神話
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このような性質から、神話が述べる出来事などは、不可侵であり規範として従わなければならないものとして意義づけられている[2][3]

英語のMythology(ミソロジー)には「物語としての神話」と「神話の研究」のふたつの意味がある[4]。例えば「比較神話学」(comparative mythology)は異なる文化圏の神話を比較研究する学問であり[5]、一方で「ギリシア神話」(Greek mythology)とは古代ギリシアの神話物語の体系を指す。単語「myth」は口語にてしばしば「誤った根拠」を指して使われる[6][7]が、学問的に使われる場合は、その真偽を問うことは無い[7][8]民俗学では、神話とは世界や人類がいかにして現在の姿となったかを説明する象徴的な物語と定義される[8][9][10]が、他の学問分野では単語「myth」の使い方が異なり[10][11][12]、伝統的な説話を広く包括する意味合いを持たせている[13]

比喩的な用法では根拠も無く絶対的事実だと思われている事象を例えて用いる言葉[1]にも使われ、「日本の『安全神話』(safety myth)が崩れた」といった例で使われる場合もある。これらは、現実が隠蔽され、人々の考え方や行動が何かしら誤った方向に固定化してしまった「常識」ともいえる[14][15]
神話の本質ギュスターヴ・モロー1868年作『プロメテウス』。最初のプロメテウス神話はヘシオドスの証言にあり、それはアイスキュロスの筆と思われる悲劇的な三部作形式に纏められた。神話の共通テーマ「火」を代表する物語である[16]
典型的な特徴

神話の主要登場人物はや超自然的なヒーローが多い[17][18][19]。支配者や聖職者は神話を神聖なものとして是認し、宗教と密接に関係させることがあり[17]、そのような社会では神話は遠い昔の「真実の物語」とみなされる[17][18][20][21]。実際に、多くの社会では古い物語を二つに、すなわち「実話」として語る神話と、「嘘の話」である寓話とに区分している[22][23]。神話は一般的に、世界が現在の形をなす前の根源的な時代のことを描写し[17]、そこで世界がどのようにして今の有り様となったか[8][9][10][24]、そしてさまざまな習慣や社会組織、さらに禁忌がどうして成り立ったかを説明する[17][24]
伝説・昔話

神話はストーリーを持つ物語の形式で、人間を取り巻く様々なものについての過去の出来事を語る。このようなモチーフは伝説昔話でも扱われるが、これらと神話とは密接に関連するものの学問用語として明瞭に区分されている[2][25]

神話は始原的な出来事を伝えるものに対し、伝説・昔話は過去のある時点の出来事について語られる。また、単一の事象を伝える点では神話と伝説は似ており、伝説は神話同様真実を伝える物語と受け取られるが[17]、基本的に固有名詞を持つ人物を主人公とし、その活躍した場所も限定され、時代も世界がほぼ現在のように様相が固まった後を舞台とする[17]ため歴史的記載に近く、神話のような広い対象の根源になるものではなく、神聖的性格も帯びてもいない[2]。主人公も神話のような神や超人ではなく、あくまで人間が主役となっている[17]

昔話は異なる時と場所で何度か起こった出来事の典型を表す話であり、真実を表現したものではないか、もしくは神聖な物語ではないものと認識される[2][17]。例えば『桃太郎』も、退治はどこでも起こりうる争乱の数ある一つと捉えることが出来るため、神話とも伝説とも異なる性格を持つ[2]

神話・昔話・伝説の3つは伝統的な古い説話を区分する手段に用いられる[26]が、これを物語る各文化では必ずしも厳密な線引きが出来ている訳ではない[2][27]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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