石油
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」と有限性を強調している[7]

また、2021年に石油と同等の炭化水素を合成する植物プランクトンのDicrateria rotunda (D. rotunda)が発見された。このプランクトンの合成する一連の飽和炭化水素の炭素数は10から38までであり、これはガソリン(炭素数10-15)、ディーゼル油(炭素数16-20)、燃料油(炭素数21以上)に相当する[8][9]
非生物由来説(無機成因論)

石油「無機」由来説は、1940年代にBP(ブリティッシュペトロリアム)の研究所内では、無機生成物であることが主要理論であったが、市場戦略的な理由で機密扱いにしていた[要出典]。1850年代以降ロシア帝国の化学者メンデレーエフなどが提唱して、旧東側諸国では従来から定説とされていた学説である[要出典]。旧西側諸国でも、天文物理学者であるトーマス・ゴールドなどが無機由来説を唱えた[10]

無機成因論の根拠としては「石油の分布が生物の分布と明らかに異なる」「化石燃料では考えられないほどの超深度から原油がみつかる」「石油の組成が多くの地域でおおむね同一である」「ヘリウムウラン水銀ガリウムゲルマニウムなど、生物起源では説明できない成分が含まれている」などが挙げられる[要出典]。また、生物起源論が根拠としている、炭素数の少ない炭化水素ほど質量の軽い炭素同位体を含む割合が多くなるという傾向は、地下から炭化水素が上昇する過程で、分子の熱運動により重い同位体が分離されたと解釈する[要出典]。この無機由来説に基づけば、一度涸れた油井もしばらく放置すると、再び原油産出が可能となる現象を説明することができる[要出典]。また超深度さえ掘削できれば、日本はもちろん世界中どこでも石油を採掘できる可能性があることになる。

石油の大部分が非生物由来であるとする仮説は、多くの地質学的および地球化学的証拠と矛盾しており、今日では認められていない[11]。非生物起源の炭化水素自体は存在するが、その量については商業的に有益な量ではまったくない[4]。米国石油地質学者協会のラリー・ネイションは「論争は、非生物起源の石油埋蔵量が存在するかどうかについてではありません」「論争は、それらが地球の全体的な埋蔵量にどれだけ貢献するか、そして地質学者がそれらを探すためにどれだけの時間と労力を費やすべきかについてです。」と述べている[12]
石油分解菌説

無精製でも内燃機関を動かす事が出来る程、世界的にも稀な軽質油を産出する[要出典]、静岡県相良油田では、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}有機成因論とも無機成因論とも異なる、第三の仮説が唱えられている[要検証ノート]。1993年、当時京都大学大学院の今中忠行により相良油田から採取した石油分解菌「Oleomonas sagaranensis HD-1株」が嫌気性条件下で炭化水素を作り出すことを報告した[13]。この際生成された石油は、相良油田産の軽質油と性質が酷似しており、相良油田が形成された一因として唱えられている[要出典]ほか、今中忠行らはこの石油分解菌が、メタンハイドレートに関係していると指摘した[要出典]。

しかし2002年の論文では、この菌株の嫌気性条件での生育はむしろ否定されている[14]。また、相良油田の起源については有機物の熱分解とする結論が2006年に出されている[15]。ちなみに、微生物による炭化水素の合成自体は珍しいことではなく、広く知られている[16][17]
成分

石油の成分のほとんどは炭化水素であり、色々な炭化水素の混合物から構成されている。その他、硫黄化合物、窒素化合物、金属類も含まれている。工業的に有用な石油製品を作るためには、分留によって成分を分ける。精製することにより、天然ガスナフサガソリン)、灯油軽油重油潤滑油アスファルトなどが製品として得られる。
天然ガス

天然ガスは、沸点が30℃位までであり、常温よりも沸点が低いため、ガスとして分離する。主な構成成分は、メタン・エタン・プロパン・ブタン・ペンタンなど。但しプロパン及びブタンは、液化石油ガス(LPG)として販売される。

CH4 (メタン、 methane) ? 沸点 -108℃

C2H6 (エタン、 ethane) ? 沸点 -67℃

C3H8 (プロパン、 propane) ? 沸点 -43℃

C4H10 (ブタン、 butane) ? 沸点 -18℃

ナフサ

ナフサは沸点が30 - 200℃程度の炭化水素であり、粗製ガソリンとも呼ばれる。主成分は炭素数5 - 12のアルカンである。炭素数5 - 7のナフサは、軽質ナフサと呼ばれ、透明で蒸発しやすく、溶媒やドライクリーニングの溶剤、あるいはその他の速乾性の製品に用いられる。炭素数が6 - 12のナフサは、重質ナフサと呼ばれ、水素化精製、接触改質などを経てから配合調整されガソリンとして精製される。ベンジンホワイトガソリンはナフサから作られる石油製品である。
灯油・軽油

炭素数10 - 15の範囲の炭化水素からケロシンが作られジェット燃料に用いられる。炭素数10 - 20の範囲からディーゼル燃料(軽油)と灯油が精製される。
重油

沸点320℃以上の蒸留で、船舶のエンジンやボイラーに用いられる重油が精製される。これらの石油製品は、常温で液体である。
残油

常圧蒸留で蒸留できない残油は、減圧蒸留(真空蒸留)する。潤滑油と半固体の油脂(ワセリンを含む)は、炭素数16から炭素数20の範囲である。

炭素数20以上の鎖状炭化水素は固体であり、パラフィンワックスを皮切りに、タールアスファルトの順である。


常圧蒸留留分の名称と沸点(℃)を示す:石油エーテル (petrol ether) :40 - 70℃ (溶媒用)軽ガソリン (light petrol) :60 - 100℃ (自動車燃料)重ガソリン (heavy petrol) :100 - 150℃ (自動車燃料)軽ケロシン (light kerosene) :120 - 150℃ (家庭用溶媒・燃料)ケロシン (kerosene):150 - 300℃ (ジェット燃料)ガス油 (gas oil):250 - 350℃ (ディーゼル燃料/軽油/灯油)潤滑油:> 300℃ (エンジン・オイル)残留分:タールアスファルト、残余燃料
公害・環境問題「化石燃料#化石燃料の使用が引き起こす公害・環境問題」を参照
歴史
前近代

地下から湧く燃える水の存在は、古代から各地で知られていた。産地で燃料や照明に用いた例も多い。たとえば4世紀には中国大陸で石油の採掘が行われたという記録がある。ビザンティン帝国にはギリシャ火薬と呼ばれる火炎放射器、あるいは焼夷弾に似た兵器があった。ギリシャ火薬の製法は現在では失われているが、原料のひとつとして石油が使用されていたと考えられる。また1691年には現在も石油の生産が行われているルーマニアモレニ油田から石油が採掘され、産出された石油は品質の点で他の油より良いとされていた。しかし、大量生産はずっと後のことであった。

なお、世界最古の石油製品は石器時代には既に接着剤として利用されていた天然アスファルトとされている[18]。紀元前3000年のころ、メソポタミアでは、地面の割れ目からしみ出していた天然アスファルトが、建造物の接着やミイラの防腐、水路の防水などに使われていた。


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