眼鏡
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古い書籍にも、縁のある眼鏡の金属部分をフレーム、縁無し眼鏡の金属部分をマウンティング mounting[42] またはクラスプ clasp[47]と呼び分けているものがある。レンズに直接ねじ止めを施し、強度のあるフレームを持たないことから、破損したりレンズのガタつきを生じたりしやすく、実用上の利点はない。フレームがないため眼鏡の存在が目立たず、顔に明るい雰囲気を与え、聡明そうに見える装飾上の利点がある[48]。一見すると縁が無く視界の邪魔にならないように思われるが、実際にはレンズを固定するネジが縁よりよほど視界の中心に近いところに入る上にレンズの端がフレームで覆われていないためそこに光が反射して視界の邪魔になる。明治期より2000年代初期に至るまで何度か流行しており、眼鏡を強調させたくない人が好んで使用する。昭和3年の書籍にも、社交界の婦人の間にひどく流行して、中には度のない素通しの縁無し眼鏡をかける者もいたとの記述が見える[48]。現存する世界最古のふちなしメガネは、1825年にオーストリア帝国ウイーンのフォークレンダー・アンド・サン社で作られた製品で、左右のレンズがつながった一枚のガラスで出来ており、つるだけが金属で出来ている。
サーモント(sirmon glasses、別称ブロー・グラス、コンビネーションフレームB)
リムの上部はナイロン、下部は金属のフレームで構成されている。1940年代以降普及。著名な装着者は、カーネル・サンダースマルコムX。日本では俗に「眉毛めがね」等の通称がある。
ナイロール(Nyroll)
ハーフリム、セミ・リムレスとも。レンズの上半分のみを金属やアセテート製などの縁で覆い、下半分はナイロン糸で固定したものである。ナイロン糸の調整が必要で、ナイロン糸が経年劣化で緩んだり切れたりするとレンズが抜け落ちてしまう欠点がある。眼鏡店では半年ごとの確認・張り直しを勧めている。1990年代後半より流行し、現在でもかなりの需要がある。
逆ナイロール
アンダーリムとも。ナイロールとは逆に、レンズの下半分のみを金属やアセテート製などの枠で覆ったもの。眉毛周りやまつげ周りが強調される。2000年代にやや流行し、現在でも若干需要はある。
横ナイロール(サイドナイロール)[要出典]
センターリムとも[要出典]。レンズに対して、フレームの中央側を金属やアセテート製などの枠で覆い、フレームの両端側をナイロン糸などで固定したもの。フレーム両端側の固定に余裕が生まれているため、曲面的なデザインなど、フレームデザインの自由度が高い。最近[いつ?]出回ったばかりの新しいカテゴリー。
フルナイロール
レンズの大部分を糸(ナイロール)で固定する。従来のナイロールはレンズの半周近くにフレームが必要だが、「フレーム」に3点で接する以外は、全てテグスでレンズを囲ったものを、考案者がフルナイロールと名づけた。
試験枠
検査のときに仮の眼鏡を組み立てるのに使うフレーム。仮枠とも。定形のレンズを簡単に抜き差しできるようになっている。オートレフトラクトメーターおよびフォロプターによって導いた度数を試験枠によって実際の使用に近い状態で体験し、最終的な度数を決定する。眼鏡レンズには近視・遠視度数、乱視度数、乱視軸などによって非常に多くの種類があり、全てについて試験用のレンズを用意するのは不可能に近い。そこで仮枠では近視・遠視用レンズ、乱視用レンズ、さらに必要ならば遠近両用レンズを重ね合わせて装着し、乱視用レンズを乱視軸に合わせて回転させることで体験すべき矯正状態を再現する。レンズの形は真円かつ小径である。真円でないと乱視用レンズを回転させることができないし、小径でないと厚みが増し複数枚重ねることが困難になるためである。
レンズの形状による分類一般的な丸眼鏡の例ティアドロップの例(人物はダグラス・マッカーサー
ラウンド
円形を模したもの。いわゆる「丸眼鏡」。ただし真円では眼の錯覚により、縦長の楕円に見えるため、若干横長になっているものが多い。
オーバル
楕円。
ボストン
三角形
ウェリントン
台形
フォックス
つり目。「教育ママ」のカリカチュアに描かれるような型。1950年代のアメリカ合衆国で女性用として流行。日本では、1950年代に一世を風靡した男性コメディアントニー谷がステージや映画で着用していたことで知られる。トニー谷がフォックス眼鏡を使ったのも「アメリカかぶれの毒舌芸人」というカリカチュア的イメージの強調が目的であった。
スクエア
長方形正方形
カニ目
天地(上下の高さ)の極端に浅いもの。
オクタゴン
八角形。
ティアドロップ
茄子型とも。tear drop は和製英語であり、英語圏ではアビエイター(: aviator sunglasses)といい、1930年代に開発されたレイバンのアビエイター型がその由来。ダグラス・マッカーサーが使っていたサングラスとして有名である。
著名人にちなむ分類ロイド眼鏡の例(ハロルド・ロイド
ロイド眼鏡
セルフレーム、フルリムで、ラウンドタイプのもの[49][50][51]。黒縁のものが多い。
テンプルの形状による分類縄手の眼鏡
半掛け
一般的な形状。平仮名のへの字状になっている。
縄手
巻きつる、ケーブルテンプル、スポーツフレーム[注 2]とも。別名のとおり、テンプルが耳たぶのまわりをぐるりと巻きつくように作られたもの。元々は眼鏡の必要な人が乗馬中に眼鏡を落とすことがないよう開発されたものだが、最近は眼鏡の常用が必要な子どもが激しい遊戯の最中に落とすことがないよう使用される場合が多い。中度以下の近視は見えれば掛けなくてもいいが、遠視の子どもは正常な視力の発育のために眼鏡を常用することが多く、縄手フレームが使用されるのが普通である。眼鏡は衝撃が加わったとき外れることによりショックを吸収できるとする考えから、遊戯中の事故などの際に外れないと衝撃が耳や鼻に直接加わり怪我を負いやすくなるとして縄手フレームの使用に否定的な見解もある。ボールなどが当たった場合広い面積に圧力が加わることになるが、逆に繩手の蔓のメガネを掛けていた場合、狭い面積に力が集中し、特に蝶形骨を傷めた場合これが視神経にまで及び、最悪の場合は失明に到る恐れがあると報告されている。落下防止のために一山に多く用いられた。半掛けと比べると細身に作られている。
長手(ストレートテンプル)
落下防止のために一山に多く用いられた。.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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フィッティング

眼鏡フレームを使用者に合わせて調整することを、日本では「フィッティング」という。英語圏で眼鏡の「フィッティング(fitting)」といえばフレーム調整よりも顔に合った眼鏡フレームを選択することに主眼があり、日本語でいうフィッティングはむしろ「アジャストメント(adjustment)」というが、ここでは日本語でいうフィッティング、つまり英語の「アジャストメント」について述べる。

フィッティングは、次の三つの要素を満たすべく行われる。
光学的要素

光学的要素とは、レンズを正しい位置に、適切な頂間距離、前傾角で固定することである。これを満たしていないと、検査結果のとおりの見え方にならなかったり、不要なプリズムにより頭痛や眼精疲労を生じたりする。


力学的要素

力学的要素とは、眼鏡がずり落ちたり側頭部が痛くなったりせず、快適にかけ続けられることである。


美的要素

美的要素とは、見た目に美しく、顔に調和していることである。

フィッティングは、三要素をバランスよく満たすことを念頭に置いて行うべきである。いずれかの要素ばかり気にして、他の要素を無視するようでは良くない。

眼鏡店にあるどのフレームを選んでもフィッティングさえすれば三要素を満たすことができるわけではない。使用者の顔に合わないフレームを選んでは、どうフィッティングをしても三要素を満たすことができない。フレーム選択の段階からフィッティングが始まっているとも言われ、先にも述べたが、英語で眼鏡のフィッティングといえばむしろフレーム選択のことである。前述の鼻眼鏡は、少なくとも流行していた当時には美的に優れたものと見なされていた[52]が、光学的にはレンズが斜めになりやすい問題点があり、力学的にも顔つきによっては掛けることが不可能で、光学的・力学的には必ずしも好ましくないことが当時から知られていた[52][53]。弾力ある素材で作られたフレームは、なるほど力学的要素を満たしやすいが、光学的要素には疑問が残る。弾力があり曲げても元に戻るとは、逆にいえば意図的に曲げようとしても曲げられないことでもあるので、レンズが正しい位置に来ていなくてもフレームを曲げて修正することができないからである。

フレームの種類によっては、フィッティングに制限のあるものや、ほとんどフィッティングのできないものもある。そのようなフレームでは、眼鏡デザインではなくフレーム選択が特に重要であり、フィッティングするまでもなく、初めから三要素を満たすものを選ばなくてはならない。


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