打製石器は人が石に打撃または圧力を加えて石を割ってできあがった石器である[3]。
このうちオルドワン型石器群
は、ヒト科人類による最古の石器群と言われている[注釈 8][10]。礫の一部を打撃して造るチョッパー・チョッピングツールを主体とする。この石器群は、ケニアのトゥルカナ湖東海岸の諸遺跡やタンザニアのオルドヴァイ峡谷の遺跡などで出土している。因みに、この石器の担い手はホモ・ハビリスもしくは頑丈型猿人と推測されている。磨製石器は人が石を磨いてできあがった石器である[3]。
J.ラボックによって新石器時代の指標とされたが、実際には中石器時代に当たる紀元前9000年に北西ヨーロッパや西アジアで局部磨製石器が出現している。
日本列島では後期旧石器時代である3万?4万年前のものと推定される局部磨製石斧が、群馬県岩宿遺跡、栃木県磯山遺跡、長野県野尻湖遺跡群(杉久保遺跡・日向林B遺跡など)、東京武蔵野台地の栗原遺跡、千葉県三里塚55地点遺跡などから出土し、旧石器時代に磨製石器が存在したことが明らかになった[11]。小田静夫によれば、日本列島の旧石器時代の磨製石斧は、3-4万年前に集中し、一旦消滅してその後は縄文時代草創期にならないと出現しないが、現在、世界最古の磨製石器とされる[12][13]。「局部磨製石斧」および「石斧」も参照 礫塊石器は打製石器や磨製石器のように製作する過程の痕跡をとどめず使用の痕跡だけが残されている石器をいう[3]。打製石器を作るための敲石(たたきいし)、磨製石器を作るための砥石、穀物や堅果類を調理するための石皿などである[3]。
礫塊石器
主な石器
石刃、ブレード (blade)
後期旧石器時代に特徴的な石器の素材。石核から大量の石刃を創り出し、これを加工して石器にする。日本では後期旧石器時代の最終末期に沖縄を除き日本列島全域に広がった細石刃がある。
石核石器 (core tool)
素材となる石(母岩)を打ち割り、形を整え、刃をつけた石器
剥片石器 (flake tool)
母岩から破片(剥片)を割り取り(?離)、剥片の形を整え、割れ目を刃に利用した石器
礫器 (pebble tool)
最も原始的な石器の一つである。
チョッパー (chopper)
礫の一部に片面から数回の打撃によって打ち欠いて刃をつけた石器。片刃の礫器とも呼ばれる。刃の断面の角度は20° - 30°くらいが多い。
チョッピング・トゥール (chopping tool)
礫の一部に両面から交互に打撃を加えて、表面を剥離させジグザグ状の刃をつけた石器。
握斧、握槌
礫の全体を両面から打ち欠いて刃をつけた石器。上端が尖る形状が多く、舌状、フィクロン形、槍先形あるいはミコク形、卵形、心臓形、アーモンド形などと呼称される場合がある。
尖頭器 (point)
先端を鋭く尖らせた石器。槍先に付けたと考えられる。細長く鋭く尖る形のものが典型的だが、それ以外にも多くの種類の尖頭器がある。石槍とも言う。斜軸尖頭器という種類は、狩猟用の槍先とされ、中期旧石器時代(約12万、13万年前 - 約3万年前、旧人の時代)の指標である。岩手県宮守村(現在の遠野市)の金取遺跡から出土している。