研磨剤
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酸化クロムなどを加え、ピンクないしルビー色を付けたのもある。
褐色電融アルミナ
ボーキサイトをアーク炉で融解し、還元してアルミナ分を高めたのち、冷却し凝固させ、その塊を粉砕整粒する。Tiイオン、Mgイオンほかの固溶により、いくぶん強靱になる。
アルミナ-ジルコニア
Al2O3- ZrO2二元系は、たがいに若干の固溶限を持つ共晶系で、共晶点に近いジルコニア約40重量%と、ジルコニア約25%との、2種類の電融研磨材がある。共晶の微細組織を持つため、強靱である。
解砕型アルミナ
アルミナ質原料をアーク炉で融解し冷却凝固させるが、その際、粉砕機にかけずに、結晶粒ごとに解砕できるよう、工夫する。粒の破壊の起点になる傷を持たないため、減耗しにくく、精密仕上げ用砥石の原料に使われる。
焼結アルミナ
アーク炉で融解せず、粉末のアルミナあるいはボーキサイトを粒状に焼結させる。硬度は低いが、微晶の粒なので、減耗しにくい。樹脂結合の砥石にして、圧延前のステンレス鋼の傷とりに、もっぱら使われる。必要な粒度ばかりを製造できる利点がある。
製造法

研磨材用のダイヤモンド立方晶窒化ホウ素とは、主に 静的高温高圧法で、炭化ケイ素は抵抗型の電気炉で製造する。電融コランダム塊はアーク炉で製造する。研磨材は、数mmから数μmの範囲で数十種類の粒度に分けられた粒体ないし粉体であるから、大きい素材は、そのサイズに応じて階梯的に、各種の粉砕機で細かくしてゆく。そうして作った素材には、未反応原料、副産物、装置材料などの不純物が混ざるので、相応する選別・精製処理を行う。細かい粒度の粉砕では、たとえば、コランダム質の粉をつぶすのにコランダム質のライニングとアルミナ質ボールとのボールミルを使う、というような汚染防止もできるが、それに先立つ粗い粒はほとんど鉄鋼の刃板の粉砕機で粉砕するので、混入する鉄分を除去する工程として磁力選別、酸洗などが付帯的に必要となる。

研磨材の重要な性状のひとつは、粒度の正しさである。粒度がずれていると削る作業の勝手が狂ってしまう。また粗い粒が混入していると、磨く表面に致命的な傷をつけてしまう。そのため、JISでは粒度を規定している。

JISでは、炭化ケイ素およびコランダム質研磨材につき、[JIS R6001:1998 研磨材の粒度]は、径約4mm強から径約50μmまでの「粗粒」の範囲で26段階、径約50μm強から径約3μmまでの「一般研磨材用微粉」の範囲で11段階、径約60μmから径約1μm強までの「精密研磨用微粉」の範囲で18段階、の粒度を定め、それと別に、「JIS R6010:2000 研磨布紙用研磨材の粒度]は、径約2mmから径約60 μm強までの研磨布紙用研磨材「粗粒」の範囲で15段階の、粒度を定めている。径約と苦しくいうのは、研磨材の径は決してパチンコのタマのように一様でなく、正規分布的な幅をもつからである。

JISのいう「粗粒」の範囲の粒度分け(分級という)は、ふるい(篩)を用いる。

JISのいう「微粉」の範囲の粒度分けは、一個の球形固体粒子が無限に広い流体中を沈降する場合、その沈降速度は粒子径の2乗に比例するというストークスの式を利用した、水中の沈降速度の差を用いる。
いくつかの仕上げ処理
粒形処理
@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}力ずくで相手を削る砥石用の研磨材は、密に詰る形の、すなわち、球に近い形が望ましい。そのために、研磨材をボールミルなどで共摺りしたりする[
要出典]。逆に、サラサラと軽く仕上げる砥石用の研磨材は、尖った形が望ましい。また、研磨布紙に研磨材を埋めこむには、あらかじめ接着剤を塗った布紙を下向きにし、下に敷いた研磨材との間に静電圧をかけて研磨材を跳び上がらせるので、この場合も尖った形が望ましい。更に、跳び上がった際に長径が垂直の向きに貼りつくので、尖った形にすることで製品の切れ味が良くなる。粉砕機の機種によっては、粉砕した粒の形を変えることができる。また、横向きの気流の中に研磨材を注ぐと粒の形が細長いほど遠くへ飛ぶことを利用して選別できる。
表面処理
研磨布紙に研磨材を埋めこむ際には静電界で研磨材を跳び上がらせるが、粒の電気伝導度の高い方が静電界で跳び上がりやすい。炭化ケイ素は粒の電気伝導度に問題ないが、コランダム質研磨材は薬品を散布することで表面処理し跳び上がりやすくすることもある。また、砥石作成時における研磨材と結合剤とのなじみをよくするため、研磨材に表面被膜を付けることも広く行われる。
熱処理
褐色電融アルミナの研磨材では、加熱することで粒内の非晶質を表面に滲み出させ、破壊の起点となる傷を埋めて壊れにくくさせることがある。
用途

サンドブラスト、バレル研磨、バフ仕上げ、ラッピングなどの加工作業には、そのままの姿で使われる。

ゴムシートを任意形状に切り抜いて石材に貼り、研磨材をサンドブラストすれば、その形の窪みが彫れる。


研削砥石の原料に使われる。

研磨布紙の原料に使われる。

炊事用のスポンジタワシの裏側に、不織布による研磨布紙として研磨材が入っている。


研磨テープの原料に使われる。

脚注^ 吉田、みがき加工、19頁・54頁
^ 吉田、みがき加工、19-20頁・57-72頁

参考図書

吉田弘美著、『みがき加工 基礎のきそ』、日刊工業新聞社、2012年12月4日初版1刷発行、
ISBN 9784526068157

関連項目

研磨

トクサ

グラインダー

油脂研摩材

やすり


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