硫酸
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接触法では、二酸化硫黄酸化するために五酸化二バナジウムを表面に付着させたペレットやタブレットを用いる(触媒の失活を抑えるための添加物に特色があり、各種触媒が開発された)[18]。固体触媒を使い二酸化硫黄ガスを直接酸化させるため不純物の少ない三酸化硫黄(無水硫酸)が得られる。 2 SO 2 + O 2 ⟶ 2 SO 3 {\displaystyle {\ce {2SO2 + O2 -> 2SO3}}}

三酸化硫黄は水ときわめて激しく反応して、生成物が飛散しやすいため、吸収塔内で反応生成物である三酸化硫黄を濃硫酸に過剰に吸収させて発煙硫酸 (H2SO4・nSO3) とし、純水で希釈して最終製品である濃度が93 %、95 %、98 %の濃硫酸が得られる。得られた濃硫酸はプロセスに戻して三酸化硫黄の溶媒として用いるほかに、原料ガスの脱水にも用いられる[19] H 2 SO 4 ⋅ nSO 3 + nH 2 O ⟶ ( n + 1 ) H 2 SO 4 {\displaystyle {\ce {H2SO4 . nSO3 + nH2O -> (n + 1)H2SO4}}}

補足1: 三酸化硫黄とは発熱を伴って激しく反応し、硫酸を生じる。その化学反応式を以下に示す。 SO 3 + H 2 O ⟶ H 2 SO 4 {\displaystyle {\ce {SO3 + H2O -> H2SO4}}}

補足2: 二酸化硫黄を二酸化窒素により酸化する硝酸法による硫酸製造の反応式。 SO 2 + NO 2 ⟶ SO 3 + NO {\displaystyle {\ce {SO2 + NO2 -> SO3 + NO}}}

補足3: 過酸化水素で酸化することによる方法 SO 2 + H 2 O 2 ⟶ H 2 SO 4 {\displaystyle {\ce {SO2 + H2O2 -> H2SO4}}}
生産

硫酸はさまざまな肥料繊維薬品の製造に不可欠である。そのため、硫酸の生産能力は、一国の化学産業の指標となっている。2000年現在の年間生産量では、全世界の9600万トンのうち、中国が2400万トンを占める。次いで、アメリカ合衆国の960万トン、ロシアの830万トン、日本の710万トン、インドの550万トンである。中国とインドは5年間で生産量を約30%伸ばしており、ロシアも成長しているが、日本は微増にとどまり、アメリカ合衆国は減少している。

2016年度日本国内生産量は 6,460,710t、消費量は 762,555t である[20]
用途鉛蓄電池

硫酸を原料(実際には発煙硫酸と塩化水素から製造したクロロスルホン酸を反応に用いる)に合成される直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(RC6H4SO3Na)および高級アルコールの硫酸モノエステルのナトリウム塩であるラウリル硫酸ナトリウム(CH3(CH2)11OSO3Na)は合成洗剤シャンプーおよび歯磨き粉などの界面活性剤として用いられる。多数のスルホ基(-SO3H)を有する高分子は陽イオン交換樹脂として、イオン交換膜および水の精製などに用いられる。酸触媒としてはニトロ化合物製造の反応助剤として重要な役割を持つ。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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