硫酸
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当時の製造設備は硝酸法の一種である鉛室式であり、製造能力は1日当たり、180キログラムであった[17]

硝酸法のもう一つの製造方法である接触法の製造設備は日露戦争中である1905年に登場した。設置場所は、神奈川県平塚市にあった平塚海軍火薬廠である。製造能力は1日当たり、3,000キログラムであった。
工業的製法

硫酸の原料は亜硫酸ガスすなわち二酸化硫黄 (SO2) である。現在日本国内では銅などの非鉄金属製錬副産物を二酸化硫黄の原料としている。現在は日本国内では行われてはいないが黄鉄鉱などの焙焼でも得られ、石油脱硫による回収硫黄も原料となり得る。 2 FeCuS 2 + SiO 2 + 5 O 2 ⟶ Δ 2 Cu + Fe 2 SiO 4 + 4 SO 2 {\displaystyle {\ce {2FeCuS2 + SiO2 + 5O2 {\overset {\Delta}{->}}2Cu + Fe2SiO4 + 4SO2}}} 4 FeS 2 + 11 O 2 ⟶ Δ 2 Fe 2 O 3 + 8 SO 2 {\displaystyle {\ce {4FeS2 + 11O2 {\overset {\Delta}{->}}2Fe2O3 + 8SO2}}} S + O 2 → Δ SO 2 {\displaystyle {\ce {S + O2 ->[{Δ}] SO2}}}

硫酸は二酸化硫黄を酸化し水と反応させることで製造されている。

酸化の方法は大きく接触法と硝酸法に分かれる。歴史的には窒素酸化物触媒とする硝酸式(代表的なものは鉛室法)で製造されてきたが、製造できる硫酸の濃度が低く、装置とくに鉛室の鉛に起因する不純物も多くなってしまう。2004年現在、日本国内ではすべて接触法で硫酸を製造している。

接触法では、二酸化硫黄酸化するために五酸化二バナジウムを表面に付着させたペレットやタブレットを用いる(触媒の失活を抑えるための添加物に特色があり、各種触媒が開発された)[18]。固体触媒を使い二酸化硫黄ガスを直接酸化させるため不純物の少ない三酸化硫黄(無水硫酸)が得られる。 2 SO 2 + O 2 ⟶ 2 SO 3 {\displaystyle {\ce {2SO2 + O2 -> 2SO3}}}

三酸化硫黄は水ときわめて激しく反応して、生成物が飛散しやすいため、吸収塔内で反応生成物である三酸化硫黄を濃硫酸に過剰に吸収させて発煙硫酸 (H2SO4・nSO3) とし、純水で希釈して最終製品である濃度が93 %、95 %、98 %の濃硫酸が得られる。得られた濃硫酸はプロセスに戻して三酸化硫黄の溶媒として用いるほかに、原料ガスの脱水にも用いられる[19] H 2 SO 4 ⋅ nSO 3 + nH 2 O ⟶ ( n + 1 ) H 2 SO 4 {\displaystyle {\ce {H2SO4 . nSO3 + nH2O -> (n + 1)H2SO4}}}

補足1: 三酸化硫黄とは発熱を伴って激しく反応し、硫酸を生じる。その化学反応式を以下に示す。 SO 3 + H 2 O ⟶ H 2 SO 4 {\displaystyle {\ce {SO3 + H2O -> H2SO4}}}

補足2: 二酸化硫黄を二酸化窒素により酸化する硝酸法による硫酸製造の反応式。


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