末梢性めまい中枢性めまい
めまいの性質回転性浮遊性
めまいの程度重度軽度
めまいの時間性突発性、周期性持続性
めまいと頭位、体位との関係ありなし(例外あり)
耳鳴、難聴ありなし
脳神経障害なしあり
眼振一側方注視眼振、回転性、水平性両側方注視眼振、縱眼振
多くの医学的な分類がそうであるように上記の表は概念を説明するものであり、個々の疾患を説明するものではない。表を参考に中枢か末梢かを考えていく。一側方注視眼振とは右をみても左をみても右に眼振するといったもの、両側方注視眼振は右をみれば右に、左をみれば左に眼振をするというものである。中枢性めまいでは体位、頭位で症状が変化しないのが原則だが、椎骨脳底動脈不全では体位で症状が変化する。
重要なことは中枢性、末梢性は症候で診断を行い、CTは確認、原因の更なる精査という目的で行う。CTでは症状と関係のない脳の異常がわかってしまうからである。頭部CTにて脳内占拠性病変を疑えば、頭部造影CTを追加し、出血性病変、占拠性病変では脳神経外科と相談、それ以外の異常ならば、脳梗塞を疑うのならMRIや神経内科と相談するという方法もある。 中枢性めまいは、症状は軽いが持続性で、注視方向性眼振や他の神経症状を伴う。脳幹障害や小脳障害、脳血管障害、腫瘍、変性疾患などの基礎疾患が原因となって起こることが多いので瞳孔、眼振、眼球運動や小脳機能検査や画像診断を行う。 末梢性めまいは前庭性と内耳性に分けられる。前庭性めまいは原則として耳鳴りや難聴を伴わないものである。良性発作性頭位眩暈症(BPPV)や前庭神経炎が含まれる。内耳性めまいは原則的に耳鳴り、難聴を伴う。メニエール病や突発性難聴、アミノグリコシドなどの薬物性や梅毒などが含まれる。末梢性めまいは突発性難聴以外は緊急性が殆どないものの、突然歩けなくなるほど気分が悪くなり、嘔吐することも多く患者の苦痛は強いので診断を急ぐのではなく、まずは症状をとる治療を行うべきである。全体的に低気圧のときに多いといわれている。 基本的に治療の目標は嘔吐を止めて、歩行可能状態にすることである。悪心、嘔吐がある場合はメトクロプラミドなどの投与を考える。ヒドロキシジン(25mg)1Aの静注、炭酸水素ナトリウム(20ml)2Aを5分以上かけて静注すると約一時間くらいで改善する。改善は眼振の軽快や歩行可能かで判定できる。そしてめまい止めとしてメシル酸ベタヒスチン(6mg)やエチゾラム(0.5mg)を3日間分位処方し、後日耳鼻科受診とする。末梢性めまいで絶対に見逃してはいけないものが突発性難聴である。この疾患は不可逆的な難聴を引き起こすからである。突発性難聴を疑ったらまずは水溶性ハイドロコートン(500mg)を生理食塩水100mlに溶解させ、点滴する。診断に困った場合は突発性難聴として扱い、入院治療となる。 良性発作性頭位めまい症は加齢や外傷によって前庭の耳石器が遊離し、三半規管に迷入することによって回転性めまいが生じる病態である。
中枢性めまい
末梢性めまい
前庭系について
前庭系は視覚および筋、関節からの固有感覚とともに体の平衡をつかさどるといわれている。前庭感覚器は内耳にあり三半規管と2つの耳石器からなる。三半規管の受容器をクプラという。三半規管は頭の回転運動を感知し、耳石器は重力や直線加速を感知する。これらの受容器が刺激されると前庭神経に活動電位が生じ、聴神経を経て前庭神経核と小脳室頂核に伝わる。前庭神経核からは前庭脊髄路を経て内側縦束(MLF)側頭葉、脊髄小脳路への出力がある。前庭系の検査としてはpast-pointing試験や閉眼足踏み試験が知られている。past-pointing試験では座位で両上肢を高く挙上し、水平まで戻す。閉眼で何回も繰り返し一側に偏奇した場合はpast-pointing陽性であり、偏奇した側の前庭系の障害である。閉眼足踏み試験では立位閉眼で両上肢を前方挙上し50回足踏みをする。一定方向に体軸が回旋すれば異常であり回旋した方向の前庭系に障害がある。
末梢性めまいの重症度
軽度:歩ける、これは外来で経過観察ができる。
中等度:ふらふらしている、立つのがつらい、嘔吐している、緊急性はない。
重度:立てない、これは入院が必要な場合がある。これくらいになると食事が取れないので点滴管理が必要となる。
末梢性めまいの治療
処方例
メシル酸ベタヒスチン(抗めまい薬)、メチルコバラミン(ビタミンB12製剤であり末梢神経障害に適応がある)、アデノシン三リン酸(脳循環改善薬)と頓服でジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン薬だが、内耳迷路と嘔吐中枢に選択的に作用するため末梢性めまいや乗物酔いにも用いられる)を用いることが多い。
BPPV(良性発作性頭位めまい症)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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