本作では島根県奥出雲町(発表当時は仁多町)にある、亀嵩の地名とズーズー弁が鍵を握る設定であり、この地方が広く知られるきっかけとなったことから、亀嵩駅の東約3キロ、湯野神社大鳥居横に砂の器記念碑が建立され、1983年10月23日に除幕式が行われた。建立については亀嵩観光文化協会、記念碑建設実行委員会が中心となり、経費は地域住民からの寄付と地域外からの募金で賄われた[16]。
記念碑正面には「小説 砂の器 舞台の地」と刻まれ、記念碑裏側には、小説の一節(第六章4節からの引用)が刻まれている。また記念碑脇の叙事碑の末尾には「早春に東北訛の奥出雲」と刻まれている。 出雲三成の駅から四キロも行くと、亀嵩の駅になる。道はここで二又になり、線路沿いについている道は横田という所に出るのだと、運転の署員は話した。
ジープは川に沿って山峡にはいっていく。この川は途中で二つに分かれて、今度は亀嵩川という名になるのだった。亀嵩の駅から亀嵩の集落はまだ四キロぐらいはあった。途中には、ほとんど家らしいものはない。亀嵩の集落にはいると、思ったより大きな、古い町並みになっていた。
ここは算盤の名産地だと署長が説明したが、事実、町を通っていると、その算盤の部分品を家内工業で造っている家が多かった。
? 小説「砂の器」より
関連項目
岩城町(現・由利本荘市)…第二章に登場。小説内では、羽後亀田駅に加え、衣川など、周辺一帯が描写されている。
秋田ロケット実験場…第二章で言及される「T大のロケット研究所」のモデル。
国立国語研究所…第六章に登場。本作連載当時は東京・千代田区に所在した[注 2]。
雲伯方言、日本語の方言
山中町(現・加賀市)…小説内において、犯人の出身地とされている[注 3]。
大阪大空襲…3月14日の空襲が小説内の設定として言及されている。
パラボラアンテナ、ツイーター、電波法…小説内の鍵となる設定であるが、いずれも映画版以降の映像化作品では省略されている。
音響兵器
翻訳
『Inspector Imanishi Investigates』(英語: Soho Crime)
『Le vase de sable』(フランス語: Philippe Picquier)
『Come sabbia tra le dita』(イタリア語: Il Giallo Mondadori)
『砂器』(中国語: 南海出版公司など)