神の手_(サッカー)
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

また守備側のハンドの場合は反則を取られてもPKが与えられるだけであるため、不利益を被った側のチームがPKを失敗したことがもとで敗れた場合、サッカーのルールを問う論議につながったこともある[3]
マラドーナの「神の手」マラドーナの「神の手」ゴール
1度目の「神の手」

試合:
1986 FIFAワールドカップ準々決勝 アルゼンチン対イングランド

ケース:手でボールに触ってゴール

両チーム無得点で迎えた後半6分、ドリブルでゴール正面に切り込んだディエゴ・マラドーナは、ホルヘ・バルダーノとの壁パスでDFラインを抜けようとした。イングランドのスティーヴ・ホッジがパスをカットしたが、蹴り上げたボールはペナルティエリア内にふわりと浮かんだ。落下地点にはマラドーナが走りこんでおり、GKピーター・シルトンは慌てて前方へ飛び出した。両者は空中でボールを競り、シルトンのパンチングより先にマラドーナがボールに触り、ゴールに流し込んだ。

マラドーナがヘディングを決めたように見えたが、イングランドの選手は主審にハンドをアピール。テレビ中継の再生映像には、マラドーナがジャンプしながら振り上げた左手の拳でボールをはたいている瞬間が映っていた[4][5]。だが、主審はマラドーナがヘディングでボールにコンタクトしたと判断し、ゴールを認めた。

マラドーナは試合後のインタビューでこのプレーについて聞かれると、「ただ神の手が触れた」と表現した。以後、サッカー界ではこれに類するプレーが神の手(Hand of God)と呼ばれることになった。
2度目の「神の手」

試合:
1990年ワールドカップ・イタリア大会・グループB アルゼンチン対ソビエト連邦

ケース:手でシュートを阻止

1990年イタリア大会では、守備の場面で「神の手」が再現された。ソビエト連邦のコーナーキックから放たれたヘディングシュートを、ゴールポスト脇に立つマラドーナが右手で弾き落とした。今回もハンドの反則は取られず、グループリーグ敗退の危機にあるチームを救う結果となった。
「神の手」ゴールの背景

アルゼンチン・イングランド両国は過去に1966年ワールドカップ・イングランド大会準々決勝で対戦していたが、アルゼンチンのラフプレーに怒ったイングランドが試合後のユニフォーム交換を拒否し、アルフ・ラムゼイ監督が相手選手を「アニマル(野獣)」と中傷するという遺恨を残していた。さらに、1982年のフォークランド紛争でアルゼンチンがイギリスに敗戦したことから、メキシコ大会の対戦にはサッカーの枠を超えた国民感情が渦巻いていた。マラドーナは「神の手」ゴールから4分後にも、センターライン付近からドリブルでイングランドの選手5人をかわす驚異的な「5人抜きゴール」を決め、母国の国民的英雄となった。

のちに、マラドーナは自伝においてハンドだったことを認め、母国のテレビ番組では「早く来て自分を抱き締めないと、審判が得点を認めないぞ」とチームメイトに呼びかけたという裏話を明かしている[6]。ドキュメンタリー映画『マラドーナ』(2008年[注 1])の中では、「マルビナス[注 2]で殺された若者達の敵討ちだった」「イングランド人の財布を盗み、バカにしてやった気分だ」と語っている。

2008年にはイギリス大衆紙の取材に対し「過去に戻って歴史を変え、謝ることができるならばそうするだろう。でも、ゴールはゴールだ」とコメント[7]2010年の雑誌インタビューでは罪の意識を否定し、「ワールドカップで勝てるなら手だって使うさ。審判が認めれば、それでゴールだ」と答えている[8]

イングランドの監督だったボビー・ロブソンは「あれは誤審以外の何ものでもない。誤審はあり得ることで仕方がない。だが私が許せないのは、それを神の手などと呼ぶ者の欺瞞だ」と語っている[9]
関連事項

マラドーナを現人神と讃えるマラドーナ教は、ロサリオの「神の手教会」を中心に信仰活動を行っている。幼児洗礼の儀式では幼児に左手でサッカーボールを叩かせ、結婚式では新郎新婦が左手をボールに乗せて婚姻の宣誓を行う。

2004年に発売された国際サッカー連盟(FIFA)設立100周年記念DVD『FIFA FEVER』では、「ワールドカップ10大誤審」が取り上げられ、マラドーナの「神の手」ゴールが第1位に選ばれた[注 3]。「5人抜きゴール」の方は、2002年にFIFAが実施したオンライン投票で「ワールドカップ・ゴール・オブ・センチュリー」に選出されている[10]

2018年ワールドカップ招致に立候補したイングランドでは、2010年クレイアニメの人気キャラクター「ウォレスとグルミット」が登場するプロモーション映像が公開された。この中では、犬のグルミットが前脚でゴールを決める「犬の手(Hand of Dog)」というユーモアが披露された[11]
その他の著名なケース
フランク・オルデネビッツ(ヴェルダー・ブレーメン)


試合:
ブンデスリーガ 1987 - 1988 ヴェルダー・ブレーメン1.FCケルン

ケース:ハンドの申告
優勝をかけた試合で、ケルンの放ったシュートがフランク・オルデネビッツの手に当たってゴールから逸れた。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:41 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef