握手という伝統に替わるような様々な方法が提案されている。手のひらと手のひらを合わせ、指を上に向け、その手を心臓のところに引きつける、ナマステのジェスチャーは、身体的接触を伴わない代替手段のひとつである。2020年におけるイギリスのコロナウイルス感染症の流行時にチャールズ3世(当時皇太子)がレセプションでの来賓との挨拶にこのジェスチャーを使い、世界保健機関 (WHO) のテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長やイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がこのナマステのジェスチャーを用いることを推奨している。[42] その他の握手の代替手段としては、手をふること、シャカ・サイン(ハワイなどで用いられる、親指と小指を伸ばして残る3本の指を折りたたむ仕草)、イランの一部で用いられる手のひらを心臓の部分に置く仕草、などがある。[42]
2台に1台の割合でワークステーションを停止させて従業員間の間隔を増やしたコンピュータ室
握手の代わりに片手の拳をもう片方の手のひらで包む拱手(きょうしゅ)の挨拶をする台湾の蔡英文総統
公共の場で人と人が間隔をとりやすくするための床の目印
ぬいぐるみ人形を使って間隔をとった待合室
学校の閉鎖2009年のイギリスにおける豚インフルエンザの週毎の患者数の推移。イギリスでは学校は通常7月中旬から夏休み期間に入り、9月上旬に授業を再開する。[43]
学校を閉鎖することによって感染症の流行を遅らせられる可能性が、数理モデルによって示されている。しかしながら、その効果は生徒が学校外でどの程度他人と接触を持っているかにもよる。両親のうち一方が仕事を休まねばならなくなることが多く、学校の閉鎖期間の延長が必要となる可能性がある。これらの要因によって社会的・経済的な混乱が起こる可能性がある。[44][45] アメリカのデータに基づいた数理モデルやシミュレーションの研究結果からは、感染症の影響を受けた職場の10%が閉鎖された場合、総合的な感染症の伝播率は約11.9%となり、感染者数のピーク時期はわずかしか遅らせられないことが示唆される。一方で、感染症の影響を受けた職場の33%が閉鎖された場合、感染症の伝播率は4.9%にまで減少し、感染者数のピーク時期が1週間遅らせられる[46][47]。職場の閉鎖の対象には「必要不可欠でない」事業サービスや社会サービスの閉鎖が含まれている(「必要不可欠でない」サービスとは、地域社会の主要機能の維持を行わない事業所・機関という意味で、必要不可欠なサービス[48]の対義語である)。[49] 大人数の集会の中止対象には、スポーツのイベント、映画・ミュージカルの公演などが含まれる[50]。大人数の集会によって感染症の伝播の潜在的可能性が増加していることを示唆する証拠は決定的なものではない[51]。ある種の大人数の集会がインフルエンザの伝染リスクの増加と関連しており、またパンデミック時においては、地域の中に新たなウイルスの集団の種を播き、その地域社会に伝染を引き起こしてしまう原因となる可能性を示唆する事例証拠(逸話や風聞などの形をとる形式的ではない証拠)が存在する。1918年のインフルエンザのパンデミック(スペインかぜの流行)時にアメリカのフィラデルフィア[52][53]およびボストン[54]において開催された軍事パレードにおいて、感染した船員と一般市民の群衆がまざりあったことが感染症を拡散させた原因となった可能性がある。
職場の閉鎖
大人数の集会の中止