社会距離拡大戦略
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アメリカ疾病予防管理センター (CDC) は、社会距離拡大戦略について、一連の「感染症の拡散リスクを減少させる目的のため、人と人との間の接触の頻度および近接性を減少させる方法」と表現している[24]2019年からのコロナウイルスのパンデミック時に、CDCは社会距離拡大戦略の定義を「集団的な場 (congregrate settings) [33]から離れていること、大人数の集会を避けること、可能であれば他者から約6フィート (183 cm)または2メートル (m)の距離を保つこと」に変更した[4][5]

上記より以前に、2009年豚インフルエンザの流行時に、世界保健機関 (WHO) は社会距離拡大戦略のことを「他の人から少なくとも腕1つ分の距離を保ち、人が集まることを最小限に抑えること」と表現した[22]。社会距離拡大戦略は、良好な呼吸器官の衛生策や手洗いと組み合わせて用いられるものであり、パンデミックを規模を縮小したり遅らせたりするのに現実的に最も実現性の高い方策と考えられている[22]
効果

社会距離拡大戦略は、咳やくしゃみなどで飛沫感染する感染症の場合に最も効果的である。性的接触を含む直接的な身体的接触による感染や、間接的な物理的接触による感染、または空気感染する場合にも効果的である[34]

しかし、感染が主に汚染された水や食物を介して、または蚊や他の昆虫などの媒介者によって伝染する場合、社会距離拡大戦略はあまり効果的ではない[35]

この戦略の欠点としては、不安抑うつフラストレーション、もしくはスティグマ化といった心理的・社会的問題が発生することが挙げられる[9]
具体例「流行曲線の平坦化(英語版)」および「新型コロナウイルス感染症の世界的流行に関する社会距離拡大戦略(英語版)」も参照社会距離の拡大により感染のピークの急激な発生を防止(流行曲線の平坦化)し、医療サービスが需要に対応して医療サービスの量が増加し内容を改善するために必要な時間を延ばすことに寄与する。[36][37][38]

病気が社会の中を循環しているということが認知されれば、人々が公共の場や他の人から離れていることを選択するという行動変容(英語版)のきっかけとなる可能性がある。社会距離の拡大策が伝染病のコントロールのために実施される場合、便益をもたらしうる一方で経済的コストを伴う。社会距離の拡大策が有効に機能するためには、対策を即座に厳格に適用しなければならないことを、研究結果は示している。[39] 伝染病の拡大抑制を目的とした社会距離の拡大策がいくつか実施されている[4][24][26]
身体的接触の回避社会距離の拡大には、典型的には握手ハグホンギ (マオリ族で用いられる、鼻と鼻、額と額を触れ合う挨拶) の時に起こるような、身体的接触を行わない、ということが含まれる。

互いに最低2メートルの距離を取り、直接身体を触れ合うようなハグジェスチャーを行わないことによって、インフルエンザパンデミック(広範囲の流行)や2020年のコロナウイルスのパンデミックのような感染症の感染リスクが減少する。[4][40] 個人で衛生上の予防策を取ったうえで、上記の離隔距離を保つことは、職場においてもまた推奨されている。[41] 可能であれば、テレワークが推奨される場合もある。[23]

握手という伝統に替わるような様々な方法が提案されている。手のひらと手のひらを合わせ、指を上に向け、その手を心臓のところに引きつける、ナマステジェスチャーは、身体的接触を伴わない代替手段のひとつである。2020年におけるイギリスのコロナウイルス感染症の流行時にチャールズ3世(当時皇太子)がレセプションでの来賓との挨拶にこのジェスチャーを使い、世界保健機関 (WHO) のテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長やイスラエルベンヤミン・ネタニヤフ首相がこのナマステジェスチャーを用いることを推奨している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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