眼鏡
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片方の眼の周囲の肉に[40]はめ込んで使う。過去に何度か流行したが、現代では一般的でない。モノクルとも。落下に対する備えとして紐や鎖が付けられることがあった。
鼻眼鏡
鼻をばねで挟むような形で装用する。耳かけ、いわゆるテンプルが発明される以前からある形式である。テンプルが発明された後も使用され続け、19世紀末から20世紀初頭にかけて流行したが、現代では一般的でない。目立たず、審美上の利点があるが、顔の形によっては掛けるのがほとんど不可能である[41]。フィンチ、パンスネ、鼻掛眼鏡とも。英語の eyeglasses はかつて、少なくとも眼鏡商の間ではこの形式のものをのみ指した[42]。落下に対する備えとして紐や鎖が付けられることがあった。詳細は別項を参照。
一山(いちやま)
テンプルはあるが鼻当てがなくブリッジが直接鼻に当たって眼鏡を支えるもの。現代では少数派である。今日では両者は眼鏡を指す同義語となっているが、英語の spectacles はかつて、少なくとも眼鏡商の間ではこの形式のものをのみ指し、鼻眼鏡を指す eyeglasses と区別された[42]。鼻当てつきのものと違って鼻の高さに合わせて調整することができないので、同一デザインでブリッジ高さを変えたフレームが多数用意された中から、鼻の高さだけでなく出目奥目の具合をも考慮して適切なブリッジ高さのものを選ばなければ正しくかけられない。鼻が高さが同じでも、出目であれば張り出したブリッジを選択すべきではないし、奥目であれば張り出したブリッジが必要になる。一山フレームが一般的だった時代の眼鏡処方箋には、ブリッジの高さ、幅、深さの記入欄があった[43]。落下防止のため、縄手や長手が持ちられることが多い。1912年のアメリカン・オプティカル・カンパニーの一山フレームには、瞳孔間距離、ブリッジの鼻に接する部分の幅、同じく高さ、そしてレンズに対してブリッジが張り出しているか同一平面上か引っ込んでいるかの順列組み合わせで180種のブリッジが用意されていた[44]。店頭に一山フレームが一つあるいは数個しか在庫されていないようでは、そのフレームがたまたま自分の顔に合っているのは幸運な場合のみである。
つる付き眼鏡
鼻当てとテンプルによって支える形式。英語では当初、eyeglasses に spectacles のテンプルを取り付けたものであることから spectaclettes スペクタクレッツと呼ばれた[45]。1913年の書籍では鼻の斜面が垂直に近かったり肌が敏感だったりで一山をかけられない人に勧められるフレームとして位置づけられていた[45]が、現代では最も一般的な形式である。鼻眼鏡と対比しては耳掛眼鏡とも。
素材による分類
メタルフレーム
金属製のフレーム。古くから存在し、
真鍮が用いられてきた。近代ではステンレスの導入例が見られるが、強度が高い一方で可塑性に難がある。また材質の性質から重量がかさむため、レンズ周囲は細いワイヤー状、テンプルもワイヤー状かテーパー状の薄板で極力軽量に形成することが一般的である。金属アレルギーの者には不適な場合がある。
金無垢
メタルフレームのうち、材質にを使ったものをいう。実際には純金(24金)は軟らかすぎるので適さず、実用的な硬度が得られる合金の18金や14金の合金が使われる。表記は18K、14K。柔軟性がある、腐食しにくい、金属アレルギーを起こしにくい、などの長所がある一方、貴金属だけあって高価である。
チタンフレーム
チタンで作られたフレーム。加工が難しいため、鉄やステンレスよりも高価であるが、腐食が起こりにくく丈夫で軽いことから、シニア向けフレームに用いられることが多くなった。表記はTi-PまたはTi-C。なお、-Pは純チタン、-Cはクラットチタン。後者はチタンを芯材(ベースメタル)とし、その周囲をニッケル合金等で覆ったもので、ニッケルめっきの表面処理を、通常合金と同様に行うことができる。フレームカラーの種類を限定されないことから、多様なニーズに合わせることができる。また、パッド足等のパーツがろう離れした際にも、店頭で修理を行えるので、βチタンはチタン合金の中でも通常合金に近い扱いが可能である。チタンフレームは「タイタニウムフレーム」「チタニウムフレーム」とも称される。チタンは、素材の軽さや丈夫さにより数多くのスポーツブランドも製造している。
銀縁
メタルフレームのうち、で作られたもの。銀は眼鏡フレームには適さないので、商品としてはあまり流通していない。銀色をした、銀でないめっき加工されたフレームをいうこともあるが、眼鏡店の店頭では誤解を避けるため、この意味では使われず、俗称である。
形状記憶合金製フレーム
メタルフレームのうち、現代におけるスポーツフレームに多く用いられるもので、激しい運動でずれにくく、運動での衝撃で曲がったり折れたりする事が殆ど無い合金素材を用いた物。反面、衝撃で曲がらないとは裏を返せばフィッティングのために意図的に曲げようとしても曲げられないことでもあるので、レンズの位置角度が正しく合っておらず頭痛や眼精疲労を起こしかねない状態でも、フレームをフッティングで修正することができない。この種のフレームを選ぶ際は、鏡の前で色々掛け比べて、フッティングするまでもなく初めからレンズが瞳に対して正しい位置角度に来ているものを選ぶ必要がある。
軽量チタン合金製フレーム
チタンフレームを極限まで軽量化した物。フレームの重さでずり落ちにくいと宣伝されているが、その一方でフレームが軽すぎるとレンズの重さにより眼鏡全体の重心が前に偏りかえって重さが気になるとする主張もある。変わり種としてリムからブリッジ部分を軽量樹脂製にした物もある。但し、フレームを極限まで細くした為に、金属疲労を起こしやすく、通常のフレームに比べて耐久性や寿命は劣る。
セルフレーム
ある程度の厚みないし太さを持った、合成樹脂で成形されたフレーム。20世紀に入って出現した。かつて初期の合成樹脂であるセルロイドで作られたことからこのように呼ばれるが、実際の材質は素材の進化によりアセテートが殆どである。安価な眼鏡量販店で売られるフレームはプラスチック製である。プラスチックは金型を用いた射出製造が可能で生産性が良く、着用者のニーズにおいても軽量性を保ちつつ多様なデザイン・色彩に対応できる特長がある。一方、少量多品種生産の高価格品は、射出成形では高価な金型のコストが回収できずかえって高く付くので、アセテートの厚板からの削り出しで作られる。顔の印象を大きく変えるファッション性が魅力だが、掛け心地の調整に余地が少ないのが欠点である。テンプルの先は、熱で柔らかくして調整できる。しかし、鼻当て部分をこの方法で調整しようとすればリムまで変形してしまう。メタルフレームには智の部分を曲げることでレンズをやや下向きの光学的に望ましい向きに調整できるものが少なからずあるのに対して、セルフレームは通常そのような調整ができない。ただし、メタルフレームでも智に装飾のあるものはレンズの向きが調整できないし、セルフレームでも鼻当てをメタルフレーム同様としたり合い口に初めから大きな隙間のあるデザインとしたりしてそれぞれの部分を調整可能としたものもあるので、あくまでも典型的なセルフレームと典型的なメタルフレームとを比べた場合の話である。
鼈甲縁
鼈甲で作られたフレーム。英語圏ではホーンリム(: horn-rimmed glasses)と呼称される。現在ではワシントン条約により輸出入が禁止されているため、非常に高価である(象牙印章同様、規制施行前に輸入された材料で作った製品しかない)。化学合成で作られた鼈甲風のセルフレームをいうこともあるが、眼鏡店の店頭でこの意味で使われないのは「銀縁」と同じである。
黒縁・赤縁など
メタルフレームやセルフレームにおいて黒や赤などに着色されたもの。主にセルフレームで用いられる。メタルフレームの黒縁では、特に丸眼鏡ではハリー・ポッターのような印象になり若干の人気がある。メタルフレームではフレーム素材に焼き付け塗装、セルフレームでは型入れ・型抜き段階でアセテート原料に着色を行われる。
特殊樹脂製フレーム
弾力性があり軽量な特殊樹脂が使われ、スポーツフレームに多用されている。弾力性があり、しなるのでフィット感が高い。また、スポーツや遊戯中の事故でボールなどが当たった場合に、衝撃吸収もしくはフレームが一定の衝撃強度で割れるようになっており、衝撃が集中しない構造になっている。反面、弾力があるとは裏を返せば調整が効かないことでもあるので、レンズの位置角度が正しく合っておらず、頭痛や眼精疲労を起こしかねない状態でも、フレームをフッティングで修正することができない。この種のフレームを選ぶ際は、鏡の前で色々掛け比べて、フッティングするまでもなく初めからレンズが瞳に対して正しい位置角度に来ているものを選ぶ必要がある。
リムの有無による分類縁無しメガネの例(ドナルド・ラムズフェルドサーモントメガネの例(マルコムX
フルリム
金属製やアセテート繊維製の縁で、眼鏡レンズの全周を覆ったもの。
縁無し
レンズの外周を覆う縁のないもの。リムレス(: rimless eyeglasses)、フレームレス(: frameless eyeglasses)、レンズが二点で留められていることからツーポイント(和製英語)、金属部分が三つあることからスリーピース(: three piece eyeglasses)とも。セイコーによれば、眼鏡のフレームとは絵画の額縁のようにレンズを囲っていることから来た呼び名である。その語源から考えれば、レンズを囲っていない縁無し眼鏡の金属部分をフレームと呼ぶのは誤りであり、マウンティング mounting と呼ぶべきだとセイコーでは主張している[46]。古い書籍にも、縁のある眼鏡の金属部分をフレーム、縁無し眼鏡の金属部分をマウンティング mounting[42] またはクラスプ clasp[47]と呼び分けているものがある。レンズに直接ねじ止めを施し、強度のあるフレームを持たないことから、破損したりレンズのガタつきを生じたりしやすく、実用上の利点はない。フレームがないため眼鏡の存在が目立たず、顔に明るい雰囲気を与え、聡明そうに見える装飾上の利点がある[48]。一見すると縁が無く視界の邪魔にならないように思われるが、実際にはレンズを固定するネジが縁よりよほど視界の中心に近いところに入る上にレンズの端がフレームで覆われていないためそこに光が反射して視界の邪魔になる。明治期より2000年代初期に至るまで何度か流行しており、眼鏡を強調させたくない人が好んで使用する。昭和3年の書籍にも、社交界の婦人の間にひどく流行して、中には度のない素通しの縁無し眼鏡をかける者もいたとの記述が見える[48]。現存する世界最古のふちなしメガネは、1825年にオーストリア帝国ウイーンのフォークレンダー・アンド・サン社で作られた製品で、左右のレンズがつながった一枚のガラスで出来ており、つるだけが金属で出来ている。
サーモント(sirmon glasses、別称ブロー・グラス、コンビネーションフレームB)

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