また硫酸の溶解エンタルピー変化は以下の通りである。 H 2 SO 4 ( l ) ↽ − − ⇀ H + ( aq ) + HSO 4 − ( aq ) {\displaystyle {\ce {H2SO4(l) <=> H^+ (aq) + HSO4^- (aq)}}} , Δ H ∘ = − 73.35 k J m o l − 1 {\displaystyle \Delta H^{\circ }=-73.35~\mathrm {kJ~mol} ^{-1}}
このため濃硫酸を希釈する場合は、発熱に注意しながら、撹拌しながら水の側に濃硫酸を少しずつゆっくりと加えていかなければならない(塩酸や硝酸など他の強酸類も同様)。
硫酸を水に溶かすと発熱するが、氷と混ぜると多くの水溶性化合物に見られるように、逆に寒剤ともなり得る。 金属と反応させた場合の挙動は、金属の種類のほか、硫酸の濃度と温度に依存する。例えば濃度と温度がいずれも高い熱濃硫酸では、酸化力が高くなる。 反応生成物も変化に富む。一般には、水素 (H2)、硫化水素 (H2S)、硫黄 (S)、二酸化硫黄 (SO2)、金属の硫化物、硫酸塩が生成される。 希硫酸は水素よりイオン化傾向の大きな金属と反応し水素を発生させる。ただし、鉛は表面に不溶性の硫酸鉛を生じ反応が進行しない。スズ、ニッケルなどとの反応も極めて遅い。亜鉛との反応は実験室で手軽に水素ガスを発生させる方法として用いられる。 H 2 SO 4 + Zn ⟶ ZnSO 4 + H 2 {\displaystyle {\ce {H2SO4 + Zn -> ZnSO4 + H2}}} 濃硫酸を加熱したものを熱濃硫酸(ねつのうりゅうさん)という。290℃以上では濃硫酸は水と三酸化硫黄に分解し、三酸化硫黄は酸化力を持ち、これ以下の温度でも平衡混合物として三酸化硫黄が存在する。そのため熱濃硫酸には強い酸化力があり、酸化剤として用いられる。イオン化傾向の小さい銅や銀などとも反応する。また炭素、硫黄などの非金属とも反応する。例えば熱濃硫酸と銀との化学反応式は以下のようになる。 3 H 2 SO 4 + 2 Ag → Δ 2 AgHSO 4 + SO 2 + 2 H 2 O {\displaystyle {\ce {3H2SO4 + 2Ag ->[\Delta] 2AgHSO4 + SO2 + 2H2O}}}
金属に対する反応