硫酸
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紙を濃硫酸で処理した半透明の薄い紙は硫酸紙と呼ばれ、羊皮紙の代用として用いられる[21]
イオン硫酸イオン(2次元)
硫酸イオン硫酸イオン(3次元)

硫酸イオン(りゅうさんいおん、sulfate, SO2?
4)は主に硫酸およびその化合物の電離、分解などによって生成する2価の陰イオン硫酸塩結晶中にも存在する、硫黄化合物である。

正四面体型構造で、硫酸ヒドラジン(N?H?SO?)結晶中のS-O結合距離は149pmであり、単結合二重結合の中間的な長さに相当する。このS-O間の共有結合に関しては、当初はs、p軌道に加えd軌道も混じった混成であるという意見や(これはd軌道のエネルギーの高さから、SF6の場合と同様早期に否定的な意見が出ている)、酸素原子上の非共有電子対のバックドネーション的な効果が提唱されていたものの、実験と理論の両面からの検討により単結合と捉えるのが妥当であることが判明した[22]。なお単なる単結合より結合距離が短い点に関しては、酸素原子と硫黄原子上にそれぞれ?1.5と+4価程度の電荷が存在すること、共有結合そのものも分極が強く電荷にかなりの偏りがあることにより、S-O間に共有結合に加えクーロン力(イオン結合的な力)が働いているためである。

硫酸は強い酸化剤となるため、イオン化傾向の低い金属などにも作用し、硫酸イオンを含む多くの金属の化合物を作る。硫酸イオンより酸素原子が1つ少ないイオン (SO2?
3) は亜硫酸イオンと呼ばれる。

金属イオンに対する配位結合は弱いほうであるが、コバルト(III)イオンなどに対してはスルファト錯体(sulfato)を形成する。 [ C o ( N H 3 ) 5 ( H 2 O ) ] 3 + + S O 4 2 −   ⇌   [ C o ( S O 4 ) ( N H 3 ) 5 ] + + H 2 O {\displaystyle {\rm {[Co(NH_{3})_{5}(H_{2}O)]^{3+}+SO_{4}^{2-}\ \rightleftharpoons \ [Co(SO_{4})(NH_{3})_{5}]^{+}+H_{2}O}}}

海水中にもかなり多量に溶存し、その濃度は2.8 g dm−3、0.029 mol dm−3と陰イオンとしては塩化物イオンに次いで多量に存在する。
硫酸水素イオン硫酸水素イオン

硫酸水素イオン(りゅうさんすいそいおん、hydrogensulfate, HSO4−)は硫酸の一段階目の電離により生成し、また硫酸水素塩の結晶中に存在する1価の陰イオンであり、やや歪んだ四面体型構造で、水素原子が結合したO-S結合距離がやや長い。

希硫酸中には硫酸イオンは寧ろ低濃度でしか存在せず陰イオンの多くは硫酸水素イオンとして存在し、硫酸濃度を10−2 mol dm−3程度以下に希釈をして初めて硫酸イオンが主な化学種となる。たとえばラマンスペクトルによる結果では3.5 mol kg−1 (3.07 mol dm−3)の希硫酸ではHSO4−が2.06 mol dm−3、SO42−が1.01 mol dm−3である[23]

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硫酸は製造が安価にできる不揮発性の強酸であるために、種々の硫酸塩が工業製品として製造されている。

硫酸塩は硫酸イオンを含むイオン結晶であり、多くのものは水溶性であるが、アルカリ土類金属塩(CaSO4, SrSO4, BaSO4, RaSO4)、塩(PbSO4)および銀塩(Ag2SO4) は難溶性であり、バリウム塩およびラジウム塩は特に水への溶解度が極めて低い。本来硫酸イオンは無色透明であるが遷移金属イオンを含むものは様々な色を呈する。(記事 硫酸塩も参照のこと)

硫酸亜鉛 (ZnSO4) ? 七水和物は皓礬(こうばん)


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