社会保険
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ノルウェーでは、老年、障害などを担う国民保険が存在し、社会保険モデルである[15][16]。一方で医療については、大部分を一般税収を原資としている[11]

シンガポールでは、労使が共に中央積立基金(CPF)へ拠出する社会保険制度があり、賦課方式ではなく個人単位積立方式である。積立は医療支出や定年後の資金として引き出すことができ、また遺産相続の対象である[17]

なおオーストラリアニュージーランドには社会保険制度は存在せず、一般税収財源にて運営される[4]

OECD各国の保健支出財源 [11]
水色は政府一般歳出、紫は社会保険、赤は自己負担、橙は民間保険、緑はその他

日本の制度「日本の福祉」、「日本の医療」、および「日本の年金」も参照

日本の社会保険は、それぞれの保険集団が、そのグループ構成員に強制加入を求めて、全国民(国民皆保険・皆年金)を包みこんでいる。社会保険の財源は保険料中心であるが、保険料以外の主なものには国庫負担金がある。また、医療保険や介護保険の場合は、被保険者等が支払う一部負担金もある。保険料は、被用者保険では被保険者本人のみならず事業主も負担している(給与税)。また、保険料を軽減するために国や地方公共団体も費用の一部を負担している。こうした制度は低所得者も含めて保険集団としてのまとまり(相互扶助・社会連帯)を作る側面がある。

日本の総税収に占める割合は41.6%であり(2012年)、OECD平均の26.2%を大きく上回り、上位のスロバキア(43.9%)に近い[5]日本の一般政府部門税収(GDP比)。棒グラフは総額。
青は個人所得税、橙は法人税、緑は社会保険、紫は消費税、赤は資産税。

歴史としては、第一次世界大戦後に1922年に制定された健康保険法をはじめ、労働者(被用者)を対象として発足しているが、これは世界共通の現象でもある。しかし、第二次世界大戦後は、社会保障の充実の要望を背景として、一般地域住民に対する社会保険制度を整備し、全国民の生活を保障することとした。1961年に国民健康保険制度が完全普及される一方、国民年金制度が発足し、国民皆保険・国民皆年金が実現した。詳細は「日本の福祉#歴史」を参照
日本における種類
給付による分類

一時的な労働不能の保険事故には、病気やけが、出産、失業などがあり、医療給付や手当金等の短期給付が行われる。永続的な労働不能の保険事故には、障害、老齢、死亡などがあり、年金等の長期給付が行われる。また、発生原因により、業務上と業務外の区別がある。給付の性質により現物給付と現金給付があり、年金保険、雇用保険はすべて現金給付であるが、医療保険、介護保険、労災保険は制度内に現物給付と現金給付が混在する。

医療保険

健康保険 - 一般民間被用者(業務外)

船員保険 - 船員(原則業務外)

日雇健康保険 - 日雇労働者・日雇特例被保険者(業務外)

自衛官診療証 - 自衛官等[注釈 1]

共済組合(短期給付) - 公務員・私立学校教職員等

国民健康保険 - 自営業、無職者等の一般住民、国会議員・地方議会議員

後期高齢者医療制度 - 75歳(一定の障害があるものは65歳)以上の全住民


年金保険

国民年金 - 自営業、無職者等の一般住民(所定の要件を満たす全住民が基礎年金として加入)

厚生年金 - 一般民間被用者・船員、国会議員・地方議会議員、公務員・私立学校教職員等、自衛官等(原則として国民年金と二重加入)


介護保険 - 40歳以上の全住民

雇用保険 - 一般民間被用者

労働者災害補償保険(労災保険) - 一般民間被用者(業務上)

対象者による分類

被用者を対象とする社会保険と自営業者等を対象とする社会保険に大別されるが、医療保険では、一般住民が加入する「国保(国民健康保険)」に対し、被用者保険を「社保(社会保険)」と呼ぶことがある。また、企業では、保険料納付手続きの面から区分して、健康保険と厚生年金の2つを合わせて「社会保険」、雇用保険と労働者災害補償保険の2つを合わせて「労働保険」と呼ぶことがある。なお介護保険、後期高齢者医療制度は職域による区別をしていない。ここでいう労働者には、正社員、パートタイマー、アルバイトなどの名称を問わず、事業主の指揮命令系統の下に使用され、賃金を支払われている者ならばすべてを含む。また、法人の代表以外の役員や外務員などであっても、労働者としての実態があり、賃金が支払われている場合は労働者に含む。[18]

被用者

民間企業 - 健康保険、厚生年金、雇用保険、労働者災害補償保険(労災保険)

公務員 - 共済組合(短期給付)、厚生年金、退職手当、公務員災害補償

船員 - 船員保険、厚生年金、雇用保険、労災保険

国会議員・地方議会議員 - 国民健康保険、国民年金


自営業者等

自営業者等 - 国民健康保険、国民年金


管掌による分類

政府直営 - 雇用保険、労災保険

政府が制度設計し、
地方公共団体が運営 - 国民健康保険(市町村国保)、介護保険(市町村)、後期高齢者医療制度(都道府県単位の広域連合

政府が制度設計し、公法人が運営 - 国民年金(日本年金機構)、厚生年金(日本年金機構、共済組合)、健康保険(全国健康保険協会健康保険組合)、船員保険(全国健康保険協会)、国民健康保険(国保組合)、共済組合(国家公務員共済、地方公務員共済、私学共済)

特色

社会保険制度は、日本の社会保障制度の中で中核的な存在であり、生活保護が公費(税)による給付を行う救貧制度であるのとは違い、保険のしくみを利用して一定の事故に対する給付を行う防貧制度である。また、個人の努力では救済しきれない経済的損失を、国家または社会が集団の力で救済するという社会的目的のために、私的保険とは違う特色を持つ。
日本での「社会保険」という語について

講学上は、本項冒頭にあるとおり、社会全体の保険料負担により給付を行う制度である。

医療保険と年金保険のみを指すことがある。

社会保険庁日本年金機構

社会保険労務士法では、「労働及び社会保険に関する諸法令」や「労働社会保険諸法令」という文言があり、労働保険を除いたものを「社会保険」と規定している。


医療事務では、「国保(国民健康保険)」に対して被用者保険を「社保(社会保険)」と呼ぶことがある。

所得税社会保険料控除の対象となる「社会保険料」には、任意加入である国民年金基金厚生年金基金の掛金が含まれている。

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 防衛省の職員の給与等に関する法律(昭和27年法律第266号)第22条に基づき国(防衛省)が行う療養の給付であり、本来は医療保険と性質を異にするものであるが、医療保険における療養の給付に相当することから参考として掲げる。

出典^ a b OECD 2014.
^ .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}Revenue Statistics 2016 (Report). OECD. 2016. p. 35. doi:10.1787/rev_stats-2016-4-en-fr。


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