硫酸
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7(4.4×10-3 mol kg−1), H2S2O7(3.6×10-3 mol kg-1), H2O(1×10-4 mol kg-1)であり[14]、分子性の液体としてはかなり高い電気伝導度を示し、25℃における比電気伝導度は1.044×10-2 Ω-1 cm-1である。

この電気伝導度の値は純硝酸の3.72×10-2 Ω-1 cm-1(25℃)よりは低いものの、フルオロ硫酸の1.085×10-4 Ω-1 cm-1(25℃)、純フッ化水素の1.6×10-6 Ω-1 cm-1(0℃)、および純水の6.40×10-8 Ω-1 cm-1(25℃)よりもはるかに高い[13]
水溶液中の電離平衡

硫酸は水溶液中では強い二塩基酸として働き、一段目はほぼ完全解離、二段目はやや不完全となる。2価の酸であっても塩基水溶液による水溶液中の中和滴定曲線は1価の強酸と類似の形状を示し第一当量点は現れない。

その酸解離定数熱力学的定数)は25 ℃において以下の通りである[12][15]。ここで [ X ] {\displaystyle {[\mathrm {X} ]}\,} は X {\displaystyle {\mathrm {X} }\,} の活量を表すが、希薄水溶液では質量モル濃度(モル濃度にもほぼ漸近する)に近い。水酸化ナトリウム水溶液による中和滴定曲線
第一解離定数 H 2 S O 4 ( a q )   ⇌   H + ( a q ) + H S O 4 − ( a q ) {\displaystyle {\rm {H_{2}SO_{4}(aq)\ \rightleftharpoons \ H^{+}(aq)+HSO_{4}^{-}(aq)}}} K a 1 = [ H + ] [ HSO 4 − ] [ H 2 SO 4 ] = 10 5 {\displaystyle K_{a1}={\frac {[{\mbox{H}}^{+}][{\mbox{HSO}}_{4}^{-}]}{[{\mbox{H}}_{2}{\mbox{SO}}_{4}]}}=10^{5}} p K a 1 = − 5 {\displaystyle \mathrm {p} K_{a1}=-5\,}
第二解離定数 H S O 4 − ( a q )   ⇌   H + ( a q ) + S O 4 2 − ( a q ) {\displaystyle {\rm {HSO_{4}^{-}(aq)\ \rightleftharpoons \ H^{+}(aq)+SO_{4}^{2-}(aq)}}} K a 2 = [ H + ] [ SO 4 2 − ] [ HSO 4 − ] = 1.02 × 10 − 2 {\displaystyle K_{a2}={\frac {[{\mbox{H}}^{+}][{\mbox{SO}}_{4}^{2-}]}{[{\mbox{HSO}}_{4}^{-}]}}=1.02\times 10^{-2}} p K a 2 = 1.99 {\displaystyle \mathrm {p} K_{a2}=1.99\,}

二段階目の解離に関するエンタルピー変化、ギブスの自由エネルギー変化、エントロピー変化および定圧モル比熱変化は以下の通りである[9]。解離に伴うエントロピーの減少は、イオンの電荷の増加に伴う水和の程度の増加に起因する。

Δ H ∘ {\displaystyle \Delta H^{\circ }} Δ G ∘ {\displaystyle \Delta G^{\circ }} Δ S ∘ {\displaystyle \Delta S^{\circ }} Δ C p ∘ {\displaystyle \Delta C_{p}^{\circ }}
第二解離?21.93 kJ mol−111.38 kJ mol−1?111.7 J mol−1 K−1?209 J mol−1 K−1

物理的性質

濃度98%の硫酸の融点は3 ℃、比重は1.84 (15 ℃) である。204 ℃、98.33%の濃度で水と三酸化硫黄の分圧が等しくなるため、不揮発性ではあるが、温度を上げるだけではこれ以上濃度を高めることはできない。

濃度が薄いほど密度が水に近くなり、濃度が高くなるにつれて密度と粘稠性(粘り気)が増す。硫酸の粘度 (Pa s) は多くの液体で見られるように温度の上昇とともに低下し、常温25 ℃、1気圧では、23.8×10-3であるが、50 ℃で11.7×10-3、100 ℃では4.1×10-3となる。しかし、ヒドロキシ基により強い水素結合が生成されるため[12]、粘度は水の数十倍にもなる[16]

硫酸溶液の濃度と密度の性質を利用して鉛バッテリー液などでは、液比重計を使用して硫酸溶液の濃度を測定している。

純硫酸の25 ℃における比誘電率は101であり、イオン解離に有利な溶媒であるといえる[11]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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