睡眠薬
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イギリスでは、1993年には約1,000万あったベンゾジアゼピン系睡眠薬の処方数は、2003年には約6万に減少し、非ベンゾジアゼピン系が400万以上へと増加した[33]

安全性のガイドラインに従わなかったために依存症になり、急速に解毒した場合、重篤になれば発作や死の危険性があることを知らされずにいたという過失の報告が増加している[34]

2010年前後では、睡眠のために抗精神病薬の使用を促進する目的での違法なマーケティングが、高齢者の死亡リスクを高めるとの記載があるのにかかわらず行われたため、アメリカで数億ドル以上の罰金が各製薬会社に課されている[35]

日本では1960年代初頭に、若者を中心に乱用がブームとなった[36]。この経緯で、規制が強化された。しかしながら1980年代からは、ハルシオンを中心とする睡眠薬の乱用がみられ、社会問題化している[37]

睡眠薬に分類される薬の多くは、麻薬及び向精神薬取締法にて向精神薬に定められており、譲渡および転売することは違法となる。
種類
ベンゾジアゼピン系詳細は「ベンゾジアゼピン系」を参照ベンゾジアゼピン系薬は、睡眠の構造におけるレム睡眠および深い睡眠段階を妨げる[38]

1960年代にバルビツール酸系の危険性から、よく用いられるようになった。GABA受容体に作用する。近年は、新しい非ベンゾジアゼピン系睡眠薬に置き換えられた。ベンゾジアゼピンは、短期的には有効であるが、1 - 2週間後には耐性が形成され、そのため長期間の使用には無効となる。

中止時にはベンゾジアゼピン離脱症状が生じる可能性がある。これは反跳性不眠、不安、混乱、見当識障害、不眠、知覚障害の特徴を持つ。したがって、耐性、薬物依存、長期使用の副作用を避けるために処方は短期に限られる[39][40]

同じくGABA受容体に作用するアルコールとの併用は相加作用を強める危険性が高く、特に力価の強い薬剤では呼吸中枢を抑制し死に至る危険性がある。同じくGABA受容体に作用する気分安定薬として販売される抗てんかん薬とも相加作用がある。常用により効果が弱くなる耐性が生じ数週間でほとんど効果がなくなるが、そのために多剤大量処方となりやすく、とりわけ長期間、高用量の服用で離脱症状が激しく生じるため、急な断薬は推奨されない[8]。離脱に入院を要するような致命的な発作を引き起こす可能性がある薬物というのは、ベンゾジアゼピン系やバルビツール酸系の鎮静催眠薬およびアルコールのみである[41]。また離脱症状の特徴として遷延性離脱症候群が生じる。

現在、日本国内の睡眠薬のうち、ベンゾジアゼピン系睡眠薬が占める割合は処方箋発行ベースで約65%である[42]
非ベンゾジアゼピン系詳細は「非ベンゾジアゼピン系」を参照

1980年代に登場し、ベンゾジアゼピン系にかわりよく用いられるようになった。GABA受容体に作用する。非ベンゾジアゼピン系は、Zから始まる物質名が多くZ薬とも呼ばれる。

現在、日本国内の睡眠薬のうち、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬が占める割合は処方箋発行ベースで約30%である[42]
バルビツール酸系詳細は「バルビツール酸系」を参照

1900年ごろに登場したが、1960年代以降有名人が睡眠薬を服用し死亡した例が報道された原因の薬剤で、危険視されベンゾジアゼピン系に置き換えられていった。GABA受容体に作用する。
メラトニン「メラトニン」も参照

メラトニンは、ほぼすべての生物の体内に自然に存在し、動物では概日リズムを調節しているホルモンである[43]。アメリカやイギリスでは処方箋が不要で、単にサプリメントとして販売されている。日本においては個人輸入が必要になる。メラトニンは、忍容性が高く依存性がない[44]。ベンゾジアゼピン系の使用に抵抗のある小児科でも用いられてきた[45]。高齢者でもベンゾジアゼピン系のような日中の認知機能の低下はなく、記憶や気分の改善もみられている[46]。催眠作用はジアゼパム(ベンゾジアゼピン系)やゾルピデム(非ベンゾジアゼピン系)よりも弱い[47]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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