硫酸
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その酸解離定数熱力学的定数)は25 ℃において以下の通りである[12][15]。ここで [ X ] {\displaystyle {[\mathrm {X} ]}\,} は X {\displaystyle {\mathrm {X} }\,} の活量を表すが、希薄水溶液では質量モル濃度(モル濃度にもほぼ漸近する)に近い。水酸化ナトリウム水溶液による中和滴定曲線
第一解離定数 H 2 S O 4 ( a q )   ⇌   H + ( a q ) + H S O 4 − ( a q ) {\displaystyle {\rm {H_{2}SO_{4}(aq)\ \rightleftharpoons \ H^{+}(aq)+HSO_{4}^{-}(aq)}}} K a 1 = [ H + ] [ HSO 4 − ] [ H 2 SO 4 ] = 10 5 {\displaystyle K_{a1}={\frac {[{\mbox{H}}^{+}][{\mbox{HSO}}_{4}^{-}]}{[{\mbox{H}}_{2}{\mbox{SO}}_{4}]}}=10^{5}} p K a 1 = − 5 {\displaystyle \mathrm {p} K_{a1}=-5\,}
第二解離定数 H S O 4 − ( a q )   ⇌   H + ( a q ) + S O 4 2 − ( a q ) {\displaystyle {\rm {HSO_{4}^{-}(aq)\ \rightleftharpoons \ H^{+}(aq)+SO_{4}^{2-}(aq)}}} K a 2 = [ H + ] [ SO 4 2 − ] [ HSO 4 − ] = 1.02 × 10 − 2 {\displaystyle K_{a2}={\frac {[{\mbox{H}}^{+}][{\mbox{SO}}_{4}^{2-}]}{[{\mbox{HSO}}_{4}^{-}]}}=1.02\times 10^{-2}} p K a 2 = 1.99 {\displaystyle \mathrm {p} K_{a2}=1.99\,}

二段階目の解離に関するエンタルピー変化、ギブスの自由エネルギー変化、エントロピー変化および定圧モル比熱変化は以下の通りである[9]。解離に伴うエントロピーの減少は、イオンの電荷の増加に伴う水和の程度の増加に起因する。

Δ H ∘ {\displaystyle \Delta H^{\circ }} Δ G ∘ {\displaystyle \Delta G^{\circ }} Δ S ∘ {\displaystyle \Delta S^{\circ }} Δ C p ∘ {\displaystyle \Delta C_{p}^{\circ }}
第二解離?21.93 kJ mol−111.38 kJ mol−1?111.7 J mol−1 K−1?209 J mol−1 K−1

物理的性質

濃度98%の硫酸の融点は3 ℃、比重は1.84 (15 ℃) である。204 ℃、98.33%の濃度で水と三酸化硫黄の分圧が等しくなるため、不揮発性ではあるが、温度を上げるだけではこれ以上濃度を高めることはできない。

濃度が薄いほど密度が水に近くなり、濃度が高くなるにつれて密度と粘稠性(粘り気)が増す。硫酸の粘度 (Pa s) は多くの液体で見られるように温度の上昇とともに低下し、常温25 ℃、1気圧では、23.8×10-3であるが、50 ℃で11.7×10-3、100 ℃では4.1×10-3となる。しかし、ヒドロキシ基により強い水素結合が生成されるため[12]、粘度は水の数十倍にもなる[16]

硫酸溶液の濃度と密度の性質を利用して鉛バッテリー液などでは、液比重計を使用して硫酸溶液の濃度を測定している。

純硫酸の25 ℃における比誘電率は101であり、イオン解離に有利な溶媒であるといえる[11]

質量濃度

H2SO4密度

(kg/L)モル濃度

(mol/L)一般名
<29%1.00-1.25<4.2希硫酸
29?32%1.25?1.284.2?5.0バッテリー液

(鉛電池で使用)
62?70%1.52?1.609.6?11.5チャンバー酸

肥料酸
78?80%1.70?1.7313.5?14.0タワー酸

グラバー酸
93.2%1.8317.466 °Be (ボーメ度66の硫酸)
98.3%1.8418.4濃硫酸

歴史
イスラム錬金術アランビック蒸留器

硫酸を発見した人物として2人の名前が知られている。1人は8世紀のイスラム世界の錬金術師ジャービル・イブン=ハイヤーン(ラテン名ゲベルGeber)であり、ミョウバンもしくは緑礬(りょくばん、硫酸鉄(II) 7水和物を主体とする鉱石)を乾留して硫酸を得たとされている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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