本または6本の神輿もある。例としては城南担ぎの品川近辺で見られる「城南神輿」である。ちなみに同タイプの神輿は台輪棒穴が無く、棒の上に台座が乗る。
2点棒+2点棒
2点棒にトンボを2本のみ配して担ぎ手を増やす事ができるようにした神輿もある。この方式の配置は、神輿の差し上げや、神輿を担いだままその場で水平方向に素早く回転させるのに動きやすい利点がある。例として、北海道江差町八大龍王神八江聖団例大祭の御輿渡御で見る事ができる。
4点棒+2点棒
4点棒にトンボを2本のみ配して担ぎ手を増やす事ができるようにした神輿。神輿の差し上げや、神輿を担いだままその場で水平方向に素早く回転させるのに動きやすい利点が上記の「2点棒+2点棒」と同様である。

2点棒+2点棒の神輿の例(八大龍王神八江聖団例大祭・御輿渡御)

4点棒+2点棒の神輿の例(八大龍王神八江聖団例大祭・御輿渡御)

担ぎ棒同士の組付けは、ボルト・ナットやダボで組み、これらに縄や浸したサラシで巻き上げてたり、それぞれ単独の方法で組み立てる場合など色々な方法がある。担ぎ棒の組み付け。ダボ(凹凸)と縄の場合
仕上げ・色

白木と黒・朱色・漆塗りなどがある。形状も含めて混在している神輿もあるが、これは美的観点から意図的に行われている場合もあるが、2点棒→4→6と増設した場合や補修で、既存の棒と合うものがなく、仕方なく装着している場合もある。色と形の違う担ぎ棒。
ハナ棒

親棒・花棒・本棒の先端をハナ(花・鼻・華)と言い、一番目立つ場所である事から取り合いになることが多い。舵取りや顔として目立つ意味の花型と、先端を意味する鼻先の意味からこう呼ばれている。
材質

通常は主要部分は木製であり[16]、その製作には20種類の職人が携わる[17]

質素な白木のものから、漆塗り・極彩色のものまで様々である[13]

部品点数は3000程度[17]。神輿は担いで長時間荒々しく揺さぶられる場合が多いため、細かなパーツを組み合わせする升組み構造で、その震動・衝撃を吸収する[18]。通常、金属の宝飾品取り付け以外はは使われない[19]。また製作工程を統括する者を「神輿師」と呼ぶ[17]
祭り方(祀り方)

2種類に大別される。

1つは
天皇行幸を模し、鳳輩型の神輿に神霊を奉じて渡御する「王朝型神幸祭」。
例:京都石清水八幡宮、東京日枝神社神幸祭など。

2つ目は魂振りを行う祭り。神輿を激しく振り立て、神輿振りを強調する「日吉型渡御祭」で、神輿を激しく振り動かすことによって神の霊威を高め、豊作や大漁を願うものである。


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