補足1: 三酸化硫黄は水とは発熱を伴って激しく反応し、硫酸を生じる。その化学反応式を以下に示す。 SO 3 + H 2 O ⟶ H 2 SO 4 {\displaystyle {\ce {SO3 + H2O -> H2SO4}}}
補足2: 二酸化硫黄を二酸化窒素により酸化する硝酸法による硫酸製造の反応式。 SO 2 + NO 2 ⟶ SO 3 + NO {\displaystyle {\ce {SO2 + NO2 -> SO3 + NO}}}
補足3: 過酸化水素で酸化することによる方法 SO 2 + H 2 O 2 ⟶ H 2 SO 4 {\displaystyle {\ce {SO2 + H2O2 -> H2SO4}}} 硫酸はさまざまな肥料、繊維、薬品の製造に不可欠である。そのため、硫酸の生産能力は、一国の化学産業の指標となっている。2000年現在の年間生産量では、全世界の9600万トンのうち、中国が2400万トンを占める。次いで、アメリカ合衆国の960万トン、ロシアの830万トン、日本の710万トン、インドの550万トンである。中国とインドは5年間で生産量を約30%伸ばしており、ロシアも成長しているが、日本は微増にとどまり、アメリカ合衆国は減少している。 2016年度日本国内生産量は 6,460,710t、消費量は 762,555t である[20]。 硫酸を原料(実際には発煙硫酸と塩化水素から製造したクロロスルホン酸を反応に用いる)に合成される直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(RC6H4SO3Na)および高級アルコールの硫酸モノエステルのナトリウム塩であるラウリル硫酸ナトリウム(CH3(CH2)11OSO3Na)は合成洗剤、シャンプーおよび歯磨き粉などの界面活性剤として用いられる。多数のスルホ基(-SO3H)を有する高分子は陽イオン交換樹脂として、イオン交換膜および水の精製などに用いられる。酸触媒
生産
用途鉛蓄電池
また安価な強酸であることから希硫酸は、デンプンの糖化による水飴の製造、臭素およびヨウ素の製造、紡績、金属の電解精錬用の電解液としても用いられる。鉛蓄電池の電解液としては濃度約33%(d=1.24 g cm−3)の希硫酸が用いられ、放電に伴い濃度は低下する。
肥料としては硫安、過リン酸石灰の製造原料として大量に消費される。紙を濃硫酸で処理した半透明の薄い紙は硫酸紙と呼ばれ、羊皮紙の代用として用いられる[21]。
イオン硫酸イオン(2次元)
硫酸イオン硫酸イオン(3次元)
硫酸イオン(りゅうさんいおん、sulfate, SO2?
4)は主に硫酸およびその化合物の電離、分解などによって生成する2価の陰イオンで硫酸塩結晶中にも存在する、硫黄化合物である。
正四面体型構造で、硫酸ヒドラジン(N?H?SO?)結晶中のS-O結合距離は149pmであり、単結合と二重結合の中間的な長さに相当する。このS-O間の共有結合に関しては、当初はs、p軌道に加えd軌道も混じった混成であるという意見や(これはd軌道のエネルギーの高さから、SF6の場合と同様早期に否定的な意見が出ている)、酸素原子上の非共有電子対のバックドネーション的な効果が提唱されていたものの、実験と理論の両面からの検討により単結合と捉えるのが妥当であることが判明した[22]。なお単なる単結合より結合距離が短い点に関しては、酸素原子と硫黄原子上にそれぞれ?1.5と+4価程度の電荷が存在すること、共有結合そのものも分極が強く電荷にかなりの偏りがあることにより、S-O間に共有結合に加えクーロン力(イオン結合的な力)が働いているためである。
硫酸は強い酸化剤となるため、イオン化傾向の低い金属などにも作用し、硫酸イオンを含む多くの金属の化合物を作る。硫酸イオンより酸素原子が1つ少ないイオン (SO2?
3) は亜硫酸イオンと呼ばれる。
金属イオンに対する配位結合は弱いほうであるが、コバルト(III)イオンなどに対してはスルファト錯体(sulfato)を形成する。 [ C o ( N H 3 ) 5 ( H 2 O ) ] 3 + + S O 4 2 − ⇌ [ C o ( S O 4 ) ( N H 3 ) 5 ] + + H 2 O {\displaystyle {\rm {[Co(NH_{3})_{5}(H_{2}O)]^{3+}+SO_{4}^{2-}\ \rightleftharpoons \ [Co(SO_{4})(NH_{3})_{5}]^{+}+H_{2}O}}}