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松花江緑石硯

紅糸石硯

山東省青州の黒山にて発見された。黄褐色に紅色の糸状の模様が特徴。宋代頃に良質の原石が枯渇したため衰退し、現存するものは少ない。現在この名称で安価に販売されているものは「土瑪瑙石」という偽物の可能性がある。
和硯

和硯(わけん)は中国製の硯を唐硯(とうけん)と呼ぶ対比で日本の石を使って作られた硯のこと。 日本硯[12]ともいう。

石硯は中国では紀元前200年ごろのの時代の墓より出土している。日本には推古天皇時代に墨がもたらされたと考えられており、このことから硯もあったと考えられている[13]。日本で硯が作られるようになったのは『倭名類聚抄』(930年代)に"硯には石を第一とする"という記述があることなどから、奈良時代にはすでにあったとされる説があり[13]、産地について触れられているものとしては、1191年に鶴岡八幡宮に源頼朝によって献納された風字硯は赤間硯だったと言われていること、それ以前に若田石硯や田野浦石硯はそれよりも古いとされていることから、1100年ごろから日本でも硯が作られていたのではないかとされている[14]

和硯の年産は1985年ごろでは推定で120万面となっている[15]
和硯材の産地

寛政7年(1795年)の『和漢研書』には「日本研材」として37の石が記されており、明治10年(1877年)の『文芸類纂』では同様に37の石が記されているが同一ではない。昭和60年(1985年)に著された石川二男による『和硯のすすめ』には主要な26の産地と石が挙げられているほか、その当時ですでに手に入らないものを含めた日本各地の主要な硯材と産地が挙げられており、100以上に上る[16]。同時期の名倉鳳山による『日本の硯』では日本の硯材は同じ材の重複や質などの点を考慮すると約20種となっている[17]
各産地と名称

紫雲石硯 - 岩手:正法寺石、三井石、夏山石、荻生石、瑞井石、日向石、中倉石、猿沢石
[18][19]


岩手県 紫雲石(表)

岩手県 紫雲石(裏)


雄勝硯 - 宮城:玄昌石、おかち石、御留山石、波板石、仙台石[20][21]


宮城 雄勝硯


小久慈硯、大子硯 - 水戸9代藩主徳川斉昭 国寿石 - 茨城 別名:国寿石、大子石[22][23]


大子硯(小久慈硯)


雨畑硯 - 山梨県郷土伝統工芸品[24]


山梨 雨畑硯


村雨硯 - 長野


長野 村雨硯


龍渓硯 - 長野 高遠石、鍋墨石、竹ノ沢石、鍋倉山石、横川石、深沢石、天竜石、伊奈石


長野 龍渓硯


鳳来寺石硯 - 愛知 金鳳石、鳳鳴石、煙厳石


愛知 鳳来寺硯 金鳳石

愛知 鳳来寺硯 金鳳石 蓋

愛知 鳳来寺硯 鳳鳴石

愛知 鳳来寺硯 煙巌石


虎斑石硯 - 滋賀 高島石、玄性石


滋賀 高島虎斑石硯 (模様を出すため色合いを調整)


那智黒硯 - 和歌山


和歌山 那智黒硯(蓋裏)

和歌山 那智黒硯(蓋をかぶせたところ)


高田硯 - 岡山


岡山 高田硯


諸鹿石 - 鳥取


鳥取 諸鹿硯


赤間硯 - 山口 厳島神社平舞台の束石[25] 、回廊の支柱[26]


山口 赤間硯 昭竜山

山口 赤間硯 昭竜山 (裏)

山口 赤間硯 紫青石


三原硯 - 高知、土佐石

若田石硯 - 長崎 紫式部の逸話がある[27]


長崎 対馬 若田石硯


紅渓石硯 - 宮崎


宮崎 紅渓石硯


屋久島硯 - 鹿児島


鹿児島県 屋久島硯


冷泉石 - 鹿児島


鹿児島 冷泉石硯

その他の硯産地

北朝鮮製の硯 表

北朝鮮製の硯 裏

台湾製の硯

硯の手入れ

硯は半永久的に使えるものであるが、そのためには手入れが必要である。
鋒鋩を立てる
硯は使っているとだんだん磨り減って、ついにはツルツルになってくる。こうなると墨が磨れないので、硯用の
砥石で硯面を研ぐ。これを鋒鋩(ほうぼう、「刀の先」の意)を立てるという。硯面に光をあてると鋒鋩と呼ばれるキラキラと光る細かい宝石のような粒が現れ、これで墨が磨れる。この鋒鋩が細かく密に、そして均一に散りばめられているほど墨色は美しく出る。また、鋒鋩が鋭く強いほど墨は早く磨れるが、あまり鋒鋩を立てすぎると、かえって良くない。立てすぎた場合は、磨墨の際に、金属音がする。
きれいに洗う
硯を使ったら脱脂綿などを使い、必ず隅々までぬるま湯(熱湯は硯が割れる恐れがあるため不可)できれいに洗う。古い墨を残しておくと新しく磨った墨も腐ってしまう。また磨った墨の断面を硯の上に立てて保管してはいけない。良い硯ほど墨が貼り付いてしまい、無理に取ろうとすると硯の面が剥がれてしまう。その場合は、接着面を水で濡らし、しばらくおいておくと、うまく剥がれることがある。近年、鋒鋩を痛めず、経年溜まった墨を取り除くことができる書道用洗浄液(蒼龍泉など)が販売されているので、簡単に硯面を綺麗にすることができるようになった。
脚注・出典[脚注の使い方]^ 「墨磨り」が撥音便化を経て変化したもの。すみすり > すんずり > すずり
^ “ ⇒書道用品、墨、墨液、紙、筆のことなら書遊Online”. syoyu-e.com. 2023年4月4日閲覧。
^ “文房四宝”. 書道入門. 2023年4月4日閲覧。
^ “硯の部分名称(呼称)と書道の役割り|宝泉堂R”. www.housendo.jp. 2023年4月4日閲覧。
^ “ ⇒硯匠庵”. amehata.suzurinosato.com. 2023年4月4日閲覧。
^ “鋒鋩”. 書道入門. 2023年4月4日閲覧。
^ “ ⇒硯の目立て - 徽州曹素功 藝粟斎”. 硯の目立て - 徽州曹素功 藝粟斎. 2023年4月4日閲覧。
^"弥生時代の国内最古級すずり出土 倭人伝の記述裏付け 糸島市"西日本新聞』2016年3月1日記事。
^ 「紀元前 硯作り/国内文字使用 300?400年さかのぼる?北部九州3遺跡」『毎日新聞』朝刊2019年2月20日(総合・社会面)2019年4月13日閲覧。
^ a b c d e「円面硯」九州歴史資料館 飛び出すむかしの宝物 解説シート 九州歴史資料館、2021年2月16日閲覧。


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