平成に入って、正岡子規以来の写生を受け継ぐ『アララギ』の終刊(平成9年(1997年)12月)とアララギ派が分裂した。時を同じくして加藤治郎・荻原裕幸・穂村弘らニューウェーブと呼ばれるサブカルチャー要素を取り入れた歌人が登場した。『サラダ記念日』(俵万智)で決定的に大衆化した短歌の状況に困惑する旧来の歌人をよそに、イメージと感性で歌い上げる彼らの表現は斬新だった。それまでの短歌は個人的内容であっても、普遍性や生への問いかけがあった。しかし、バブル経済の表層的文化で育った口語性と都会性、脱私性により、前衛短歌以来の近代短歌からの脱出が図られたのである。
また、インターネットの普及も影響して、枡野浩一といった歌会や歌壇には属さず、小説やエッセイを執筆しながら独自の活動を行う歌人も登場している。
昭和末期から東洋大学現代学生百人一首という短歌を使用したコンテストが開催されている。現在では全国各地の学校がこのイベントへ参加しており、短歌を通じた教育ならびに現代の学生が短歌を詠むことで現代人の感性を知ろうというひとつの試みとなっている。
また、フィクションをテーマにした短歌も若者に流行し、BL短歌[6]などがある。男性同士の恋愛関係を詠むBL短歌の作中主体は「作者本人」ではないため、実践者には「憑依短歌」と呼ぶ人もいる[7]。Twitterではハッシュタグを利用した短歌の発表も行われている。2012年には、『短歌de胸キュン』という、NHK短歌番組の月に1回の放送が、お笑い芸人と歌人による評価という、短歌の大衆化を狙った企画が始まった。2012年-2013年,2015年が佐伯裕子、2014年が梅内美華子、2016年が栗木京子という女性の抜擢で人気を博している。2015年には、超能力を持つ家族の日常を詠んだ笹公人『念力家族』(2003年)がNHK Eテレで天てれドラマ枠でテレビドラマ化された[8]。2016年には、スマートフォン向けソーシャルゲーム「グランブルーファンタジー」で、同作を題材にTwitterで短歌(グラブル短歌)を募集するキャンペーンが行われた[9]。また2017年には舞城王太郎の短編小説を挟み高校生を題材とした岡野大嗣と木下龍也共著『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』が一般層へ売り上げを伸ばした。
2010年代後半からは社会問題や社会的マイノリティなどの背景を持ち、それをテーマとした歌人が出現し始める。2016年に養護施設での虐待やホームレス生活を詠った鳥居の『キリンの子』が話題を呼んだ。2018年に非正規雇用や社会へのエールをテーマとした萩原慎一郎の『歌集 滑走路』が、歌集としては『サラダ記念日』以来となる異例のベストセラーとなり、日本国内の主要メディアや海外メディアなどでも取り上げられ[10]、2019年には歌集としては初の紀伊國屋書店員が選ぶキノベス!に選ばれた。 萩原慎一郎による『歌集 滑走路』は、2020年にKADOKAWA配給による映画化や小説化もされ[11]、中学や高校の国語の教材となるなど一般層や文学界全体への短歌の浸透を大きく広げ、それに追随する形で若手歌人達の歌集が初刷で1万部以上出版されるようになるなど、同人規模であった短歌が空前のブームとなっている[12]。2022年には『歌集 滑走路』や映画『滑走路』の表現や映像手法から影響を受けたNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』が放送され[13][14]、短歌が作中の題材として扱われた。 短歌の定形は、31文字(みそひともじ)、5句であるが、それを守る方法と変化を付けることによって表現の幅を広げようとする方法とがある。歌のどの部分を強調するかに対して各種の慣用的呼び方がある。 文語による短歌は歴史的仮名遣(旧仮名遣)によって書かれることが原則であるが、日常生活で口語が用いられている現在は各種の表記法が混在している。 近代以降の短歌においては、韻文全般に用いられる技法の中から効果があるとされるものが選択的に用いられている。
令和
短歌の技法
定形の文字数、句数による制約
句切れ
初句切れ
二句切れ
三句切れ
四句切れ
無句切れ(句切れなしとも言う)
句割れ
句跨り
破調
字余り
字足らず
使用する表記
文語と歴史的仮名遣
文語と現代仮名遣
口語と歴史的仮名遣
口語と現代仮名遣
漢語、外来語・カタカナ語・話し言葉
句読点
字空き
分かち書き
散らし書き
修辞技法
反復法
対句法
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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