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今から3300?2400年ほど前の石器の矢じり(フランス、トゥールーズ)

古代エジプトの石の道具(紀元前1900年-紀元前1640年ころ、中王国時代



インドネシアの家庭で使われている食材をつぶすための石の道具

タイの一般家庭ならたいてい使っている、きわめてありふれた、石の調理道具

現代の道具屋で普通に実用的な道具として販売されている石臼


建材「建築材料」および「石材」も参照



古代ローマ帝国は、石材とモルタルを使い巨大な建造物を多数作った。(ポン・デュ・ガール、西暦50年建造)

ヨーロッパの建物は、中世のものも、現代のものも、多くが石を主要な建築材料として用いている。この写真は中世に建造されたフランス、パリのノートルダム大聖堂

石を積んだものを「石積み」と言い、特に「壁」状にしたもの「垣」にしたものを「石垣」と言う。この写真はチェコ共和国の伝統的な農家の石垣。

日本の庭園の石組に使われた石(安養院庭園


時計の軸受け腕時計の中の石(ルビー)

機械式時計の歯車の軸受けに、摩耗に強い石(宝石)が使われる。耐摩耗性に優れ硬度が高い結晶から削り出した軸受けを使う。より具体的にはルビーサファイアなどから削り出す。軸受けに宝石を使っている数が多いほど、概して耐久性と長期的な精度が良くなるので、機械式時計の性能を表すのに「n 石」と表現する場合がある(nは自然数)。たとえば「17石時計」や「21石時計」などと呼んでおり、時計の盤面に「17 jewels」などと表記されている。この数が、長期間の使用でも精度が変化しにくいことを表す目安となっている。手巻き腕時計では17石、自動巻腕時計では21石を使っていれば十分な性能を発揮する[6]。なおアナログ式クオーツ時計においては可動部が少ないため、石の数は機械式時計に比べて少ない (安価なものに関してはないものも多い)。
武器・兵器としての石

石は投げつけることで相手を殺傷することができる。古代から狩猟に使われたり、戦闘武器兵器として使われた。

石はありふれていたので、人は戦う時、とりあえず手近にある石を手にとる、ということをしてきた歴史がある。日本では手で投石する戦闘行為を「印地」(いんじ)といい、熟練者を「印地打ち」と称した。戦国時代には石合戦などの行事が行われていた、石つぶて隊とも。

やがて何らかの機構を使って手で投げるよりも遠くへ飛ばそうとするようになり、多くの国で投石器カタパルトバリスタ石弓(石も跳ばせる様にした物)などが開発され、投石専門の投石兵が組織された。ダビデ像。(ミケランジェロ作。16世紀。フィレンツェ、アカデミア美術館。)左肩に投石帯をのせている。

古代イスラエルのダビデは、石でゴリアテを倒したとされる。そのダビデの姿を描いたミケランジェロの有名なダビデ像は左肩に帯状のものをのせているが、これは投石のための道具である。

なお、闘いで石を手にとる、という行為は古代や中世で終わったわけではない。現代でも例えばパレスチナの人々は、彼らを迫害するイスラエル人と闘おうとする場合、銃などを手に入れられない代わりに、地面に落ちている石を拾い投げつけて抗議行動を行った(第一次インティファーダ)。
スポーツ

カーリングには花崗岩で作られた「ストーン」が用いられる。
碁石

囲碁オセロなどの一部のボードゲームでは駒のことを「石」と呼ぶ[7][8]

囲碁や連珠で使われる石は碁石と呼ばれ、黒いものと白いものがある。高価なものになると、黒石は那智黒石という石から作られている。白石のほうは、ハマグリの貝殻から作られているものが多い。安価なものでは黒・白ともにプラスチックや硬質ガラスなど、石以外の素材で作られるが、すべて石と呼ばれる。

布石」「定石」「捨て石」といった語は、石を使う囲碁の用語として生まれ、のちに転用されたものである。

オセロでは一般に樹脂製のものが使われるが囲碁に倣って石と呼ばれる。

石焼として鉄板のように使用することがある。また、アフリカのケニアでは、odowa と呼ばれる石を食用とする。この石は歯よりも柔らかく、歯を磨く効果もあるという。味は塩みも甘みもなく、食感が楽しめる。鉄分が含まれるため、鉄分が不足しやすい妊婦などが好む[9]

石を食べない動物(犬や豚など)が、石を口に含んだり飲み込んだりする行動をStone chewingと呼ぶ[10]
収集・鑑賞木内石亭『雲根志』1801年

珍しい石・奇石・怪石を収集鑑賞・愛玩する営みは、東アジアでは文人好古家の趣味として古くからある。ときには山水画の画題や陶磁器文様になったり[11]水石盆石として体系化されたりもした。

石の収集は、中国では特に宋代に盛んになった。宋代の主な収集家として、石への愛にまつわる逸話が伝わる米?や、太湖石を愛した宋の徽宗、『洞天清録』怪石辨を著した趙希鵠らがいる。

日本では特に江戸時代に盛んになり、木内石亭佐藤中陵ら「弄石家」(ろうせきか)が活動した。石亭らは、石の分類体系を構築したり、化石石器も収集対象としたことから、近代的な博物学考古学古生物学地球科学などの先駆者に位置づけられることもある[12][13]
半導体や集積回路

半導体を使う製品では、古くよりラジオなどの性能を表すのに真空管の本数を示して「5球ラジオ」のように呼んでいたことに倣い、トランジスタラジオなどの性能を示すのにトランジスタの個数を示して「5石ラジオ」のように呼んだ。これにはトランジスタの原料であるシリコン石英長石と同じ珪素化合物であることも関連している。 鉱石ラジオでは検波のために鉱石をひとつ使うが、これは様々な代用品が使われることもあった。

なお現在でも古くからパーソナルコンピュータ(PC/AT互換機)などを扱っていた人の間で、ジャーゴンとしてCPUGPUなどを「石」と称する場合がある。
脚注[脚注の使い方]^ a b c d e f g h i 広辞苑第六版【いし 石】
^ a b c d 山口裕之『ヒトは生命をどのように理解してきたか』講談社、2011年


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