砂の器
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1974年製作[19]松竹株式会社・橋本プロダクション第1回提携作品。松本清張原作の映画の中でも、特に傑作として高く評価されてきた作品[注 4]。英語題名『Castle of Sand』。平成元年(1989年)「大アンケートによる日本映画ベスト150」(文藝春秋発表)第13位。現在ではDVD化・Blu-ray化されている。
受賞

第29回
毎日映画コンクール大賞(日本映画)・脚本賞(橋本忍・山田洋次)・監督賞(野村芳太郎)および音楽賞(芥川也寸志・菅野光亮)

キネマ旬報賞脚本賞(橋本忍・山田洋次)

第12回ゴールデンアロー賞映画賞(スタッフ)

ゴールデングロス賞特別賞、

モスクワ国際映画祭審査員特別賞および作曲家同盟賞

スタッフ(映画)

製作橋本忍佐藤正之、三島与四治

製作協力:シナノ企画俳優座映画放送

製作補:杉崎重美

企画:川鍋兼男

原作:松本清張

脚本:橋本忍、山田洋次

監督野村芳太郎

音楽監督芥川也寸志

作曲・ピアノ演奏:菅野光亮

演奏・特別出演:東京交響楽団

指揮:熊谷弘


撮影川又ミ

美術:森田郷平

録音:山本忠彦

調音松本隆司

効果福島幸雄

照明:小林松太郎

編集太田和夫

助監督:熊谷勲

進行:長島勇治

製作主任:吉岡博史

スチル:金田正

製作宣伝:船橋悟

キャスト(映画)

今西 栄太郎:
丹波哲郎警視庁捜査一課警部補[20]

吉村 弘:森田健作西蒲田警察署刑事課巡査[21]

和賀 英良/本浦 秀夫:加藤剛天才ピアニスト兼作曲家 

高木 理恵子:島田陽子高級クラブ「ボヌール」のホステス(和賀の愛人)

田所 佐知子:山口果林前大蔵大臣・田所重喜の令嬢。和賀と婚約予定

田所 重喜:佐分利信(特別出演)*クレジット上では特別出演記載なし前大蔵大臣。和賀の後援者

三木 謙一:緒形拳元亀嵩駐在所巡査

三木 彰吉:松山省二謙一の養子

三木 謙一の妻:今井和子

三木の元同僚・安本:花沢徳衛

本浦 千代吉:加藤嘉秀夫の父。ハンセン病に侵されている

本浦 秀夫(少年期):春田和秀

警視庁捜査一課長:内藤武敏

警視庁捜査一課捜査三係長・黒崎警部:稲葉義男今西刑事の上司

捜査本部刑事:丹古母鬼馬二山崎満、松波喬介、渡辺紀行、山本幸栄、田畑孝、高橋寛、北山信、千賀拓夫、浦信太郎、中川秀人、沖秀一、三島新太郎

三森署署長:松本克平

三森署の若い巡査(ジープ運転):加藤健一

岩城(亀田)署長:山谷初男

岩城(亀田)署の刑事:森三平太

亀田の旅館「朝日屋」主人:今橋恒

村の巡査:浜村純本浦親子を村から追い出す巡査

毎朝新聞記者・松崎:穂積隆信

国立国語研究所地方方言研究室・桑原技官:信欣三

理恵子の勤めるクラブ「ボヌール」のホステス・明子:夏純子

理恵子の勤めるクラブ「ボヌール」のママ:村松英子(クレジット上では記載なし)

理恵子の住むアパート「若葉荘」住人:野村昭子

伊勢の旅館「扇屋」主人:瀬良明

伊勢の旅館「扇屋」女中:春川ますみ

伊勢の映画館「ひかり座」事務員:田辺和佳子(クレジット上では記載なし)

バァー「ろん」[22]のホステス・大塚きみ子:猪俣光世

バァー「ろん」のホステス:高瀬ゆり

バァー「ろん」のバーテン:別所立木

西蒲田署刑事・筒井:後藤陽吉

西蒲田署署長:西島悌四郎

西蒲田刑事課長:土田桂司

世田谷の安原外科病院の院長:櫻片達雄

世田谷の安原外科病院の院長の妻:村上記代

世田谷署の巡査:久保晶

警視庁刑事:今井健太郎、山本幸栄、小森英明、原田君事

警視庁科学検査所技師:藤田朝也(クレジット上ではひらがな名義)

浪速区役所係員:松田明

浪速区役所女係員:吉田純子

恵比須町の巡査:中本維年

和賀の友人:菊池勇一、大杉雄二伊東辰夫

亀嵩の農家の主婦:水木涼子

三木の元同僚:高木信夫

慈光園の係員:戸川美子

田所の秘書:加島潤

料亭の女中:坂田多恵子

列車のウエイトレス:東風弓子

山下 妙:菅井きん千代吉を知る縁者(義理の姉)

桐原 小十郎:笠智衆

通天閣前の商店街の飲食店組合長:殿山泰司

伊勢の映画館「ひかり座」支配人:渥美清(友情出演)*クレジット上では友情出演記載なし

映画版の特徴

『砂の器』のテーマ曲である、ピアノと管弦楽のための組曲「宿命」を劇的に使っていることが最大の特徴といえる。テーマ曲のみならず、邦画の音楽費が相場100万円の時代に、本作は300万円がかけられ、映画『犬神家の一族』が公開されるまでは、邦画で最も音楽にお金をかけた作品であった[23]
クライマックス

劇中での和賀は、過去に背負った暗くあまりに悲しい運命を音楽で乗り越えるべく、ピアノ協奏曲「宿命」を作曲・初演する。

物語のクライマックスとなる、捜査会議(事件の犯人を和賀と断定し、逮捕状を請求する)のシーン、和賀の指揮によるコンサート会場(撮影は埼玉会館が使用されている)での演奏シーン、和賀の脳裏をよぎる過去の回想シーンにほぼ全曲が使われ、劇的高揚とカタルシスをもたらしている。回想シーンでは、和賀英良が父と長距離を放浪していた際、施しを受けられず自炊しながら生活する様子、子供のいじめにあい小学校を恨めしそうに見下ろす様子、命がけで父を助け和賀少年がケガを負う様子などが描写されている。原作者の松本清張も「小説では絶対に表現できない」とこの構成を高く評価した[24]
原作と異なる点

今西・吉村が利用した列車が時代にあわせて変化しているほか(亀嵩へ向かう際、原作では東京発の夜行列車で1日かけてもたどり着かなかったが、映画版では当時の主流であった新幹線と特急を乗り継いで向かっている)、和賀英良の戸籍偽造までの経緯も異なっている[注 5]。また、中央線の車窓からばら撒かれた白い物(犯行時に血痕が着いたシャツの切れ端)は原作では今西が拾い集めたことになっているが、映画版では今西が被害者の生前の経歴を調べるために出張している間に吉村が1人で発見し、独断で鑑識課へ持って行ったという流れになっている。その他にも、原作ではハンセン(氏)病への言及は簡潔な説明に止められているが(言及箇所は第六章・第十七章中の2箇所)、映画版では主に橋本忍のアイデアにより、相当の時間が同病の父子の姿の描写にあてられている。なお、今西刑事がハンセン(氏)病の療養所を訪問するシーンは原作にはなく、映画版で加えられた場面である[25]。映画版では、和賀英良は原作どおりの前衛作曲家兼電子音響楽器(現在でいうシンセサイザー)研究家ではなく、天才ピアニスト兼、ロマン派の作風を持つ作曲家に設定変更された。また、前述の通り、超音波発生装置による殺人トリックは、この映画化以降、一度も映像化されたことがない。
「宿命」

「宿命」は音楽監督の芥川也寸志の協力を得ながら、菅野光亮によって作曲された。なお、サウンドトラックとは別に、クライマックスの部分を中心に二部構成の曲となるように再構成したものが、『ピアノと管弦楽のための組曲「宿命」』としてリリースされた。

2014年には『砂の器』公開40周年として、ビルボードジャパンにて西本智実指揮による組曲「宿命」が演奏された[26]


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