神戸空港
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また「神戸空港廃止後は、政府の危機管理向けやヘリポートなどの代替機能を担うべきだ」との見解を示した[33]。また、井戸敏三兵庫県知事矢田立郎神戸市長(当時)の二人が神戸空港、関西国際空港、大阪国際空港の共存を主張するのに対し、かつては橋下徹大阪府知事(当時)が大阪国際空港の廃港を持論としており、2010年1月27日には神戸空港について「結果から見れば失策」と述べ、伊丹を廃止すればその分、関西、神戸両空港に路線が集まると主張していた[34]
関西エアポート神戸への運営権売却

開港から10年経過した2016年9月13日、神戸市が神戸空港を42年間のコンセッション方式で運営権売却する方針を表明した[35]。開港前から議論されていた関西3空港一体運営を目的としているため、運営権の優先交渉権者は、2016年度より関西国際空港、大阪国際空港の両空港を運営する関西エアポートと密接な関係を有する会社を想定したものとなった。募集には3グループが名乗り出たが、最終的にはオリックスヴァンシ・エアポート、関西エアポート3社陣営グループが優先交渉権者に決定。2017年9月26日、関西エアポート神戸株式会社と神戸市の間で「神戸空港特定運営事業等公共施設等運営権実施契約」を締結[4]し、2018年4月1日より、関西エアポートの子会社である「関西エアポート神戸株式会社」による民間運営に完全移行した。

関西エアポート神戸株式会社による運営は、2018年度から2059年度までの42年間(合意延長された場合は2069年度まで)を予定しており、空港用地および空港施設は神戸市が継続して所有し、滑走路等航空系事業およびターミナルビル等非航空系事業双方の運営、維持管理を行う。活性化施策として、機材大型化の働きかけ、ビジネス需要喚起、航空旅客の重複(カニバリゼーション)を抑えた路線誘致、ターミナルビル改修による商業エリアの大幅拡張、旅客誘導改善による店舗への入店率向上、搭乗手続きの効率向上と旅客回遊時間の拡大、神戸らしさ、関西らしさが感じられる特色ある商品構成と店舗でのスピーディーなサービスなどを挙げている[4]。具体的には、関西国際空港・大阪国際空港で採用しているスマートレーンの導入、3空港連携イベントの開催、ブランド店舗の誘致、駐機スポットや到着バゲージコンベアの増設、店舗配置などのレイアウト変更、出発エリアの店舗の増設・拡張などが提案されている[36]。1階到着ロビーや2階搭乗待合室の改修イメージはすでに公開されており、民間移行後早い段階で改修が行われる予定である。関西エアポート神戸の山谷佳之社長は「地方路線を運航したい航空会社を全力で支援する」と述べ、都心に近い神戸空港の優位性を生かし神戸空港の地方路線を拡充させる意向を明らかにした[37]。着陸料等の料金施策は、当初は現行維持を原則とするが、将来的には使用機材と重量による料金体系の見直しや、インセンティブ制度の導入を検討する[36]。また、旅客数は2022年度で300万人とする目標数値を市に提案していたが、運営権売却前の2017年度に前倒しで300万人を突破した。
規制緩和

神戸市は、運営権売却前から規制緩和の働きかけを国に行い続けていたが実現せず、運営権売却を機に関西政財界全体で規制緩和を働きかける動きが広まった。スカイマークの佐山展生会長は「規制緩和されると関西の窓口は神戸になる」と述べ、運用時間が24時間に伸びた場合「大阪国際空港や新幹線と比べて夜間の遅い時間帯に東京-関西を移動でき便利になる」と、規制緩和に期待感を示した[38]。また、吉村洋文大阪市長も2017年7月26日、「足を引っ張るのでなく、規制緩和でお互いを伸ばすべき」として神戸空港の国際化、24時間化に言及した[39]。規制緩和に向けては、運用規制を定めた「関西3空港懇談会(3空港懇)」で議論が必要であるが、2010年4月を最後に開催されておらず、井戸敏三兵庫県知事や松井一郎大阪府知事をはじめ関係者が早期開催を要望していた。

2017年7月、懇談会の座長である関西経済連合会の松本正義会長は運用時間規制などの規制緩和に向けた検討を進める意向を明らかにした[40]。当初規制緩和などには慎重な考えであった同氏だが、同年11月28日には「規制緩和は絶対にやる必要がある」と述べ、2018年中に懇談会を再開させる方針を表明[41]するなど、規制緩和へ機運が高まっていた。

このような中、2018年9月4日に接近・上陸した平成30年台風第21号により、関西国際空港で甚大な被害を被った。1期島のほぼ全域が冠水し、浸水に伴い空港内で停電が発生、さらに関西国際空港連絡橋にタンカーが衝突し空港機能は完全マヒ、数日間閉鎖される事態に陥った。9月5日深夜3時、空港内から出られなくなった空港職員や乗客を対象に、神戸-関西ベイ・シャトルの高速船を利用した関西国際空港→神戸空港の高速船輸送を開始すると発表[42]、早朝6時より15分?20分間隔の高頻度で乗客を無料輸送した。当時は完全に交通機関が寸断されており、関西国際空港から最初に人々を運んだ交通機関となった[43]。その後も9月14日の関空第1ターミナル一部再開に伴い、25日まで定期便に加えて1日最大12往復の臨時便を運航した[44][45]

発災直後は関空の復旧目途が全く立っておらず、9月6日には関空機能を神戸空港・伊丹空港で代替できるよう調整に乗り出した[46]。9月10日には国土交通省が市に対し協力依頼を要請し、12日より市が協力受け入れを回答する形で代替受け入れが正式に決定した[47][48]。国交省からの要請として国際線を含めた1日30便の増便を受け入れ、このほかに松井一郎大阪府知事の要請として運用時間の2時間拡大(7時-22時→6時-23時)に対応する用意があるとした。これをうけ、ターミナルビル1階東側に国内線と国際線の動線を分ける仕切りを設置し、機材置き場を確保するなどの国際線受け入れの準備が整えられたほか、深夜早朝を含めた臨時増便に備え、ポートライナーを運行する神戸新交通はダイヤ改正を検討し代替受け入れの体制を整えた[49]。9月16日・17日には全日本空輸 (ANA) の羽田臨時便4便が運航された[50][注 3]


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