石油
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2020年4月1日、大手シェールオイル開発会社の「ホワイティング・ペトロリアム」が破綻し、2020年3月9日の原油価格暴落以来、ニューヨーク証券取引所上場する石油会社としては初の連邦倒産法第11章適用となった[23][24]。6月28日にはアメリカの石油生産1 %、天然ガス生産2 %を担っていた「チェサピーク・エナジー」が資金繰りの悪化から破綻した[25]。シェールオイル関連企業は社債の一種である「ハイイールド債」と呼ばれる信用力は低いが利回りの高い債券(ハイリスク・ハイリターン商品)を発行して、資金を調達しているが、新型コロナウイルスの感染拡大による金融市場の混乱に伴い金利が急上昇し、資金繰りが苦しくなっている。

石油の代替品として、アンモニア水素から直接作りだす合成燃料の研究も行われている[26]
日本の石油事情「日本の石油・天然ガス資源」および「石油元売」も参照

日米貿易は1853年の日米和親条約に始まったが、石油については、1879年にアメリカ人で商船J. A.トムソンの船長チャールズ・ロジャースが知人に頼まれ日本の物産を購入する際、新たな市場としての日本へ貨物として原油を精製した石油を届けている[27]

現在では、新潟県・秋田県の日本海沿岸、および北海道勇払平野)でごくわずかではあるが原油が採掘されている。生産量は年間で63万キロリットル(2014年度)で、国内消費量全体に占める比率は0.3%に過ぎない[28]。新たに釧路平野に原油の存在が予測されており、経済産業省は新たに鉱区を設定した。

一方で原油の輸入量は国内消費量全体の99.7%、1億9,104万キロリットル(2016年度)[29]である。輸入相手国は上位よりサウジアラビアアラブ首長国連邦カタールイランクウェートと、中東地域からが全体の87%を占めている(2016年度)[29]
日本の石油会社

国際石油資本(メジャー)のような海外大手石油会社は、石油の探鉱、生産、輸送、精製、元売りまでを一貫して手がける垂直統合を行っているため、日本の石油会社も精製、元売り(これを下流事業という)のみから、上流事業(探鉱、開発、生産)を手がけるようになってきた。上流事業を専業とする日本の有力石油会社には国際石油開発帝石石油資源開発三井石油開発があり、下流事業の有力会社としては以下のグループがある。
国内石油会社

ENEOSホールディングス

ENEOS・国内最大手。2017年4月、JXエネルギーと米エクソンモービル系の東燃ゼネラル石油が合併して発足。


出光興産(IDEMITSU)国内2番手。戦後、創業者の出光佐三により発展。長期間未上場だったが、2006年10月に東証一部に上場する。2019年4月に昭和シェル石油と経営統合し、同社を完全子会社とする。

コスモエネルギーホールディングス

コスモ石油[注釈 1](COSMO)国内3番手。1986年4月に大協石油・丸善石油・旧・コスモ石油が合併して発足。


キグナス石油(KYGNUS)

太陽石油(SOLATO)

日本の石油諸税

日本で消費される石油には多段階にわたってさまざまな税金がかかっている。これを石油諸税と言う。

輸入段階(次の2税目が加算されて課税される)

原油関税(1リットルあたり 0.17円)

石油石炭税(1リットルあたり 2.04円)。


製品段階(次の5種類の個別間接税がそれぞれかかる)

ガソリンガソリン税(1リットルあたり 53.8円) = 揮発油税(48.6円)+ 地方揮発油税(5.2円)

軽油軽油引取税(1リットルあたり 32.1円)

ジェット燃料航空機燃料税(1リットルあたり 26.0円)

LPガス石油ガス税(自動車用1リットルあたり 9.8円)

この結果、たとえばガソリン1リットルには、消費税を除いて約56円の税金がかかっている計算になる。

前記の各税金のうち軽油引取税だけが地方税で、それ以外の税金は国税である。石油諸税の年間税収額は、2004年(平成16年)度予算で約4兆8,641億円となっている。地方税である軽油引取税を除いた税収合計は、国税収入の約12%を占め、所得税、法人税、消費税に次ぐ第4位の税収規模になっている。また、消費税以外の石油諸税は目的税となっており、その84%が道路整備財源として使われている。そのほか石油対策、空港整備などに使用されている。
日本の石油輸入先

2019年度 17,304万kl

1位 サウジアラビア 34.1%

2位 アラブ首長国連邦 32.7%

3位 カタール 9.3%

4位 クウェート 8.9%

5位 ロシア 4.8%

6位 オマーン 1.7%

7位 アメリカ合衆国 1.6%

8位 バーレーン 1.4%

9位 エクアドル 1.3%

10位 イラク 1.1%

日本の石油備蓄

(2016年3月末現在)207日分(原油5.5億バレル相当)[30]

国家備蓄 4,734万kl(製品換算)122日分

民間備蓄 3,130万kl(製品換算)81日分

産油国共同備蓄 134万kl(製品換算)4日分

アメリカの石油戦略備蓄

米国には2011年2月現在17.27億バレルの石油備蓄を持つ。この中には米国内油田で産出せずに備蓄指定しているものを含む。(日本5.5、ドイツ2.8、フランス1.8、オランダ1.4等だが、ロシア、中国などの備蓄量は不明)
可採量詳細は「可採埋蔵量」を参照

石油の埋蔵量に関する将来予測は、その時の経済活動・技術動向の状況に左右されており単純な自然科学的根拠に基づいているわけではない。20世紀末からの可採量増大の背景には、原油価格の上昇と技術の向上がある。1973年の第一次石油危機の際には多くの石油専門家がマスコミに登場して「あと30年で石油は枯渇する」と主張していたが、2005年の段階でも「現在発見されている油田可採埋蔵量だけでも現在の消費量で割ればあと40年は供給できる」とされているように、可採量は毎年増大し続けた[31]
可採年数詳細は「可採年数」を参照

可採年数(R/P)とは、ある年度において埋蔵が確認されている石油のうち、その時点での技術で採算の合うコストで採掘可能な埋蔵量(R)を、その年度の実際の生産量(P)で割った値である。この値の意味を誤って解釈し、「石油は後何年でなくなる」などと吹聴するものもいるが明確な誤りである。例えばBP統計によれば、1970年の可採年数は約35年であったが、2005年に石油が枯渇したという事実が存在しないことは明らかである。ちなみに2007年度末の価格での可採年数は41.6年であった。

また安価な代替品が存在する場合、地中に多くの石油が残存していても相対的に採掘コストが高く生産が成り立たなくなり、可採埋蔵量なし、可採年数0、つまり、「枯渇」ということになる。
価格上昇

可採年数は、原油価格が上がると伸びるという特性がある。それは、原油価格が変化すると『採掘可能な埋蔵量』が変化するためである。以下に例を示す。ある油田は1バレルあたり採掘コストが30ドルかかるとする。このとき、もし原油価格が1バレルあたり10ドルならば、この油田は採算に合わないため『採掘可能な埋蔵量』には含まれない。しかし、もし原油価格が1バレル50ドルに上昇すれば、この油田は充分採算に合うため『採掘可能な埋蔵量』に含まれることになる。

現在の採掘技術でコストを考えずに採掘を行えば、あと数百年分は埋蔵されているとも言われるが、石油を取り巻く事情は常に変化し続ける。また、埋蔵量は各国の自己申告であり、政治的な理由のかさ上げが何度も判明してきた。

人類が採掘可能な石油埋蔵量を究極可採埋蔵量という。1970年代にはこれは2兆バレルと考えられており、また、その時点での既発見の埋蔵量は1兆バレルと考えられていた。しかし、2005年には3兆バレルまで増大していた[32]。需要は今後も拡大すると思われる石油だが、わざと供給をなるべく小さくして原油価格を上げようとしているのでは無いかという意見も聞かれる。
消費量の増大

R/Pは「その時点での消費量が、増えずに永遠に続く」と言う前提の計算であることに留意しなければならない。つまり今世紀初頭、自動車人口は先進国と一部共産圏で10億人ほどであったが、中国13億人、インド12億人、東南アジア5億人という人口規模の地域で自動車が普及した場合、今世紀中盤には自動車人口が35億人に増える。つまり掘り取られる速度が3.5倍にまで早くなるため、永遠にこれらの人々が自動車に乗らない前提で計算しているR/Pでは、予想より早く枯渇することとなってしまう。

このようなR/Pの指標としての欠陥から、最近はR/Pよりピーク理論で事実上の資源持続期間を表示することが多い。


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