社区建設とは、党と政府の主導の下で、社区の力に拠り、社区の資源を活用して社区の機能を強化し、社区の問題を解決し、社区成員の生活レベルを向上させ、社区の経済、政治文化、環境の協調・発展を促進する過程である[4]。1990年代後半以降、政府はこのような社区建設を強力に推し進め、「単位」制度の下で周縁化されていた居民委員会の機能を強化した[5]。居民委員会は行政の末端組織である「街道弁事処」の指導を受け、国家政策の宣伝、計画出産の管理、社会治安の維持、流動人口の管理、失業者の就業斡旋、青少年教育などの街道弁事処から下達された行政的な活動を行っている[5]。他方、居民委員会は住民への福祉サービスや文化活動を行い、ボランティアを組織し、社区の環境美化、衛生管理、"空巣老人"(独居老人)の助け合い等を進めている。1990年代の末から都市部で唱えられていた社区建設の最終的な目標は、民主的自治を実現することである[5]。2000年12月に民政部が出した「全国で都市の社区建設を推進する意見」では、住民自治の目標を「民主的選挙、民主的決議、民主的管理、民主的監督」を実現し、社区住民の「自己管理、自己教育、自己サービス、自己監督」を徐々に実現することとされている[5]。すなわち住民の民主的選挙によって、民主的な自治組織を誕生させ、それにより民主的な管理と監督を行い、住民の自発的な参加によって、本当の意味での民主的自治を実現することが究極的な目標である[5]。
脚注[脚注の使い方]^ a b c d 伊藤(2011年)41ページ
^ a b c 河村(2011年)63ページ
^ a b c 藤井(1999年)29ページ
^ a b c d e f g h 唐(2013年)134ページ
^ a b c d e 唐(2013年)135ページ
参考文献
國谷知史・奥田進一・長友昭編集『確認中国法用語250WORDS』(2011年)成文堂(「社区」の項、執筆担当;伊藤和歌子)
國谷知史・奥田進一・長友昭編集『確認中国法用語250WORDS』(2011年)成文堂(「単位」の項、執筆担当;河村有数)
藤井省三著『現代中国文化探検―四つの都市の物語―』(1999年)岩波新書
愛知大学現代中国学部編『ハンドブック現代中国(第4版)』(2013年)あるむ(「社区建設」の項、執筆担当;唐燕霞)
関連項目
中華人民共和国の戸籍制度